コンデンサーとは?
こちらのページでは高校物理における電磁気学の基本である
・コンデンサーとは何か?
・コンデンサーにためられる電荷と静電容量、電圧の関係
・静電容量の導出(電気力線の使用)
について解説しています。
コンデンサーとは何か?
ある異なる二つの物体をこすり合わせると、帯電により
片方の物体には正の電荷がたまり、もう片方には負の電荷がたまります。
正、負の電荷の対が存在するということは電気エネルギーをためていることであり、
このような原理を用い、電荷を貯められるよう装置のことをコンデンサーと呼びます。
(※高校物理の範囲から外れますが、実用化されている電気二重層コンデンサー等の
各種コンデンサーについてこちらで解説しています。)
二つの物体をこすり合わせる方法ではなく、電荷をためる方法としては、
下図のよう電池のプラス極に導体をつないだもの(導体1)と、
電池のマイナス極を導体でつないだもの(導体2)を近づける方法があります。
プラスとマイナス極が近くに存在するため引力により引き付けられている状態となり、
電池を外してもこの状態が保たれます。
高校物理では、下図のように平板上のコンデンサーモデルを扱い、下記に解説していきます。
(※高校物理の範囲から外れてしまいますが、電池とコンデンサーは別物であり、
一般的に電池の方が容量が大きいのですが充放電の速度(Cレートや時間率)が遅く、
逆にコンデンサーは容量が小さいのですが充放電の速度(Cレートや時間率)が非常に速い
という特徴を持ちます。)
コンデンサーにためられる電荷と静電容量、電圧の関係
コンデンサーの性能を表すパラメータの一つとして、容量が挙げられます。
コンデンサーにたまった電荷(ためられる電荷)、静電容量
(単に容量、電気容量と呼んだりします)、電圧の関係は以下の式で表されます。
上にまとめは記載しましたが、簡単にポイントを解説します。
コンデンサーにたまった電荷(ためられる電荷)Qは、
静電容量Cとコンデンサーにかかる電圧Vの積(つまりQ=CV)で表すことが出来ます。
そして、静電容量Cの中身を見ていきますと、
C = 1/4πk × S/d で表すことができます。
さらに、1/4πk は誘電率ε(イプシロン)と呼ばれる物質特有の値にも置き換えられるため、
C = ε × S/dとも表すことができます。
つまり、静電容量はコンデンサーの極板面積Sに比例し、極板距離dに反比例します。
よって、極板面積Sを大きくし、極板距離dを小さくする(狭くする)ことで、静電容量を大きく、
つまりためられる電荷の量を大きくすることができます。
また、静電容量Cの単位は[F(ファラッド)]と呼びますが、実用化されている
セラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサー(電気二重層キャパシタ)では、
μFやpFで表されることが一般的です。
静電容量の導出(電気力線の使用)
コンデンサーにためられる電荷はQ = CVで表され、かつ
C = 1/4πk × S/d= ε × S/dとも表すことができることを上で解説しました。
電気力線の定義に戻り考えていきます。
下記フローにおいて、左上図では、コンデンサーに電荷Q[C]たまった際
(正電荷が+Q[C]、負電荷が−Q[C]たまった状態)の電気力線の本数は
ガウスの法則より、電気力線の本数 = 4πkQ [本]です。
次に、電場つまり1m^2辺りの電気力線の本数をEとし、コンデンサーの極板面積をS[m^2]とすると
電気力線の本数 = ES [本]とも表されます。
これらは同じ意味で別の表現をしているだけであるため、
4πkQ = ES が成り立ちます。
さらに、コンデンサ−にかかる電圧V = Ed の関係式を変形し、 E = V/dを上式に代入すると、
C = 1/4πk × S/d を導出でき、
さらに Q = 1/4πk × S/d × V となります。
これらの導出の流れは入試等で良く見かけるので、きちんと理解しておきましょう!
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