【リチウムイオン電池の材料】シリコン系負極の反応と特徴、メリット、デメリットは?

【リチウムイオン電池の材料】シリコン系負極の反応と特徴、メリット、デメリットは?【次世代電池の材料】

 

スマホ向けのバッテリーや電気自動車向けバッテリーを始めとして採用されているリチウムイオン電池において、更なる高容量化、高電圧化、高エネルギー密度化に向けて、各企業で様々な研究開発が進められています。

 

特に高容量化のためには正極や負極の活物質自体の容量を上げることが重要であり、特に負極活物質としては現在一般的に使用されている黒鉛材料に代わるものとして、容量が非常に大きいシリコン系の材料が注目されています。

 

こちらのページでは、このシリコン系負極について解説しています。

 

・そもそもシリコン系負極とは? シリコン系負極のメリット(特徴)は?

 

 

というテーマで解説しています。

 

 

そもそもシリコン系負極とは? シリコン系負極のメリット(特徴)は?

現在リチウムイオン電池の負極には一般的に黒鉛(グラファイト)が使用されていることが多く、この黒鉛の理論容量372mAh/gよりも大きいシリコン系負極というものが注目されています。

 

それでは、そもそもシリコン系負極とは何のことを指しているのでしょうか?

 

シリコン系負極とは、純粋なシリコンのみから構成される負極やSiとSiO2の混合物であるSiO(両組成を考慮したもの)などいくつか種類があります。

 

純水なシリコンのみの負極(Si負極)の場合は理論容量が約4200mAh/g、約9786mAh/cm^3と黒鉛と比べても非常に大きい容量を持っています

 

また、シリコン(ケイ素)はクラーク数25.8と酸素に続いて2番目に大きいため、原料が無くなる心配が少ないこともメリットの一つと言えます。

 

さらに、作動電位が約0.5V vs Li/Li+であり、黒鉛負極の作動電位約0.05V vs Li/Li+であることから、電析が起こるリスクが若干軽減されることなどがメリットとして挙げられます(ただし、電池の端子電圧は正極の作動電位−負極の作動電位で決まるために、若干端子電圧が下がる方向にはなります。)

 

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シリコン系負極のデメリット(特徴)は?

シリコン系負極、特に純粋なシリコンのみ(Si)の負極デメリット(特徴)は、電池の充放電時のLiイオンのインターカレーションに伴う膨張収縮が非常に大きく、サイクル特性があまり良くないことです。

 

シリコン系負極の

 

 

 

 
 
リン酸鉄リチウムの反応

 

リン酸鉄酸リチウムは、充放電に伴いLiイオンがリン酸鉄リチウムの結晶構造内に脱挿入されること(インターカレーション反応)で反応が進み、可逆的に使用することができます。

 

LiFePO4とFePO4の二相が共存した反応(二相共存反応)で反応が進み、充放電曲線に平坦(プラトー)な領域ができます。

 

 

コバルト酸リチウムでは放電時の結晶内にインターカレーションされた後、コバルト酸リチウムの固体内を二次元的に拡散するのに対して、リン酸鉄リチウムでは一次元的に拡散する反応が起こります。

 

コバルト酸リチウムは層状の結晶構造を有していており、Liイオン自体も結晶構造の形成に関与しているのに対して、リン酸鉄リチウムではLiイオンを除いたものの結晶構造も熱力学的に安定です。

 

そのため、放電時はLiイオンが除かれたもの中にLiイオンが一次元的に拡散していくようなイメージです。

 

また、反応に関与するLiFePO4とFePO4両方とも、絶縁性物質であるため電子伝導性が低く、通常は粒子の表面をカーボンコートし合成したり、形状、サイズを制御することで、電子伝導性を高めています。

 

 

高い安全性

 

ただし、過充電などの異常時に結晶構造が壊れ酸素を放出し、安全性に課題があるコバルト酸リチウムとは異なり、リン酸鉄リチウムは過充電などの異常時でも、結晶構造が壊れ酸素を放出することはほとんどありません。

 

そのため、リン酸鉄リチウムの高い安全性の観点からリン酸鉄リチウムの採用が増えつつあります。

 

採用に当たり、活物質の粒径を始めとした形状を制御し、正極の単位面積あたりの正極活物質の反応面積を増やすことで、電池とした時のレート特性を高める工夫などにより実用化に至っています。

 

 

作動電位と充放電曲線、容量

 

作動電位はコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムよりは低いですが他の二次電池と比べて高く、放電時の平均値(平均作動電位)は約3.5V vs Li+/Li という値を示します。

 

放電時にリン酸鉄リチウムの結晶構造内にLiイオンが挿入されると、鉄の酸化数が3+→2+へ還元されます。

 

このFe2+/Fe3+の酸化還元電位が高いことが、高い作動電位と大きく関わっています。
(詳しい説明は物質の軌道の影響など複雑な反応によるため割愛させて頂きます。)

 

放電曲線は上述のように、LiFePO4とFePO4の二相共存反応であり、平坦な領域ができます。

 

再度放電曲線を記載させて頂きますね。

 

 

坦な領域ができるということは、外部からかかる力が一定で反応が進むと言い換えることが出来ます。

 

また、コバルト酸リチウムは理論容量のすべてを使用できなかったのに対して、リン酸鉄リチウムは理論容量のほぼすべてを使用することが出来ます。

 

結晶構造が安定であるため、充電時100%リチウムイオンが引き抜かれても結晶構造の崩壊が起きず、可逆性が保たれるためです。

 

また、結晶構造の高さゆえにサイクル特性が非常に良い材料です。

 

 

理論容量170mAh/g程度をほぼ100%使用することができます。
 
満充電時の正極電位は3.5V vs Li+/Li程度であり、電池として組んだ時の満充電電圧は3.5〜3.6 V 程度に設定する(負極にグラファイト使用時)ことが一般的です。

 

合成方法としてはいくつかあり、水熱合成法が有名です。

 

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リン酸鉄酸リチウムの課題

 

作動電位が低いこと

 

作動電位は他の二次電池と比較すると高いですが、リチウムイオン電池における他の正極活物質と比較すると作動電位が低いことが課題です。

 

作動電位が低いということは、電池として使用した場合に作動電圧が低くなり、エネルギ−密度も低くなる傾向にあります。

 

そのため、リン酸鉄リチウム同様のオリビン型結晶構造を有していて、より高い作動電位を示す鉄の変わりにマンガンや、ニッケル、コバルトを置換した材料などが研究されていますが、実用化に至っているのはリン酸鉄リチウムのみです。

 

 

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