【電析とリチウムイオン電池の構造】正極より負極の方が一般的に大きい理由

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【電析とリチウムイオン電池の構造】正極より負極の方が一般的に大きい理由

 

スマホ向けのバッテリーや電気自動車向けバッテリーを始めとしたリチウムイオン電池において、更なる高容量化、高電圧化、高エネルギー密度化に向けて、各企業で様々な研究開発が進められています。

 

リチウムイオン電池は近年発火事故なども注目されており、使用方法を間違えたり、電池に大きな負担をかけたり、また電池の構造的な設計を始めとして設計が適切でない場合、危険な状態になる可能性があります(※発火時の対処・消火方法はこちらで電池発火のメカニズムについてはこちらで解説しています。)

 

中でも、リチウムイオン電池内部の電極の設計としましては、負極の方が正極よりも大きくすることが一般的であり、こちらのページではこの理由について解説しています。

 

・負極の方が正極よりも大きくする理由 電析との関係性

 

というテーマで解説しています。

 

 

負極の方が正極よりも大きくする理由 電析との関係性

 

一般的なリチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、電解液、ケース等から構成され、以下のように構成されます(各部材の役割等はこちらで解説しています)。

 

一般的なリチウムイオン電池では、正極活物質にコバルト酸リチウムマンガン酸リチウムリン酸鉄リチウムを使用し、負極活物質には黒鉛やチタン酸リチウムを使用することが一般的であり、下記ではコバルト酸リチウム、黒鉛を採用した場合のリチウムイオン電池の構成概要を解説しています。

 

 

 

このような電池反応を起こすために、電池の製造する際、負極の方が正極よりも大きくかつ、セパレータを介して対向する部分の面積を大きくして、作ります。

 

この負極よりも正極を大きくする理由は、充電時に正極から負極へリチウムイオンが移動する際、負極の方が小さいまたは正極合材塗工部の対向部分に負極合材塗工部の対向部分が無いと、Liイオンが行き場をなくして電析してしまうという現象が起こります。

 

この電析とは電解析出の略であり、簡単にいうとLi金属が負極上に析出する現象のことを指します。

 

この電析が起こると電池容量も急激に下がり劣化してしまうだけでなく、安全性も低下してしまいます。

 

そのため、電析を起こさないためにも負極の方が正極よりも大きく設計されているのです。

 

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