ド・ブロイの物質波とハイゼンベルグの不確定性原理

ハイゼンベルグの不確定性原理とは?

 

電気化学において電子移動現象について理解することは必要不可欠です。

 

そして電子移動現象を理解するには、量子化学の基礎的な知識を理解する必要があり、このページでは、

 

・ド・ブロイの物質波と電子波
・ハイゼンベルグの不確定性原理

 

について解説しています。

 

 

 

ド・ブロイの物質波と電子波

高校物理のカテゴリーでも解説していますが、電磁波は波としての性質と粒子としての性質を持ちます
(物質波の考え方をこちらのページでもおさらいさせて頂きます。)

 

固い言葉で説明しますと、波動性と粒子性を併せ持つと表現できます。
 
そして、この波動性と粒子性を結びつける式のことをド・ブロイの物質波の式と呼び、以下のように表すことが出来ます。
 
 

 

このド・ブロイ波の式を電子にも適用して考えることができ、解説します。

 

電子が示す波動性のことを電子波と呼び、SEMなどではこの電子波の性質を利用し、非常に高い分解能でサンプルを観察することができるのです。

 

例として、SEMにおいて10kVで電子を加速させ電子ビームを試料に照射しようとした際の電子の波長がどの程度か計算してみましょう。

 

まず、一般式を考えますと印加電圧と運動エネルギーの関係は  1/2 mv^2 = eV で表されるため、これを式変形して整理すると以下のようになります。

 

 

 

これに値を代入して解くと およそ3.89Å(0.389nm)と非常に小さい値となることがわかります。

 

次に、ハイゼンベルグの不確定性原理について解説していきます。

 

 

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SEMとは?SEMの測定原理
ド・ブロイの物質波とは

 

 

ハイゼンベルクの不確定性原理とは?

ハイゼンベルグの不確定性原理とは、「位置と運動量は同時に確定することはできない」という原理のことです。

 

初めて聞く人にとっては理解が難しいかもしれませんので、順を追って解説していきます。
 
 

定常波と非定常波の理解

 
上でド・ブロイの物質波の式を解説しました。
 
この式をボーアの原子模型の条件式(角運動量は連続でなくとびとびの値をとることを示した式)に適用しますと以下のように変形することができます。
 
 
 
 
そして、この式は原子軌道の円周の長さが波長の整数倍になる条件式といえます。
 
この条件を満たす式のことを定常波と呼び、またこの状態を定常状態と呼び、安定に存在します。
 
逆に満たさない場合を非定常波と呼び、同様に非定常状態と呼び、安定に存在しません。
 
 
 

ハイゼンベルクの不確定性原理

 

ハイゼンベルグの不確定性原理とは、「位置と運動量は同時に確定することはできない」という原理であるということを上述しましたが、この原理を証明するために「位置の誤差」と「運動量の誤差」というものを考えていきます。
 
ある辺の長さLの箱の中に一粒の粒子があるとします。
 
すると粒子の位置の誤差凅、つまり存在する範囲は箱の隅から隅まで存在可能性があるため、Lとなります。
 
そして、ド・ブロイの物質波の考え方を適用し、粒子は波であると考えた場合、安定に存在するためには定常波になる波長をもっていることになり、最も長い波長で2L、となりその時の運動量 mv = h/2L となります。
 
ただし、正、負の両方向があるために運動量の誤差冪 = h/L であります。

 

ここで箱の長さLを小さくすると凅が小さくなりますが、冪が逆に大きくなってしまいます。 逆にLを大きくすると凅は大きくなりますが、冪は逆に小さくなります。

 
このように、片方の値を決めようとするともう一方の値が決まりません(不確定です)。
この法則をハイゼンベルグの不確定性原理と呼びます。

  ちなみに、各々の誤差を掛け合わせると凅冪 = hとなります。   関連記事
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