【リチウムイオン電池の熱衝撃試験】熱膨張係数の違いによる応力の計算方法

【リチウムイオン電池の熱衝撃試験】熱膨張係数の違いによる応力の計算方法

 

最近では、リチウムイオン電池の発火事故なども多く発生し、電池の安全性への関心がみなさん高まっているかと思います。

 

リチウムイオン電池の安全性試験の概要、位置づけについてはこちらで解説しており、安全性試験は電気的な安全性試験と機械的な安全性な試験に分けられます。

 

電気的な安全性試験の代表としては、過充電試験外部短絡試験過放電試験内部短絡試験釘刺し試験などが挙げられ、機械的な安全性試験としては振動試験や圧壊試験、衝突試験、熱衝撃試験などが挙げられ、こちらのページでは熱衝撃試験時に起こる材料の熱膨張係数の違いによる応力の計算方法について解説しています。

 

・熱膨張係数の違いによる応力の計算方法

 

・熱衝撃試験に対する電池設計にどう活かすか?

 

というテーマで解説します。

 

 

熱膨張係数の違いによる応力の計算方法

 

リチウムイオン電池の熱衝撃試験時、急激な温度変化により部材に負担がかかることで部材にひびが入ったり、損傷する場合があります。

 

中でも例えば大型の角型電池において、端子と周辺の絶縁素材が一体成型により作製され、金属(例えば銅)と絶縁素材(例えばPPS)が密着して接合されているとします。

 

この際、素材が異なると熱膨張係数も異なるため、温度が上昇、または下降した場合、その膨張(または収縮)分に差が出るはずですが一体となっているために、実際は応力がかかってしまい、損傷に至る場合があります。

 

他にはラミネート型電池をいくつか接続し組電池を作製する際に、正極のアルミタブリード負極の銅のタブリードを超音波溶着する場合があります。

 

例えば直列接続する場合は正極のアルミと負極の銅を超音波溶着するため、温度が上昇した場合にアルミと銅の熱膨張係数の差から応力がかかり、超音波溶着部のはずれや破損する場合も考えられます。

 

 

問題

 

常温(25℃)でラミネート型電池を直列接続するために、アルミと銅のタブリードを超音波溶着しました。

 

そして、電池の通電試験を行い30C(Cレート)の大電流を流し、タブリードの温度が80℃まで上昇しました。

 

この際、超音波溶着部のはずれ、破損はなく、応力がかかった状態となりました。

 

かかる応力はいくつでしょうか?

 

ここで、アルミの熱膨張係数は23.0×10^-6 [K^-1]とし、銅の熱膨張係数は16.8×10^-6 [K^-1]とします。

 

 

解法
 
膨張収縮時の関係式L=L0(1+αt)を使用します。

 

ここで、各々が超音波溶着されておらず膨張したと考えますと、

 

アルミと銅の膨張の差分儉=L0(23.0×10^-6−16.8×10^-6)×(80-25)=L0×3.41×10^-4となります。

 

つまり、ε(歪み)=儉/L0=3.41×10^-4となります。

 

ここでアルミ側にかかる応力を考えるとしますと、アルミの弾性係数(弾性率)E=76GPaを使用しまして、

 

ここで、歪みと応力の関係式σ=E×ε=76×10^9×3.41×10^-4となり、≒25.7MPaとなりました。

 

 

まとめ

 

このように、熱膨張や収縮時にかかる応力の計算の手順は、

 

@各々の部材の膨張、収縮を考える(熱膨張係数が必要)

 

A歪みεを計算する

 

B対象材料の弾性係数(弾性率)を使用し、かかる応力を計算する。

 

というステップで対応できます。

 

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熱衝撃試験に対する電池設計にどう活かすか?

 

熱衝撃試験では、電池や組電池の急な温度変化に対する構成部材や組み立て品の耐久性を評価しています。

 

ただし、電池や組電池には熱的特性だけでなく、耐薬品性や耐油性、耐振動性等々あらゆる関連からの設計が必要となります。

 

その中で部材の材質等を選定し、熱的特性を満たしているかどうかを判断する際に上述のような計算、シミュレーションを活用していきましょう。

 

ただし、電池通電時の熱分布など詳細な解析が必要な場合はきちんとシミュレーションソフトを使用し、CAEを行っていきましょう。

 

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