質量エネルギー密度、体積エネルギー密度とは?

質量エネルギー密度、体積エネルギー密度とは?

 

こちらのページでは電池の基礎的な用語である

 

・(質量エネルギー密度の説明の前置きとして、)質量と重量の違い
・質量エネルギー密度
・体積エネルギー密度

 

について解説しています。

 

 

重量と質量の違いとは?

重量という言葉は聞きなれている人が多いでしょう。

 

それでは、質量とは何が違うのでしょうか?そもそも質量という言葉が聞きなれていないかもしれませんので、簡単に解説します。

 

質量:もともとある物体が持っている量のことを指し、単位はkgを使用します。
    物体の大きさや物体を構成する元素の組成、
    さらには元素が持つ原子核、陽子、中性子、電子が固有であるためこの値は物体により変化します。

 

    また、高校物理で習うF=maの式において、1Nの力(F)は1kg(m)の質量の物体と
    加速度1m^2/sであるという定義式中のmに当たります。

 

 

重量、重さ:私達が通常使用している重量、重さとは
    上述の高校物理で習うF=maの式におけるFに当たり、単位はNを使用します。
    ここで地球上では加速度aに重力加速度と呼ばれるg(約9.8m^2/s)をかけるために
    1kgの質量の物体は地球上では9.8Nの力(重量、重さ)がかかります。

 

    月上では、この重力加速度が小さいために1kgの質量の物体は
        地球上の約1/6の値(1.6N程度)と変化します。

 

    よって、通常私達が重量、重さが〜kgと呼んでいるものは、
    正確には質量が〜kgとすべきなのです。

 

(上記の具体的な説明は万有引力の法則により説明ができ、詳細はこちらのページで解説しています)

 

 

質量エネルギー密度

電池の性能を比較する指標に質量エネルギー密度と呼ばれるものがあります。
 
スマホ用電池の設計等とにかく軽く、かつ大きなエネルギー密度がしいなど、
質量的な要求がある場合、この質量エネルギー密度が重要です。
 

エネルギー密度とは、言葉の通りエネルギーの密度、
つまりある質量や体積あたりにどのくらいエネルギーが詰まっているか?
を表した指標のことです。
 
その中でも質量あたりのエネルギー密度が質量エネルギー密度で、単位はWh/kgで表されます。

質量エネルギー密度の定義式

質量エネルギー密度[Wh/kg]=容量[Ah] × 平均作動電圧[V] / 質量[kg]
 

SOC内部抵抗、通電時のCレート、時間率により作動電圧が変化するため、
各メーカー様既定の放電条件(25℃において1C放電時等)における作動電圧の平均値である
平均作動電圧を使用することが一般的です。
 
厳密な質量エネルギー密度を算出しようとすると、容量を横軸、作動電圧を縦軸にとったグラフから
図積分を用いて算出することが必要になるでしょう。
 
 

質量エネルギー密度向上には以下のような観点から改良が望めます。
 
@容量の改良→材料メーカー様による正極、負極活物質の改良
           電池メーカー様による電池性能の向上(いかに電極を密に詰めるか)


A作動電圧の改良→材料メーカー様による高電圧系電池材料の改良、
              電池メーカー様による電池性能の向上(内部抵抗の軽減)

 

B質量の改良→材料メーカー様による高容量密度材料の改良
           電池メーカー様による構造設計による質量の低減

 

 

 

体積エネルギー密度

電池の性能を比較する指標に体積エネルギー密度と呼ばれるものがあります。

 

電気自動車(EV)等において電池を所定の空間に収めなければならないが大きなエネルギー密度が
しいなど、体積的な要求がある場合、この体積エネルギー密度が重要です。
 


上述の通りエネルギー密度とは、言葉の通りエネルギーの密度、

つまりある質量や体積あたりにどのくらいエネルギーが詰まっているか?

を表した指標のことです。

 

その中でも体積あたりのエネルギー密度が体積エネルギー密度で、単位はWh/Lで表されます。

 

体積エネルギー密度の定義式

体積エネルギー密度[Wh/L]=容量[Ah] × 平均作動電圧[V] / 体積[L]
 

 
質量エネルギー密度と同様に、体積エネルギー密度では
SOC内部抵抗、通電時のCレート、時間率により作動電圧が変化するため、

各メーカー様既定の放電条件(25℃において1C放電時等)における作動電圧の平均値である

平均作動電圧を使用することが一般的です。

 

 

体積エネルギー密度向上には以下のような観点から改良が望めます。

(@容量、A作動電圧の観点からの説明は質量エネルギー密度と同じであるため、省略)
 


B体積の改良→材料メーカー様による体積的な高容量密度材料の改良

           電池メーカー様による構造設計
          (例えば外装材は何にするか?端子周りの構造をどのようにするか?等)

 

また、一般的に体積エネルギー密度の方が質量エネルギー密度より数値は大きくなる傾向にあります。

 

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