プレドープ、プレドープ電池とは?リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタとの違いは?

プレドープの意味、プリドープ電池とは?リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタにおけるプリドープ技術

 

スマホ向けのバッテリーや電気自動車向けバッテリーを始めとして採用されているリチウムイオン電池において、更なる高容量化、高電圧化、高エネルギー密度化に向けて、各企業で様々な研究開発が進められています。

 

その中でも、材料の中に反応するイオンを予めドープさせておく(少量材料中に入れておく)プレドープ(プリドープ)と呼ばれる技術があります。

 

このプリドープ、プレドープ技術は電気二重層キャパシタ(EDLC)をメインとして、リチウムイオン電池などにも採用されつつある技術であり、こちらのページではプレドープ(プリドープ)技術について解説しています。

 

・そもそもプレドープとは?リチウムイオン電池におけるプレドープの意味

 

・リチウムイオン電池におけるプレドープ技術使用電池とは? プレドープのメリット、デメリットは?

 

・リチウムイオン電池におけるプレドープの方法

 

というテーマで解説しています。

 

 

そもそもプレドープとは?リチウムイオン電池におけるプレドープの意味

 

プレドープとは、英語で表記しますとPre-Dopeであり、言葉の通り予めドープすることを指します。

 

そして、このプレドープ技術は電気化学デバイスであるリチウムイオン電池電気二重層キャパシタ(リチウムイオンキャパシタ)(EDLC)に応用されています。

 

どちらかというとリチウムイオンキャパシタの方に多く採用されている技術であり、リチウムイオン電池でも普及までには至っていないものの、プレドープを行った負極を使用した電池開発により高容量化に成功した等の報告がいくつかあります(2007年富士重工?の報告等)

 

こちらのページでは、リチウムイオン電池におけるプレドープの意味について解説します。

 

リチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、電解液、ケース等から構成され、以下のように構成されます(各部材の役割等はこちらで解説しています)。

 

一般的なリチウムイオン電池では、正極活物質にコバルト酸リチウムマンガン酸リチウムリン酸鉄リチウムを使用し、負極活物質には黒鉛チタン酸リチウムを使用することが一般的であり、下記ではコバルト酸リチウム、黒鉛を採用した場合のリチウムイオン電池の構成概要を解説しています。

 

 

 

そして、初回充電時に正極から負極の中へリチウムイオンがインターカレーションされる際に、SEIという被膜が形成されます

 

このSEI形成時にLiイオンを消費してしまうために、初回の充電量に対して放電容量が低下します(初回充電効率)。

 

そのため、低下したSEIの形成分にLiイオンが消費された分を差し引いた放電容量がその電池の放電容量となります(下図のイメージ)

 

たとえば、初回充電前に正極に入っているLiイオンの容量が10であるとし、負極に入っているLiイオンの量は0です。

 

そして、初回充電を行いLiイオンが負極に移る際にSEIの形成にLiイオン1分消費すると、負極にインターカレーションされるLiイオンの量は9となります。

 

この9の量が電池の放電容量に相当するといった具合です。

 

 

 

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リチウムイオン電池におけるプレドープ技術使用電池とは? プレドープのメリット、デメリットは?

 

これに対して、プレドープした電池は、負極のSEIを予め形成させておくことで、SEIで消費される分のLiイオンを充放電に利用することが出来ます。

 

上で解説の例の値を用いますと、正極に元から入っているLiイオンの量がそのまま放電容量とすることが出来るのです。

 

単純に 10/9 = 1.11倍の容量となります。

 

 

電極の厚みの増加量に対する電池の容量の増加量の方が一般的に大きくなりますので、プレドープを行うことで電池の容量、エネルギー密度を高くすることができるメリットがあります。

 

逆にデメリットとしては、負極にプレドープさせる技術は難しく、生産性があまり良くない場合が多いため結果として、コストが高くなる、品質が低下する傾向にあることが挙げられます。

 

ただし、日々研究開発が進んでいるために、徐々にデメリットが改善、普及に向けて進んでいると言えるでしょう。

 

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リチウムイオン電池におけるプレドープの方法

 

リチウムイオン電池における負極へのプレドープ方法としては以下のような方法が挙げられます。

 

Li金属やLi含有正極から負極へ電気的に充電する(プレドープ)方法

 

非常に単純な技術であり、外部電源を用いて電気的にLi金属やLiを含有する正極から負極へ充電を行うことで、プレドープを行う方法が挙げられます。

 

充電し負極のSEIを形成した後、もしくはさらに充電を行った状態の負極に対して、正極、セパレータと組みエレメントを形成すれば、上で解説した電池を作成することが出来ます。

 

同様にLi金属やLi含有正極と負極を短絡させることでも、プレドープを行うことが出来ます。

 

ただし、エレメントの形状が捲回式でも積層式でも、電解液が付いた負極を用いてエレメントを作製しなければならないために、生産することが難しいと言えるでしょう。

 

 

拡散により負極へプレドープする方法

 

また電気的に充電する方法だけでなく、Li金属と負極を接触させることによりプレドープすることも可能です。

 

ただし、これは電極の組成や材料等もよりますので、各種最適化が必要となります。

 

電気にプレドープさせる方法よりも、簡単に行えますがプレドープ出来る量や速度をコントロールすることが難しいと言えるでしょう(特にキャパシタでは静電容量を考えるためカーボン材料へのインターカレーションを考えなくて良いですが、リチウムイオン電池ではインターカレーション反応が起こりることでプレドープされるため、よりエネルギーが必要であると考えられるため)。

 

 

材料にプレドープ用のLi金属やLi含有物を混ぜ、充電時にプレドープする方法

 

電極作製するための混練時、負極もしくは正極材料自体にLi金属やLi含有物を混ぜ、充電時にプレドープさせる方法が挙げられます。

 

混ぜ込んだ分だけ、Liイオンが増えるため容量やエネルギー密度も上昇します。

 

ただし、Li金属や還元されやすいLi含有物を含ませるため、電池製造時の安全性が低下する傾向にあります。

 

適用する場合は各種材料や製造条件等の最適化が必要になります。

 

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