フロート試験とは何?一般的なフロート試験条件と結果○

フロート試験とは何?一般的なフロート試験の条件と結果

 

こちらのページでは電池の基礎的な用語である

 

・電池のフロート試験とは何?
・一般的なフロート試験条件と結果

 

ついて解説しています。

 

 

電池のフロート試験とは何?

 

フロート試験とは充放電を繰り返せる電池(二次電池と呼びます)において、外部の直流電源を用いて一定の電圧を保った時の電池の劣化具合を見ることで、電池の性能を評価する試験の一つです。

 

例えば、スマホ向けバッテリーやノートPC用バッテリー等にはリチウムイオン電池が使用されていますが、良く充電器につないだままで常に満充電の状態にしている方も多いでしょう(常に満充電の状態にすることは、電池の劣化を早めます)

 

放置しているだけでも電池は容量低下や内部抵抗の上昇など劣化が進みますが、満充電状態の高い電圧で保つ方が電池に負担をかけていることになり、より電池の劣化を早めます。

 

つまり、フロート試験は狭義の意味では、上記のように外部直流電源を用いて満充電状態(SOC100%)の電圧で充電し続けるいう上記のような状況を想定した、単純な放置する試験をより厳しくした試験といえます。

 

(電池構成材料や各メーカーの製品にもよりますが例えば、正極活物質にコバルト酸リチウム負極活物質に黒鉛使用のリチウムイオン電池では、4.2V付近の電圧で充電)

 

広義の意味でのフロート試験は、満充電だけではなく、例えばSOC20%やSOC50%に対応する電圧で充電する試験のことも含みます(SOC-OCV曲線によりSOCに対応する電圧)がわかります。

 

実際はサイクル試験と同様に中の容量維持率や内部抵抗、電池の膨れなどから電池性能を評価します。

 

また、フロート試験に影響を与えるパラメータとしては、

 

@外部温度

 

A保持する電圧(SOCに対応)が挙げられます。

 

以下でもう少し詳しく解説していきます。

 

関連記事

 

容量とは?
二次電池とは?
容量維持率とは?
内部抵抗とは?
SOC、DODとは?
SOC-OCV曲線とは?
サイクル試験とは何?一般的なサイクル試験条件とSOCの関係

 

 

 

一般的なフロート試験条件と結果

 

一般的なリチウムイオン電池(例えば、正極活物質にコバルト酸リチウム負極活物質に黒鉛使用)の電池をフロート試験にかけるとします。

 

温度は25℃、SOC100%となるよう充電条件 0.1C 4.2V CCCV という条件で充電し続けるフロート試験を行うとします。

 

略して、25℃でのフロート試験などとシンプルに呼ぶ場合もあります。

 

そして試験結果から以下のような情報を得ることができます。

 

フロート試験に伴う容量維持率の変化

 

縦軸に容量維持率(初期容量を100%とした場合の経年後の容量の百分率)、横軸にフロート試験継続時間をとったグラフを描くことで、フロート試験に伴う容量維持率の変化を判断します。

 

フロート試験の継続時間が長くなるにつれて電池の容量が減ってきますが、容量維持率が高い値を保っているほど良い電池であるといえます。

 

フロート試験をある程度行うことで その後の容量維持率をある程度予測できる予測線を描けるようになります。

 

 

 

フロート試験に伴う内部抵抗の増加

 

また、フロート試験の試験時間が長くなるほどと内部抵抗が増加していきます。以下に内部抵抗の増加イメージを示しました。

 

フロート試験においてももサイクル試験と同様に徐々に増加していきます。

 

サイクル試験では充放電に伴う正極活物質や、負極活物質の膨張、収縮によることが主な要因ですが、フロート試験では負極のSEI被膜(負極活物質に黒鉛使用の場合)の成長が主な要因です。

 

電池にもよりますが、寿命末期のころですと被膜成長が著しくなり電池として機能しなくなるレベルになると、急激に内部抵抗が下図のよう上昇していきます。

 

 

 

関連記事

 

容量とは?

容量維持率とは?

内部抵抗とは?

SOC、DODとは?
コバルト酸リチウムの反応と特徴
黒鉛の反応と特徴
SEIとは?
サイクル試験とは何?一般的なサイクル試験条件とSOCの関係

 

