PPやPEは接着が難しい?理由と解決策は?【リチウムイオン電池パックの接着】

PPやPEは接着が難しい?理由と解決策は?【リチウムイオン電池パックの接着】

 

当サイトのメインテーマであるリチウムイオン電池において、構成部材と一部にPPやPE材料を使用する場合があります。

 

例えば、エレメントを作製する際、セパレータを使用しますがセパレータはPPやPEといったポリオレフィン系の薄い材料が使用されることが一般的です。

 

他にも、ラミネート電池においてタブリード周りのシールを行う際、タブリード(金属)とアルミラミネート材(表面はPPなどの樹脂)を直接溶着し、気密を保つことが難しいため、通常はタブリードに化学的、もしくは物理的に処理しPPなどの薄い樹脂を気密を保って結合させた上で、ラミネート材と溶着させます。

 

このようにPPやPEといったプリオレフィン系の材料は溶着や接着が難しく、こちらのページではPPやPEの接着が難しい理由や対策について解説しています。

 

・PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)は接着が難しい?その理由は?

 

・PPやPEを接着するための対策は?

 

というテーマで解説しています。

 

 

PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)は接着が難しい?その理由は?

 

上述のよう、PPやPEといった材料は一般的な接着剤では接着することが難しいとされています。

 

これはPPやPEの化学構造と接着剤の化学構造に関係しています。

 

PPやPEの化学構造は以下の通りであり、極性がほとんどありません。

 

これに対して、一般的な各種接着剤は極性を持っています。

 

水と油の関係でもそうですが、極性を持っているもの同士や極性を持っていないもの同士は溶けやすいという関係があります。

 

この極性の関係が接着剤や被着体であるPPやPEなどの関係にも当てはまる傾向にあり、これがPPやPEなどを接着することが難しい理由です。
(接着理論は未だ解明されていない部分が多々あるため一概にはいえないのですが)

 

(※ここから派生している考え、接着剤が被着体とくっつくかどうかを判定する指標としてSP値(溶解度パラメータ)の比較などが挙げられます。)

 

 

他にも同様の理由からPTFEなども接着剤が難しい材料に分類されます。

 

 

ただし、別の視点から見ますとPPやPE、PTFEといった材料は一般的な有機材料などと反応しにくいということになり、その分耐候性であったり、耐薬品性などを有しているとも言えます。

 

また、有機材料との反応だけでなく、耐酸性や耐アルカリ性、耐水性などバランス良い機能を有している場合が経験的に多い傾向にあります。

 

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PPやPEを接着するための対策は?

 

よって、PPやPEを接着するためには一工夫する必要があります。

 

PPやPEにきちんと接着するための方法は以下が挙げられます。

 

@プライマー処理を行うこと

 

被着体にプライマーと呼ばれる材料を塗布することでPPやPEへの接着を改善することが出来ます。

 

水と油は通常は混ざりあいませんが、界面活性剤のように両方ともに反応しやすい官能基を持っている物質を入れることで、混ぜることが出来ます。

 

これと同様に、被着体と接着剤の間で反応しにくい場合は、間にプライマーと呼ばれるどちらとも反応しやすい官能基を持った材料を塗布するのです。

 

最近普及しているPP,PE用接着剤にはこのプライマーが付いているものも良く見かけます。

 

注意点としましては、PPのみであったり、PEのみであったりと専用になっている場合が多いため、用途をきちんと確認して購入しましょう。

 

 

Aアンカー効果を高めるために表面を化学的、物理的に粗くすること

 

アンカー効果とは、船の錨を地面の砂にかけとしっかり固定されるように、被着体の表面を粗く凸凹にすることで接着剤がその凸凹に入り込み、接着強度が増す効果のことを指します。

 

ここで、被着体表面を凸凹にするには表面を化学的、または物理的に粗くする方法があります。

 

化学的に粗くするには表面に酸を塗る酸処理を行うと良いでしょう。

 

物理的には、手軽にできる方法としては材料をやすったり、製造時の方法を検討することで対応可能(たとえば銅箔を製造する場合圧延する方法などがありますが、その圧延の温度や速度、プレス圧の条件などを変化させる等)です。

 

 

Bシランカップリングなど化学的に結合させ、別の接着しやすい材料とくっつける

 

PPと金属などを接着することは難しいですが、金属に薄く化学的にPPなどを結合させておき、そのPPと別のPPを溶着することで接着するという方法があります。

 

これは、リチウムイオン電池におけるタブリードの前処理などとして一般的な技術です。

 

金属とPPを接着、劣化後もその気密を保つことは非常に難しく、各種前処理、シランカップリングなどの化学的な結合をさせることで接着させている場合が多いです。

 

ただし、最近のPP用接着剤などでは、その製品を購入すれば接着できるようにプライマーが付属されていたり、接着剤成分自体の改良により、PPも接着できる製品が徐々に増えつつあるため、きちんと製品の内容を確認して、取扱い説明書の通りに使用すれば、一般家庭で使用する分には問題ないと言えるでしょう。

 

企業で使用する場合は、各種評価を行い、その使用可否を検討していきましょう。

 

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