リン酸鉄リチウム(LFP)の反応と特徴 Li-Fe(リチウムフェライト)電池とは?鉛蓄電池の置き換えに適している?

リン酸鉄リチウム(LFP)の反応と特徴 Li-Fe(リチウムフェライト)電池とは?鉛蓄電池の置き換えに適している?

 

最近では、リチウムイオン電池の発火事故なども多く発生し、電池の安全性への関心がみなさん高まっているかと思います。

 

リチウムイオン電池の安全性を評価する試験として、安全性試験というものがあります。

 

代表的な安全性試験としては、過充電試験外部短絡試験過放電試験内部短絡試験釘刺し試験などが挙げられますが、これら全般の安全性に対する耐性が高い材料として、リン酸鉄リチウム(LFP)と呼ばれる材料が注目されており、電池の正極活物質として主に使用されています。

 

このページでは、

 

・代表的な正極活物質であるリン酸鉄リチウム(LiFePO4)の反応と特徴

 

・リン酸鉄リチウムの課題

 

・LiFe(リチウムフェライト)電池とは?鉛蓄電池の置き換え(代替)に適している?

 

 

というテーマで解説しています。

 

 

リン酸鉄リチウム(LiFePO4)の反応と特徴

リン酸鉄リチウムの反応

 

リン酸鉄酸リチウムは、充放電に伴いLiイオンがリン酸鉄リチウムの結晶構造内に脱挿入されること(インターカレーション反応)で反応が進み、可逆的に使用することができます。

 

LiFePO4とFePO4の二相が共存した反応(二相共存反応)で反応が進み、充放電曲線に平坦(プラトー)な領域ができます。

 

 

コバルト酸リチウムでは放電時の結晶内にインターカレーションされた後、コバルト酸リチウムの固体内を二次元的に拡散するのに対して、リン酸鉄リチウムでは一次元的に拡散する反応が起こります。

 

コバルト酸リチウムは層状の結晶構造を有していており、Liイオン自体も結晶構造の形成に関与しているのに対して、リン酸鉄リチウムではLiイオンを除いたものの結晶構造も熱力学的に安定です。

 

そのため、放電時はLiイオンが除かれたもの中にLiイオンが一次元的に拡散していくようなイメージです。

 

また、反応に関与するLiFePO4とFePO4両方とも、絶縁性物質であるため電子伝導性が低く、通常は粒子の表面をカーボンコートし合成したり、形状、サイズを制御することで、電子伝導性を高めています。

 

 

高い安全性

 

ただし、過充電などの異常時に結晶構造が壊れ酸素を放出し、安全性に課題があるコバルト酸リチウムとは異なり、リン酸鉄リチウムは過充電などの異常時でも、結晶構造が壊れ酸素を放出することはほとんどありません。

 

そのため、リン酸鉄リチウムの高い安全性の観点からリン酸鉄リチウムの採用が増えつつあります。

 

採用に当たり、活物質の粒径を始めとした形状を制御し、正極の単位面積あたりの正極活物質の反応面積を増やすことで、電池とした時のレート特性を高める工夫などにより実用化に至っています。

 

 

作動電位と充放電曲線、容量

 

作動電位はコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムよりは低いですが他の二次電池と比べて高く、放電時の平均値(平均作動電位)は約3.5V vs Li+/Li という値を示します。

 

放電時にリン酸鉄リチウムの結晶構造内にLiイオンが挿入されると、鉄の酸化数が3+→2+へ還元されます。

 

このFe2+/Fe3+の酸化還元電位が高いことが、高い作動電位と大きく関わっています。
(詳しい説明は物質の軌道の影響など複雑な反応によるため割愛させて頂きます。)

 

放電曲線は上述のように、LiFePO4とFePO4の二相共存反応であり、平坦な領域ができます。

 

再度放電曲線を記載させて頂きますね。

 

 

平坦(プラトー)な領域ができるということは、外部からかかる力が一定で反応が進むと言い換えることが出来ます。

 

