エネルギー変換効率とは?燃料電池の理論効率・理論起電力の計算方法【演習問題】

エネルギー変換効率とは?燃料電池の理論効率・理論起電力の計算方法【演習問題】

 

スマートハウスやゼロエネルギーハウス(ZEH)などを始めとしたIOT化がすすむ中で、電気エネルギーを効率良く使用することがより重要です。

 

特にスマートハウスやゼロエネルギーハウスに設置されている「燃料電池」や「太陽電池」は電池という言葉はついているものの、分散型の発電装置のイメージに近いです。

 

発電装置であるために、性能の良し悪しを決める指標として「エネルギー効率」が使用され、エネルギー効率が高い方が良い発電装置です。

 

エネルギー効率とは、電気的なデバイスのみで使用されるもの用語ではなく、従来の発電方法である火力発電などの熱機関にも使用される考え方です。

 

ここでは、エネルギー効率に関する以下のテーマで解説していきます。

 

 

・そもそもエネルギー効率(エネルギー変換効率)とは?

 

・エネルギー変換効率(熱効率)の計算を行ってみよう【演習問題】

 

・各発電機のエネルギー効率は?

 

・燃料電池(PEFC)の変換効率(理論効率)を算出してみよう

 

・燃料電池(PEFC)の理論起電力を算出してみよう

 

というテーマで解説しています。

 

そもそもエネルギー効率(エネルギー変換効率)とは?

 

エネルギー効率とは、別名エネルギー変換効率とも呼びます。

 

エネルギー効率とは、エネルギー変換デバイス(燃料電池や太陽電池など)に対して、入力したエネルギーの中で損失することなく、出力されるエネルギーの割合のことを指します。

 

まずは理解しやすい、熱機関におけるエネルギー変換効率について考えていきましょう。熱機関におけるエネルギー変換効率のことを熱効率と呼ぶ場合もあります。

 

下に熱効率のイメージ図を添付していきます。

 

 

 

熱機関に入力される熱量(高温熱源から入る熱量)をQhと表し、出力される熱量(低温熱源から出る熱量)をQcと表しましょう。

 

熱効率を数式で表すと以下のようになります。熱効率η(イータ)=(Qh−Qc)/ Qh となります。

 

 

 

 

熱効率を温度ベースで考えた場合は 熱効率η=(Th ? Tc)/Thと表すことができます。
ここで、Th:高温熱源の温度、Tc:低温熱源の温度を表しています。

 

この考えを元に、熱効率の求め方のおさらいも兼ねて以下の演習問題を解いてみましょう。

 

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エネルギー変換効率(熱効率)の計算を行ってみよう【演習問題】

 

問題

 

高温熱源から熱機関へ入力されたエネルギー(熱量)がQh=100kJであるとします。

 

そして、熱機関から低温熱源へ出力されるエネルギー(熱量)がQc=70kJであった場合のエネルギー変換効率(熱効率)を算出してみましょう。

 

回答

 

熱効率η=(100−70) / 100 × 100 = 70% となります。

 

熱回収などを行うことでさらに熱効率を高めることができますが、基本的なエネルギー効率の意考え方は上述のとおりです。

 

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各発電機のエネルギー効率は?

 

スマートハウスやゼロエネルギーハウス(ZEH)に搭載されている燃料電池では、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するために、高い理論変換効率を持っています。ただ、実用化レベルでは理論変換効率(理論効率)には達していません。

 

従来の発電装置である火力発電では、熱エネルギーを運動エネルギー変換、その後運動エネルギーを電気エネルギーに変換するという2段関係の変換を経ます。

 

エネルギー変換時には、エネルギーロスが生じるために、全体のエネルギーの理論変換効率は下がってしまします。特に、熱エネルギーから運動エネルギーに変換する際には、カルノーサイクルの制約を受けるために、ロスが大きくなります。

 

ただ、火力発電では理論効率と実際の変換効率が近いために、結果的に燃料電池と同等程度の変換効率になっているといえます。

 

以下の各発電機とその理論エネルギー変換効率と実際のエネルギー変換効率について、まとめましたので、参考にしてみてください。

 

(※表工事中)

 

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燃料電池(PEFC)の変換効率(理論効率)を算出してみよう

 

理論エネルギー変換効率が高い燃料電池(固体高分子形燃料電池:PEFC)ですが、その求め方は知っていますか?

 

以下に燃料電池(PEFC)の理論変換効率の求め方を解説していきますので、参考にしてみてください。

 

燃料電池のエネルギー変換において、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するため、その関係性にだけ着目すればいいです。

 

まず、化学反応を考えて行きましょう。固体高分子形燃料電池のアノード、カソードの反応式は以下の通りです。

 

アノード: H2 → 2H+ + 2e-
カソード: 1/2 O2 + 2H+ + 2e- → H2O
全体: H2 + 1/2 O2 → H2O

 

となります。

 

次に、左辺と右辺の反応式におけるエンタルピー変化僣とギブズエネルギー変化僭を計算しましょう(求め方はこちらで解説しています)。

 

ここで、T儡分が使用できない分のエネルギーといえます。

 

計算した結果、反応式の凾g=-286kJ/molであり、であり、凾f=-237kJ/molとなります。

 

この数値を上式に当てはめますと、理論エネルギー変換効率 η ≒ 237/286 ≒ 0.83となります。
つまり固体高分子系燃料電池(PEFC)の理論効率は83%程度です。

 

また、PEFCの最大理論効率は化学エネルギー→電気エネルギーへの変換のみでもなく、水が生成される際の発熱エネルギーも変換後のエネルギーの一部とすることができ、このことをコージェネレーションと呼びます。

 

コージェネレーション分も含めた総合エネルギー変換効率では非常に高くなります。

 

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燃料電池(PEFC)の理論起電力を算出してみよう

燃料電池の理論起電力の求め方も、エネルギー変換効率の求め方と似ている部分がありますので、同様に考えていきましょう。

 

ネルンストの式に従い、僭=-nFEという関係より導くことができます(E:理論起電力)。

 

先ほどのギブズエネルギー変化凾f=-237kJ/molを用いて、n:反応電子数である2、F:ファラデー定数96500C/molを使用しましょう。

 

237000 = 2・96500・EとなりEについて解くと、燃料電池の理論起電力はE ≒1.23Vと計算することができます。

 

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