状態関数と経路関数 示量性状態関数と示強性状態関数とは?

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状態関数(状態量)と経路関数 示量性状態関数と示強性状態関数とは?

 

電気化学を理解する上で、「エネルギー変換の仕組み」や「エンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギー」といったエネルギーの相互変換の基礎となる式について理解することは大事です。

 

ここで、エンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギーは状態関数と呼ばれています。それでは、この状態関数(状態量)とはどのようなものなのでしょうか?

 

ここでは、状態関数(状態量)に関する以下の内容について解説していきます。

 

・状態関数と状態量

 

・状態関数と経路関数

 

・状態関数の分類 示量性と示強性

 

というテーマで解説していきます。

 

 

状態関数と状態量

 

状態関数とは別名状態量とも呼ばれ、ある状態さえ決まっていれば、反応経路や履歴を問わず、一定の値となる物理量のことを指します。

 

状態関数は、先にも述べたようなエンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギーなどが代表的な例です。
状態関数の種類としては、主に示強性をもつか示量性をもつかで分類することができます。

 

示強性状態関数とは、状態関数の中でも「強さ」を表すものです。強さを表すために、その物質の量が増えたとしても示強変数の値は変化しません。

 

一方で、示量性状態関数とは、状態関数において「量」を表すものといえます。量に依存するために、その物質が増加したり減少したりすると、示量性状態関数も増えたり減ったりします。

 

 

 

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状態関数と経路関数

 

このように、状態関数つまり状態量は物質の状態さえ決まれば、その大きさが決まるのです。

 

一方で、反応経路によって、始状態と終わり状態の大きさが変化する関数のことを経路関数と呼びます。

 

経路関数では反応過程をすべて考慮していかないと、その数値を決められないため、大学の基礎課程などでは深く扱わないことが多いです。ただ、状態関数と逆の位置づけにあるものとして、経路関数があることはきちんと理解しておきましょう。

 

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状態関数の分類 示量性と示強性

 

このように、状態量は示量変数か示強変数かで分けることができます。
以下で示量性と示強性の状態関数を考えていきましょうl。

 

示量性状態関数

 

エンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギー
・体積
・質量(ちなみに質量と重量の違いはこちらで解説しています)
・物質量
・内部エネルギー

 

があげられます。これらの量が物質の量が増えるとその値も変化します。
 

示強性状態関数

 

一方で示強性の状態関数は以下のものが挙げられます。

 

・圧力
・濃度
・密度
化学ポテンシャル(モルギブズエネルギー)
・温度
標準電極電位(標準酸化還元電位)

 

化学ポテンシャルはモル当たりのギブズエネルギーであり、示強性か示量性の変数を規格化したようなものと覚えておくといいです。

 

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