【リチウムイオン電池】角型電池の構成と構造、特徴、製造方法

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角型電池(大型)の構成と特徴

 

最近では、リチウムイオン電池の発火事故なども多く発生し、電池の安全性への関心がみなさん高まっているかと思います。

 

特に大型電池では発火した場合、容量が大きく電気エネルギーが多くためられているため、その被害が小型電池より大きくなる可能性が大きく、より安全性が求められます。

 

リチウムイオン電池の安全性試験の概要、位置づけについてはこちらで解説しており、代表的な安全性試験としては、過充電試験外部短絡試験過放電試験、内部短絡試験、振動試験などが挙げられますが、これら全般の安全性を上げるために筐体に剛直な金属ケースを使用した角型電池と呼ばれる電池が採用されることが多いです。

 

※1000mAh以下の乾電池やニッケル水素電池で普及している角型電池(小型)の説明はこちらのページではしていませんのでご注意ください。

 

こちらのページでは、角型電池、特に大型の角型リチウムイオン電池に関する

 

・角型電池(大型)とは?角型電池の構成、構造

 

・角型電池の特徴

 

というテーマで解説しています。

 

 

角型電池(大型)とは?角型電池の特徴(メリット、デメリット)

上述のようにこちらのページでは、角型電池、特に大型の角型リチウムイオン電池について、以下に解説していきます。

 

角型電池は一般的に大型の電池、中でも家庭用蓄電池に採用されることが多い電池です。
(電気自動車向けの大型電池としては、より出力密度が求められることからラミネート型電池が採用されることが多いです。)

 

角型電池は組電池を組んだ場合、小型のリチウムイオン電池で代表的である円筒形電池よりも無駄な隙間が無く充填することができるため、質量エネルギー密度、体積エネルギー密度といったエネルギー密度を上げることができるメリットがあります。

 

さらに、剛直な金属ケースを使用するため、ラミネート型電池などと比較した場合、特に外部からの衝撃や圧力に強く、また変形しにくいことから安全性が高い電池であるというメリットがあります。

 

また、内部のエレメントは積層式によるエレメントを採用している場合が多く、これは単電池において無駄なスペースをなくしエネルギー密度を高めることが出来る事と、捲回式のエレメントでは伝熱方向が巻いてある方向のみであるため放熱性があまり良くないのに対し、積層式ではこれを改善、放熱性の向上、つまり安全性の向上につなげる事が出来るからです。

 

そのため、電池としても内部のエレメント構造が積層式と相性が良いためエネルギー密度、安全性を高めることができ、かつ組電池にした場合もエネルギー密度を高めることが出来る電池と言えるでしょう。

 

ただし、デメリットとしましては、積層式のエレメントの方が製造することが難しく、技術的な観点から詰めることが多々あることが課題と言えるでしょう。

 

具体的な構成、構造は以下で解説しています。

 

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角型電池(大型)の構成、構造、製造方法

 

角型電池の構成は以下の通りです。

 

正極、負極、セパレータといったエレメント構成部材は他の電池と同様であり、電解液なども同様です。

 

ラミネート電池と異なる部材としては、正極集電体、負極集電体、端子(正・負極両側)、端子とケース天面の絶縁をとる絶縁部材、安全弁などを使用することや筐体が金属ケース(アルミもしくはステンレス)であることが異なります。

 

ここで一般的にはケース天面と安全弁、正・負極端子、絶縁部材、各集電体が取り付けられた組立品①がまず製造されます。

 

端子や絶縁部材、天面ケース、集電体は一体成型(インサート成型)やかしめることで完全な密閉構造をとる必要があります。

 

これに、エレメントを超音波溶着などで接続し、組立品①とエレメントとがつながれた組立品②が製造されます。

 

そして、これを下ケースに入れ、天面のケースと下ケースを溶接し、組立品③が製造されます。

 

電解液を注液、封口する、各電気的処理、エージングを行えば角型電池の完成です。

 

(以下、構造図工事中)

 

※なお角型電池を用いた組電池を作製する際の接続部品であるバスバーについてはこちらで解説しています。

 

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