リチウムイオン電池の活性化過電圧、濃度過電圧、IR損とは?

リチウムイオン電池の活性化過電圧、濃度過電圧、IR損とは?

 

リチウムイオン電池を始めとした電気化学反応により動作するデバイスでは、理論的な電圧(起電力:正極活物質と負極活物質の標準電極電位の差)よりも放電時の作動電圧は若干低く、充電時の作動電圧は若干高くなります。

 

この起電力と作動電圧の差のことを過電圧と呼び、起電力から電圧がずれること自体のことを分極と呼びます。

 

そして、この過電圧にはいくつか種類があり、こちらのページではリチウムイオン電池に関係する

 

・リチウムイオン電池における活性化過電圧とは?

 

・リチウムイオン電池における濃度過電圧とは?

 

・リチウムイオン電池におけるIR損とは?

 

というテーマで解説しています。

 

 

リチウムイオン電池における活性化過電圧とは?

 

まず、活性化過電圧とは、活性化エネルギーに関係する過電圧と言えます。

 

リチウムイオン電池における活性化過電圧とは、電荷移動反応(電子授受反応)、つまり正極活物質(コバルト酸リチウムリン酸鉄リチウムなど)や負極活物質(黒鉛チタン酸リチウムなど)へのLiイオンのインターカレーション反応に関する過電圧のことを指します。

 

つまり、上述のような電荷移動反応における抵抗(電荷移動抵抗)をR電とした場合、電流値I×R電の値(オームの法則に従う)が活性化過電圧に相当します。

 

また、この電荷移動抵抗における起電力からのずれのこと自体を活性化分極と呼びます。

 

これら電荷移動反応律速における電流と過電圧の関係はButler-Volmer式Tafel式を用いて解析に利用されます。

 

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リチウムイオン電池における濃度過電圧とは?

 

濃度過電圧とは、物質の濃度の差により進む物質輸送、つまり拡散に関する過電圧のことを指します。
(また拡散はフィックの法則に従い、濃度勾配に比例します)

 

リチウムイオン電池における濃度過電圧とは、一般的に電解液中のLiイオンの移動に関する過電圧のことを指します。

 

また、電荷移動反応(電子授受反応)が起こり活物質へLiイオンが挿入された後の固体内拡散もこの濃度過電圧と考える場合もあります。

 

これらの電荷移動反応や各種拡散といった電極反応は複雑であるため、実際は活性化過電圧、濃度過電圧と区別するというより等価回路を考え、解析に用いる事が多いです。

 

つまり、電荷移動反応と同様に拡散における抵抗(拡散抵抗)をR拡とした場合、電流値I×R拡の値(オームの法則に従う)がこの濃度過電圧に相当します。

 

また、この拡散抵抗における起電力からのずれのこと自体を濃度分極と呼びます。

 

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リチウムイオン電池におけるIR損とは?

 

各過電圧はオームの法則に従った電圧のズレのことを表しますが、特にオーミックな抵抗(たとえばタブリードや集電体の抵抗)による過電圧のことをIR損と呼びます。

 

活性化過電圧や濃度過電圧は温度が上がると、同条件で試験した場合は過電圧が小さくなりますが、タブリードや集電体はアルミや銅の金属が使用されることが一般的であるため温度が上がると過電圧(IR損)は大きくなる傾向にあります。

 

(金属は温度が上がると格子振動が大きくなり自由電子の移動を阻害し、抵抗が上がるという具合です)

 

これら各過電圧を分離して解析すると、どの過程が律速しているかがわかり、そこを改善することで電池の更なる改良に役立ちます。

 

一般的には交流インピーダンス法により、各抵抗を分離する解析を行います。

 

 
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