金属結晶と金属結合 金属結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質

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金属結晶と金属結合 金属結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質

 

高校化学においてよく結晶の種類に関する問題が出題されます。

 

結晶には、イオン結晶、金属結晶、共有結合結晶(共有結晶)、分子結晶などがありますが、これらの違いについて理解していますか。

 

中でもここでは、金属結晶や関連する金属結合などの知識について解説していきます。

 

 

・金属結晶と金属結合 

 

・金属結晶の性質 融点・沸点・電気伝導性

 

というテーマで解説していきます。

 

 

金属結晶と金属結合 金属結合の強さは?

 

金属結晶とは、金属結合によって原子同士が結びつき結晶となっているもののことを指します。単に金属と読んだり、金属化合物や金属結合結晶、金属結合性結晶なととも呼んだりもします。

 

代表的な金属結晶にはアルミニウム、銅、鉄などがあげられます。これらは、規則的に並んだ金属の粒子と隙間を摂る自由電子から構成されます。

 

金属結晶のイメージは以下のような図で表すことができます。

 

 

後に解説しますが、自由電子が存在しているために、さまざまな金属結晶特有の特徴が生まれるのです。

 

この金属結合の強さはファンデルワールス力をはじめとした分子間力と比較すると、大幅に強い結合といえます。ただ、共有結晶(共有結合性結晶)やイオン結晶(イオン結合性結晶)と比べると、結合力は低いです。

 

つまり、共有結合>イオン結合>>金属結合>分子間力となることを覚えておきましょう。

 

 

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金属結晶の性質 電気伝導性、延性・展性、融点

 

このように金属結合によって構成粒子が配置されてできる金属結晶ですが、どのような性質があるのでしょうか。以下で確認していきます。

 

電気伝導性を持つ

 

金属結晶の代表的な特徴の一つに電気伝導性をもつ導体であることがあげられます。わかりやすく言いますと、電気を通すことができる性質をもつといえます。

 

金属が電気伝導性をもつ理由としては、自由電子が大きく関係しています。言葉の通り、金属の隙間を電子が自由に移動できるために通電できるのです(電流の定義はこちらで解説していますが、電子が移動することそのものが通電していることとなります)

 

以下のようなイメージです。

 

 

イオン結晶などでは、基本的にクーロン力により結びついているために、電気伝導性をもっていません。ただ、水に溶けることで電離して初めて電気伝導性をもつようになるといえるのです。

 

また、当サイトではリチウムイオン電池に関する情報をメインで発信していますが、ショート(短絡)の原因もこの金属である場合が多く、気をつけるといいです)

 

 

融点が比較的高い

 

また、金属結晶は融点が比較的高いという性質を持ちます。具体的には、他の種類の結晶と比較しますが、共有結晶>イオン結晶>金属結晶>分子結晶という順番です。

 

 

結合が切れることで状態変化を引き起こすため、状態変化が起こる温度を表す融点はこの結合の強さの影響をうけます。

 

つまり、基本的には上記の通りの順に融点が並ぶのです。分子結晶よりは融点が高いが、共有結晶やイオン結晶よりは低い位置にあるのが金属結晶といえます。

 

 

延性・展性をもつ

 

延性・展性とは金属をたたいたり、ひっぱたりすることで、薄く広げたり、伸びたりする性質のことを表します。

 

金属では、基本的に延性・展性をもちます。

 

例えば、アルミニウムであったら引っ張ってみると以下のような様子です。

 

 

実は、金属が延性や展性をもつことは、実は自由電とが深く関係しています(別ページで解説しています)。

 

また、延性・展性をもつために、粘り強い(脆くない)性質をもつのも金属結晶の特徴です。

 

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