サイクル試験と温度の関係性は?サイクル試験とSOCの幅の関係性

サイクル試験と温度やレート、SOC・DODとの関係

 

こちらのページでは電池の基礎的な用語である

 

・サイクル試験と温度の関係性

 

・サイクル試験とDODやレート特性の関係性

 

ついて解説しています。

 

 

サイクル試験と温度の関係性

 

サイクル試験では、温度により電池の劣化の形態が異なります。

(※サイクル試験とは何か?サイクル試験の一般的な試験方法と結果についてはこちらで解説しています)

 

大きく分けて、高温時のサイクル試験と低温時のサイクル試験では、劣化の形態が異なります。

 

まず高温時のサイクル試験における負担のかかるパラメータについて解説します。

 

高温時のサイクル試験

 

一般的なリチウムイオン電池が保証している上限作動温度範囲は60℃付近であることが多いです。

 

そして,電池にもよりますが一般的には作動限界の60℃付近では、サイクルによる正極活物質・負極活物質の膨張の影響というよりも負極表面のSEI被膜の成長速度が増すことによる容量の低下の影響が大きいです。

 

これは、SEI被膜の成長は主に、Liイオンと電解液溶媒中のECとの化学反応であるため、アレニウスの式に従います。

 

アレニウスの式では、反応速度係数 k = A exp( -Ea/RT)  (A:定数、Ea:活性化エネルギー、R:気体定数、T温度)で表されるために、Tが増すと反応速度係数kがまし、SEI被膜の成長、つまり容量劣化が進むのです。

 

 

さらに保証している作動温度範囲より高い温度での試験となると、セパレータの縮小が起きることによる微小短絡や活物質自体の結晶構造が崩れ始めることなどからの電池の劣化が起き、急激に容量維持率が低下していきます。

 

 

低温時のサイクル試験

 

0℃以下といった低温時のサイクル試験では、主に充電時にLiが負極に析出する電析が起こるかどうかが電池劣化の主な原因となっています。

 

黒鉛などのLiの溶解析出電位に近い材料を使用する場合、設計や劣化の度合によっては電池製造メーカ−の想定を超え電析する場合があります。

 

チタン酸リチウムなどの高電位作動の負極活物質を使用すれば、電析はほとんど起こりませんが、その分エネルギ−密度が下がる傾向にあります

 

すると、すぐに電池が使用できなくなるだけでなく、膨れなどが発生し危険な場合がありますので、電池の取扱説明書に従い注意して対処しましょう。

 

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サイクル試験とDODやレート特性の関係性

 

サイクル試験とDODの関係性

 

サイクル試験により、活物質が膨張収縮することを上述しましたが、その膨張収縮はDODとも大きく関係します。

 

DODが大きいほど膨張収縮の幅が大きくなりますので、電極に負担がかかり劣化がより進むことが想像できます。

 

実際には、サイクル試験時の膨張収縮による劣化分は Kc [DOD]^0.5と描け、実験値とおおよそ一致していることが報告されています。

 

 

サイクル試験とレート特性の関係性

 

同様にレート特性も膨張収縮と関係します。

 

充電や放電のレートが高いほど急激に膨張収縮するため、電極に負担がかかり劣化がより進みます。

 

つまりEVなどで使用されている電池を使用する場合、あまりにも急激な放電を繰り返し行うと(急な加速など)劣化が早く進みますので気を付けましょう(一般的にはEV用電池にはラミネート型電池が使用されます)

 

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