フロート試験とは何?一般的なフロート試験条件と結果○ 関連ページ

容量(Ah,mAh容量),組電池の容量,SOC,DODとは?
【電池の容量】mAh,AhからWhに変換する方法【飛行機持ち込み160Wh以下かどうか判定する方法】
放電終止電圧、充電上限電圧とは?
【電池設計の基礎】電池設計シートを作ろう!1 容量の設計
【エネルギー密度の計算】多孔度と真密度から電極の厚みを計算してみよう!
SOH(電池の基礎用語)とは?
電池の容量の計算方法
組電池とは?組電池の容量と電圧の計算方法
Wh容量、SOC-OCV曲線、充放電曲線とは?○
電池の評価に使われている1C,2Cとは何のこと?時間率とは?○
電池の充放電効率(クーロン効率)とは?
容量維持率とは?サイクル試験時の容量維持率
サイクル試験とは何?一般的なサイクル試験条件と結果○
サイクル試験と温度の関係性は?サイクル試験とSOCの幅の関係性
【電池発火時の対処・消火方法】リチウムイオン電池が発火した際、水はかけるべき?
【電池はなぜ発火する?】リチウムイオン電池が発火のメカニズム(原理)
トリクル充電とは?○
CC充電とは?
CCCV充電とは?○
パルス充電とは?鉛蓄電池に使用すると寿命が延びる?
【図積分】CC充電、CCCV充電時の充電電気量の計算方法
電池はどうやって捨てる?電池の廃棄方法は?○
SOC-OCV曲線から充放電曲線をシミュレーションする方法
リチウムイオン電池の取扱い上の注意点○
リチウムイオン電池を長持ちさせる方法
リチウムイオン電池の充電時に対応していない充電器を使用した時の危険性
外部温度と電池の容量の関係(寒い方が容量小さい?)
質量エネルギー密度、体積エネルギー密度とは?
電池の分類
マンガン乾電池の構成と反応、特徴○
アルカリマンガン乾電池の構成と反応、特徴
マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池の構造詳細
マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池の放電曲線
乾電池の残量を測定する方法(マンガン電池、アルカリ電池)
アルカリマンガン乾電池表面に付着した白い粉の対処方法
ニッケル・水素電池の構成と反応、特徴
リチウムイオン電池の構成と反応、特徴○
鉛蓄電池の構成と反応、特徴
ニッケル・カドミウム電池(ニッカド電池)の構成と反応、特徴
ナトリウム硫黄(NAS)電池の構成と反応、特徴
レドックスフロー電池の構成と反応、特徴
二次電池の性能比較 作動電圧、エネルギー密度、寿命、作動温度範囲、安全性の比較
メモリー効果とは?メモリー効果と作動電圧
オームの法則、作動電圧と内部抵抗、出力とは?
電池の劣化係数とは?
交流抵抗と直流抵抗の違い(電池における内部抵抗)
通電時間と直流抵抗の関係
電池の端子電圧と正極電位、負極電位の関係
電池の知識 分極と過電圧、充電方法、放電方法
比熱と熱容量
電池の知識 電池通電時の自己発熱
電池の知識 電池の常温時と低温時の内部抵抗の変化
リチウムイオン電池の安全性
過充電とは?過充電すると何が起こる?
【スマホの過充電?】過充電という言葉の誤った使い方
アノード、カソードって何?酸化体と酸化剤、還元体と還元剤の違いは?
電析とは何?電析と安全性
電析が起こる原因と条件 起こさないための対応策は?
電気二重層キャパシタとは?電池との違いは?
キャパシタとコンデンサ−は厳密には異なる!?EDLCの原理
【充電式電池】新しい電池と古い電池を同時に使用するとどうなる!?
コイン電池の種類と頭文字の記号
電池と燃料電池の違いは?固体高分子形燃料電池の構造と反応
電池の回路図の記号は?長い方が+? ○
単位Nとkgfの違いは? NやJをkg,m,sで表そう
電池の短絡とは?短絡が起こる場合と対策
コイン電池とボタン電池の違いは?
乾電池に記載のAAやDなどの記号は何?乾電池の大きさとパワーの違い
バイポーラ電池(バイポーラ電極使用電池)とは?メリットとデメリット
瞬低とは?瞬時電圧低下とは?
ヒューズとは?単電池や組電池におけるヒューズの役割
シャント抵抗とは?
自己放電(電池の用語)とは?
OCV(開回路電圧、開放電圧)とは?
コイン電池、ボタン電池の構造詳細、残量の測定方法
公称電圧とは?作動電圧との関係性
平均作動電圧とは?作動電圧との関係性
リチウムイオン電池とリチウム金属電池は違うもの?
リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池は違うもの?
リチウムイオン電池の活性化過電圧、濃度過電圧、IR損とは?
電池の対向容量比とは?利用容量とは?電池設計の基礎
CC充電とCCCV充電 定電流充電と定電流定電圧充電は同じもの??
バッテリー記載のCCAとは?【バイク用バッテリー】
【大きいほど低抵抗?】リチウムイオン電池の容量と内部抵抗の関係
【内部抵抗の計算】リチウムイオン電池の内部抵抗と反応面積から予想してみよう!
【リチウムイオン電池の接触抵抗低減】Al箔やCu箔の接触抵抗を下げる方法

HOME プロフィール お問い合わせ