放射電熱

放射電熱(輻射伝熱)

 
このページでは、放射伝熱に関係する法則である

 

・プランク(Planck)の法則
・ウィーン(Wien)の変位則
・ステファン-ボルツマン(Stefan-Boltzmann)の法則
・キルヒホッフ(Kirchhoff)の法則

 

や、各モデルにおける伝導速度について解説しています。

 

伝熱の仕方(熱の伝わり方)の種類はこちらで解説しています。

 

放射伝熱と吸収率

伝導伝熱や対流伝熱では、固体中や液体、気体といった物体を介した熱の移動であるのに対して、
放射伝熱では物体ではなく、電磁波を介して熱を伝えます。

 

テレビなどでたまに見かけるサーモグラフによる温度測定は
この放射伝熱の原理を利用しています。

 

電磁波とは簡単に説明しますと、言葉の通りで電気と磁気の波のことで、
私たちにも見える可視光線や太陽の光にも含まれる紫外線等のことを表しています。

 

また、あらゆる物体はこの電磁波を放射しており、熱平衡状態では

 

物体の電磁波の吸収量=物体が電磁波を放射する量となっています。

 

 

入射された放射線は、

 

@物体に吸収される分(α)
A反射する分(ζ)
B透過する分(τ)

 

に分けられ、下図のようα+ζ+τ=1という関係式が成り立ちます。

 

 

物体により、吸収できる割合が異なります。

 

そして、α=1の時、つまり入射分すべてを吸収する物体のことを黒体と呼びます。

 

物体の電磁波の吸収量=物体が電磁波を放射する量であるため、 この黒体が最も電磁波を放出します。

プランクの法則

黒体からエネルギーが放射されることを、言葉そのままで黒体放射と呼びます。

 

また、単位面積、単位時間、単位波長あたりの放射するエネルギーのことを
単色放射能と呼び、波長と温度によりその大きさが変化します。

 

黒体放射と単色放射能の関係を表した法則をプランク(Planck)の法則と呼び、
以下の式で表されます。

 

 
この式において、横軸に波長λ、縦軸に単色放射能Ebλを取ると
下図のようになります。

 

また、赤色が1000K、緑色が900K、青色が700K辺りの波長と単色放射能の関係を表した
イメージ曲線です。

 

温度にもよりますが、波長が数μm〜数十μm辺りにある単色放射能が最大値を取る部分まで、
単調に上昇していき、最大値を取った後は単調に減少する曲線になります。

 

(なお、ウィーンの変位則について下図には記載していますが、説明は後程させて頂きます)

 

 
上図のように放射伝熱において、大きな単色放射能を持つ、つまり放射伝熱の影響が大きい値は
波長がおよそ0.2〜50μm程度です。

 

 

(参考(工事中)
可視光、赤外、紫外の区分図

 

 

 

ウィーン(Wien)の変位則

プランクの法則で波長と単色放射能の関係を示したように、
波長が数μm〜数十μm辺りにある単色放射能が最大値を取る部分まで、
単調に上昇していき、最大値を取った後は単調に減少する曲線になります。

 

単色放射能が最大値を取る波長の長さは、温度が高くなるほど低波長側にシフトしていることが
わかります。

 

身近な現象では、物質の表面温度が上がるほど色が高波長側の色(つまり赤→橙→黄→緑・・・)へ
変化していくことに対応しています。

 

これらはウィーン(Wien)の変位則と呼ばれる以下の法則により説明が付きます。

 

つまり、単色放射能が最大となる時の波長λと温度Tの積が一定であるため、
温度が上がると上記波長が短くなるのです。

 

 

 

 ステファン-ボルツマンの法則

伝導伝熱対流伝熱では、単位面積、単位時間あたりに移動する熱量のことを熱流束と呼びます。

 

これに対して放射伝熱において、単位面積、単位時間あたりに黒体から放射されるエネルギーのことを
放射能と呼びます。

 

原子力発電所の事故などでこの放射能という言葉は耳にしたことがあるかと思います。

 

この放射能は下記ステファン-ボルツマンの法則と呼ばれる下記式で定義されています。

 

放射能は温度の4乗に比例し、かつ温度のみの関数です。

 

 

(結果のみの記載で導出については工事中です)

 

この定数σはステファン-ボルツマン定数と呼ばれ、値は5.67×10^-8 /W・m^-2・K^-4です。

 

 

キルヒホッフ(Kirchhoff)の法則

このページの冒頭にも記載しましたが、

 

物体の電磁波の吸収量=物体が電磁波を放射する量

 

が成り立つこと自体をキルヒホッフの法則と呼びます。

 

また、実在する物体において、黒体のように入射エネルギーを完全に吸収するものはなく、
入射エネルギーの何割かが吸収されます。

 

具体的には、プランクの法則で説明した波長と単色放射能の関係において、
すべての波長における放射能の比が黒体より小さく、かつ黒体との比が一定であるものを
灰色体と呼びます。

 

実在物体は下図青色の点線のよう、複雑な変化挙動を取るのですが、
これでは工業、産業的に扱う場合に値として示せないため、
すべての波長において放射能の黒体との比が一定である(灰色体)と仮定しています。

 

 

 

簡易的な放射伝熱モデルにおける伝熱速度

物体間の放射伝熱の伝熱速度を簡易モデルを用いて、解説します。

 

無限に広がるとみなせる面積Aの黒体であり平行な位置関係にある平板1と2があるとし、
表面温度は各々T1、T2とし、放射の方向は2枚の平板と垂直方向にのみであるとした場合の
伝熱速度を考えます。

 

黒体であるため、黒体1から放射されたエネルギーは黒体2にすべて吸収され、
黒体2から吸収されたエネルギーは黒体1にすべて吸収されるため、
結局は黒体1と2から放射される伝熱速度の収支を取ったものが、伝熱速度となります。

 

上述したステファン-ボルツマンの法則を用いて、展開していくと下記のように
伝熱速度Qが算出できます。

 

 

 

次に、灰色体の場合の物体間の放射伝熱の伝熱速度を考えていきます。

 

ここで、上の放射伝熱と吸収率の項目にも記載したように、物体は入射エネルギーの一部を
吸収し、一部は反射や透過します。

 

計算の簡略化のため透過は起きないとすると、灰色体1から放射されたエネルギーのうち、
灰色体2で吸収されるエネルギーはα2とすると、1-α2のエネルギーは反射されます。

 

すると、灰色体2で反射されたエネルギーが灰色体1でそのエネルギーのα1分吸収、1-α1分を
反射・・・と繰り返されたりと、黒体と比べて複雑な反応が起こります。

 

そのため、これらの現象も含めて黒体の伝熱速度に総括吸収係数と呼ばれる?をかけるたものが、
灰色体での伝熱速度となります。

 

 
この総括吸収係数も条件により計算式が下記の通り変化します。

 

無限に広がる平行平板の場合は、1/F=1/ε1 + 1/ε2 -1 となります。

 

その他の条件におけるこの係数の算出は分量が多いため、別途こちらのページで
記載しています。

 

 


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