【リチウムイオン電池の解析】ICP-MS(ICP質量分析法)とは??測定原理と得られる情報

リチウムイオン電池の解析】ICP-AES(ICP発光分光法)、MS(ICP質量分析法)とは?測定原理と得られる情報

 

リチウムイオン電池の正極や負極の元素、組成分析や正極や負極の構成材料である活物資などの元素、組成分析を行う場合には、ICP-AESやICP-MSと呼ばれる分析方法を使用する場合があります。

 

電池の初期の状態と劣化させた電池の電極や活物質の分析を行い、比較することで劣化状態(SOH)の診断にも利用されます。

 

こちらのページでは、ICP-AESやICP-MSに関する以下のテーマで解説しています。

 

・誘導結合高周波プラズマ−発光分光分析(ICP-AES)とは?誘導結合高周波プラズマ−質量分析法(ICP-MS)とは?測定原理と得られる情報

 

・ICP-AES、ICP-MSの手順の概要

 

・ICP-AES、ICP-MSにおいて分析できない、しにくい元素

 

・ICP-AES、ICP-MSの違いは?

 

・リチウムイオン電池におけるICP-AES、ICP-MSの使用事例

 

というテーマで解説しています。

 

 

誘導結合高周波プラズマ−発光分光分析(ICP-AES)とは?誘導結合高周波プラズマ−質量分析法(ICP-MS)とは?測定原理と得られる情報

誘導結合高周波プラズマ−発光分光分析(ICP-AES)は英語にしますとInductively Coupled Plasma-Atomic Emission Sperctro-metry であり、略してICP-AESと呼びます。

 

また、似た分析として、誘導結合高周波プラズマ−質量分析法(ICP-MS)というものがあり、Inductively Coupled Plasma-Mass Spectro-metry であり、略してICP-MSと呼びます。

 

ICP-AESとは、簡単に解説しますと試料をプラズマにかけ(非常に大きなエネルギーを持つ)、試料をイオン化させ、励起状態になった元素がより安定な状態である基底状態で戻ろうとする際の発光を分析する方法のことを指します。

  (※励起状態から基底状態に変化する際の発光(けい光、りん光)については別ページにて解説しています。)

 

 

またICP-MSにおいても手順は途中まで同じであり、試料をプラズマにかけ(非常に大きなエネルギーを持つ)、試料をイオン化させ、そのイオンを質量分析機にかけることで定量的な元素、組成分析を行うことができる方法のことを指します。

 
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ICP-AES、ICP-MSの手順の概要

ICP-AES、ICP-MSの手順の概要は以下の通りです。

 

両手法ともに、まず試料を溶液に溶かします。

 

溶液は硝酸を始めとした酸であったり、硝酸で溶けないものに対しては王水などを使用し、溶かし、試料溶液を作ります。

 

酸だけでなく、アルカリや有機溶剤に溶かす場合もあります。

 

 

次に、作製された試料溶液をエアロゾル(以下で解説)と呼ばれる霧状の状態にし、これを高エネルギーを有するプラズマにかけます。

 

ICPでは一般的にアルゴンを使用し、数千K以上の熱をかけることでアルゴンプラズマ(電離した状態)となり、これを使用します。

 

水を火にかけると蒸発しやすくなるように外部から試料に対して、エネルギーを加えると試料の状態が変化します。

 

ここで、火をかけるのではなく、さらに非常に大きなエネルギーを有するプラズマを外部エネルギーとして使用することで、試料中の元素周りの溶媒が抜け、気化、原子化、イオン化されます。

 

そして上述のよう、ICP-AESでは励起状態から基底状態へ戻る際の発光時の波長の違いから元素を同定します。

 

さらに、ICP-MSでは、イオンが質量分析機にかけられることで、含まれる元素の定量分析を行うことができます。

 

当サイトのメインテーマであるリチウムイオン電池の場合では、上述の通り電極や電極構成材料である活物質などの構成元素の定量分析に使用される場合が多いです。

 

 

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ICP-AES、ICP-MSにおいて分析できない、しにくい元素

 

両ICPにおいて、分析しにくい元素、できない元素はいくつかあります。

 

おおよその金属を始めとした元素は分析することができると思っていて問題ないでしょう。

 

ただし、炭素、水素、酸素、窒素のなど液体化しにくいものであったり、フッ素などのアルゴン以上に分解するためのエネルギーが必要なものは分析しにくいです。

 

リチウムイオン電池の電極や活物質には、多くの場合炭素を含んでいる場合が多いです。

 

そのため、溶液に溶かす際、きちんと炭素を除去する等の前処理をきちんと行っていないと分析結果に悪影響を与える場合があるため注意しましょう

 

また、電解液中の塩にはフッ素を含んでいるLiPF6などが一般的に使用されていますが、上述の通りフッ素は分析しにくため、他の分析方法を使用することで対応しましょう。

 

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ICP-AES、ICP-MSの違いは?

それでは、各々の分析方法ではどのような違いがあるのでしょうか?

 

ICP-AESの方が検出下限値が高くなってしまいますが、その分主成分の分析に程よい(不純物を過度に感知しない)と言えるでしょう。

 

また、発光分析であるため、質量分析と異なり同位体の分析が行えないことがデメリットと言えます。

 

逆に、ICP-MSの方が検出下限値が条件がそろっていればpptオーダーまで下限値がいくものも存在します。

 

質量分析のため、同位体の分析が可能でありますが、原子量が小さいものであればあるほど他の大きい分子からの影響を受け、分析に悪影響を及ぼす場合があります。

 

ただし、全般的に見て両ICP分析ともに、定量分析を行え、その精度も大きくずれる(数%のずれ以上)ことは少ないため(サンプルの希釈濃度等やサンプル元素の組成にもよります)、信頼度の高い元素分析手法であると考えてよいでしょう。

 

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リチウムイオン電池におけるICP-AES、ICP-MSの使用事例

 

上にて、リチウムイオン電池の電極組成や活物質の元素分析に使用されると記載しました。

 

これは例えば、正極活物質には一般的にはコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、NMCと呼ばれるニッケル、マンガン、コバルトを含んだ酸化物などがあり、これらの少量の組成が電池の容量作動電圧、寿命特性などに大きく関わってきます。

 

そのため、信頼性のある定量分析を行う必要があり、精度よく定量分析が行えるICPは良く利用されています。

 

金属も溶かして分析できるために無機材料の分析には多々ICPが使用されているといえるでしょう。

 

単純に主成分の組成分析を行うだけでなく、不純物がどの程度含まれているの定量分析にも使用されます。

 

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