また、コバルト酸リチウムは理論容量のすべてを使用できなかったのに対して、リン酸鉄リチウムは理論容量のほぼすべてを使用することが出来ます。

 

結晶構造が安定であるため、充電時100%リチウムイオンが引き抜かれても結晶構造の崩壊が起きず、可逆性が保たれるためです。

 

また、結晶構造の高さゆえにサイクル特性が非常に良い材料です。

 

 

理論容量170mAh/g程度をほぼ100%使用することができます。
 
満充電時の正極電位は3.5V vs Li+/Li程度であり、電池として組んだ時の満充電電圧は3.5~3.6 V 程度に設定する(負極にグラファイト使用時)ことが一般的です。

 

合成方法としてはいくつかあり、水熱合成法が有名です。

 

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リン酸鉄リチウムの課題

 

作動電位が低いこと

 

作動電位は他の二次電池と比較すると高いですが、リチウムイオン電池における他の正極活物質と比較すると作動電位が低いことが課題です。

 

作動電位が低いということは、電池として使用した場合に作動電圧が低くなり、エネルギ-密度も低くなる傾向にあります。

 

そのため、リン酸鉄リチウム同様のオリビン型結晶構造を有していて、より高い作動電位を示す鉄の変わりにマンガンや、ニッケル、コバルトを置換した材料などが研究されていますが、実用化に至っているのはリン酸鉄リチウムのみです。

 

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LiFe(リチウムフェライト)電池とは?鉛蓄電池の置き換えに適している?

 

そして、このリン酸鉄リチウムを正極活物質として使用したリチウムイオン電池のことをLi-Fe(リチウムフェライトの略でリフェ)と呼ぶ場合があります。

 

ここで、フェライトとは酸化鉄を含み、磁性を持つセラミックス全般のことを指します。

 

リン酸鉄リチウムもこのフェライトの一種であると考えられるため、このような呼び方をしています。

 

また、リチウムポリマー電池をLi-Po電池のように略していることもあり、リチウムフェライト電池を略してLi-Fe電池やLi-Feバッテリーと呼ぶのです。

 

上述のように、リン酸鉄リチウムを使用しているために、リチウムイオン電池の中では安全性が高い傾向にあります(もちろん構造によっては、リン酸鉄リチウムを使用していても放熱が悪く、異常発熱してしまうものもあります)。

 

いまでは、鉛蓄電池の置き換え(代替)としてこのLi-Fe電池(リン酸鉄リチウム使用のリチウムイオン電池)がより注目されつつあります

 

鉛蓄電池は非常に歴史が長い電池であり、バイクの始動用バッテリーなどを始めとして最終製品にこの鉛蓄電池が使用されている製品が多々あります。

 

そしてこれらの作動電圧(平均作動電圧)は設計として12Vや24V付近となっています。

 

そのため、鉛蓄電池の置き換えとして使用する場合同様に12Vや24Vに近い値でないといけません。

 

正極に若干作動電位の低いリン酸鉄リチウムを使用し、負極は従来使用されている黒鉛を使用したとすると、単電池での平均作動電圧が3~3.2V程度となります。

 

そして、これらを4つ直列、もしくは8つ直列にした組電池を作りますと、前者は12~12.8V、後者は24~25.6V程度と近い値になるため、置き換えが可能となるのです。

 

これが、鉛蓄電池の置き換えとしてLi-Fe電池が注目されている理由です。

 

従来使用されているコバルト酸リチウムマンガン酸リチウムなどでは、単電池の平均作動電圧が3.7V付近であるために4つ直列にしたとすると、3.7×4=14.8Vと大きくずれてしまい置き換えが難しいです。

 

 

また、二次電池性能の比較でも解説していますが、リチウムイオン電池は鉛蓄電池と比較すると、初期コストはかかるものの、高エネルギー密度であるため軽量化が可能であること、高出力であること、補液がいらないこと、長寿命であること、低温作動が可能であることなどの多くのメリットがあるために、徐々に鉛蓄電池からの置き換えが進む流れがあるかと思います。

 

 

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