分子結晶(分子間結合結晶)と分子間力 分子結晶の強さ、融点、電気伝導性
高校化学においてよく結晶の種類に関する問題が出題されます。
結晶には、イオン結晶、金属結晶、共有結合結晶(共有結晶)、分子結晶などがありますが、これらの違いについて理解していますか。
中でもここでは、分子結晶(分子間結合結晶)や関連する分子間力などの知識について解説していきます。
・分子結晶(分子間結合結晶)と分子間力 分子間力の強さは?
・分子結晶の性質 融点・沸点・電気伝導性
というテーマで解説していきます。
分子結晶(分子間結合結晶)の種類と例・分子間力 分子間力の強さは?
分子結晶とは、ファンデルワールス力などをはじめとする分子間力によって分子同士が結びつき結晶となっているもののことを指します。別の言い方では、分子間結晶結晶などとも呼ぶこともあります。
共有結晶、イオン結晶、金属結晶が原子での結びつきであったのに対して、分子結晶は分子の結合によって構造が形成されていることを理解しておきましょう。
代表的な分子結晶の例にはドライアイス、斜方硫黄、氷、ヨウ素、ナフタレン、パラ-ジクロロベンゼンなどが挙げられます。
例えば、分子結晶の氷であれば、以下のような構造をとっています。
※※
ドライアイス、ヨウ素、ナフタレン、p-ジクロロベンゼンなど、基本的に常温で昇華性をもつ物質が分子結晶には多い傾向にあるといえます。
ドライアイスなどはスーパーの冷凍食品などと、身近な部分にも使用されています。
※※
分子間力とは、詳しくはこちらで記載していますが、ファンデルワールス力、水素結合などの分子と分子の間に働く力を表しています。分子間力のなかでは水素結合は比較的強いですが、他の結合も含めて比較したケースでは、弱い分類となります。
つまり、分子間力は共有結合、イオン結合、金属結合、分子間力などのあらゆる結合の中でも最も弱く、共有結合>イオン結合>金属結合>分子間力を覚えておきましょう。
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分子結晶の性質 電気伝導性、延性・展性、融点
このように共有結合によって構成粒子が配置されてできる共有結晶ですが、どのような性質があるのでしょうか。以下で確認していきます。
電気伝導性は基本的に持たない
分子結晶の代表的な特徴の一つに電気伝導性を持たないことがあげられます。
分子性結晶に電気伝導性がない理由としては、金属結晶などとは異なり自由電子が基本艇にないためです。通電に関する物質である自由電子がないために、導電性がないのです。
融点・沸点が低く、昇華性物質が多い
また、分子結晶は融点や沸点が低いという性質を持ちます。具体的には、他の種類の結晶と比較した場合では共有結晶>イオン結晶>金属結晶>分子結晶という順番です。
結合が切れることで状態変化を引き起こすため、分子間力のように結合が弱い切れやすい結合をもっていると状態変化が容易に起こることになります。結果として、沸点や融点が低くなるのです。
なお、常温化では融点や沸点を持たずに、直接昇華するという昇華性物質も多いです。これも結局は、分子間力が小さいことが主な理由です。
柔らかく脆い
このように、結合が弱いことは物質の硬さや脆さにも影響を与えます。具体的に分子結晶では、柔らかく、かつ脆いということを覚えておきましょう。
こちたでも身近な分子結晶のドライアイスなどを覚えておくといいです。
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