標準電極電位とは?(電子のエネルギーと電位の関係から解説)
このページでは、
・電子のエネルギーと自然変化の方向
・標準電極電位とは?
について解説しています。
電子のエネルギーと自然変化の方向
標準電極電位を理解するためには、電子のエネルギーと自然変化の方向の関係を理解することが必要です。
通常の化学反応であれば、反応系→生成系のギブズエネルギーが負であれば、反応は自発的に進み、
かつその絶対値が大きければ反応の推進力も大きいと言えます。
ただし、電池反応のように電子の授受を含む反応を電子授受反応(電気化学反応)では考え方が少し異なります。
電子授受反応の自然変化の向きを考える場合は下図のように、電子のエネルギーに着目します。
電子の持つ電荷は−(負)であるため、正電荷とは逆で電位が−の方がエネルギーが高い、つまり電位が− → +の方向に自発的に反応が進みます。
電子授受反応と電子を出しやすい電極電位と電子を受け取りやすい電極の電位の関係がわかりましたら、次に標準電極電位について解説します。
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標準電極電位とは?
標準電極電位の標準とは、反応物質の活量が1であることを表しています。
そして、下記のような電子授受平衡(電気化学平衡)において、酸化体、還元体をまとめたものの活量を1と考えた場合の、つまりアノード反応、カソード反応が釣り合う場合の動作電極の電位を標準電極電位と呼びます。
通常は標準水素電極(SHE)を基準とした時の値で表します。
標準水素電極の値は、金属の電子状態(フェルミ準位)と深い関係があります。
各々の金属の電子の出しやすさが異なるため、その値つまり電子のエネルギーも異なります。
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