錯体・キレート 錯体平衡の計算問題を解いてみよう【演習問題】
・錯体・キレート平衡の計算問題 その1
というテーマで解説していきます。
錯体・キレート平衡の計算問題 その1【演習問題】
それでは、頻出の錯体解離平衡に関する演習問題を解いてみましょう。
例題
「0.2mol/Lのアンモニア溶液500ml」と「0.1mol/Lの硝酸(HNO3)と0.0001mol/Lの硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)をを含む溶液500ml」を混ぜたとします。
この溶液における錯体([Zn(NH3)4]2+の安定度定数(生成定数)は4×10^9のときの、Zn2+の濃度を求めましょう。
解答・導出手順
以下の手順に従って計算しましょう。
①2種類の溶液を混ぜるために初期濃度が薄まることに気を付ける
各々の成分の初期濃度を考えていきましょう。
つまり、混ぜようとした瞬間(各反応は起こっていないが体積が増えたとします)では、アンモニア(NH3)の濃度は溶液中に0.1mol存在し、同様に硝酸は0.05mol存在し、硝酸亜鉛は0.00005mol含むことになります。
②中和反応が起こる
酸塩基反応である中和反応がおこり内部の濃度の状態が変化していきます。以下のような反応です。
NH3 + HNO3 → NH4NO3 において、硝酸の0.05molで制限されるため、中和後の濃度はアンモニアNH3の濃度は0.05molとなり、HNO3は0mol、NH4NO3は0.05molとなります。
ここで、硝酸亜鉛から生成する亜鉛イオンの濃度[Zn2+]は上の反応とは関係なく、0.00005molこの時点では含まれます。
錯体生成反応が起こる
さらに、この亜鉛(Zn2+)とアンモニアの反応により錯体が形成されます。以下の反応の通りです。
Zn2+ + 4NH3 → Zn(NH3)4^2+ です。
このときの濃度は亜鉛イオンに制限され、Zn(NH3)4^2+ = 0.00005mol/L で、アンモニアの濃度はほぼ変化していないとみなし(近似し)0.05molのままと考えます。
錯体解離平衡の平衡定数を算出する
最後に錯体平衡における平衡定数(安定度定数)から錯体からZn2+が解離時の亜鉛イオンの濃度Xとして、算出していきましょう。
解離時は上の錯体形成時の逆の反応が起こります。
K(βとも記載) = (0.00005 - x ) / (x ・ (0.05 + 4x )^4 )となります。
この値が4 × 10^9であり、xについて解きましょう。
ただ、このまま解くと非常に難しい計算となるため、非常に小さい値は近似しましょう。
つまり、 4×10^9 =(0.00005 ) / (x ・ (0.05 )^4 ) を解けばいいです。
すると、x = 7.8 × 10^-20と非常に小さいものになります。結果として上で行った近似は適用できると考えていいです。
基本的に錯体の平衡定数に関する問題は物質が変化しても上の流れにしたがうといいです。
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