簡易的な比熱の測定方法
電気自動車向け(EV)にはリチウムイオン電池が主に使用されており、特にラミネート型電池が使用されることが一般的です。
このEV向けのラミネート型電池には非常に高い出力特性が求められますが、その際の電池の自己発熱により、電池自体が非常に高温になる場合があります。
電池が高温になる部位として、タブリードにおける発熱の影響が大きく、ここの発熱を抑制するためにも、電池の熱伝導度や比熱をきちんと設計する必要があります。
このページでは
・簡易的な比熱の測定方法
というテーマで解説しています。
簡易的に比熱を測定する方法
厳密に比熱を測定する方法としては、
断熱型比熱測定法、DSC法、レーザーフラッシュ法等が存在します。
ただしこれらのように厳密に比熱を測定するには、各々精密な装置が必要です。
企業の製品情報に記載する等、厳密に測定が必要な場合は上記のいずれかの方法で
測定することが好ましいでしょう。
しかし、学生実験等、比熱の意味を理解することを主な目的としてある簡易的な実験において、
厳密な測定が必要でないケースには以下のような簡易的な測定方法があります。
具体的な例を元に解説していきます。
準備するもの
①発泡スチロールの容器(可能であれば上下ケース嵌合式)
(なるべくきちんと上下ケースが嵌合するものが好ましい)
②水(情報が既知であるとします)
③測定したいサンプル(今回は体積が既知の銅の角柱としてみましょう。つまり銅の比熱が未知であり、
今回その値を実験により算出しようとしています)
④温度計
⑤ガムテープ
実験方法
下図のように、準備したもので装置を組み立てていきましょう!
ポイントは以下の通りです。
①上ケースに穴を空け、温度計を下ケースと嵌合した時、下ケースの底に当たらない位置で固定します。
②下ケースに予め質量、温度を測定した水を入れます。
③恒温槽などで一定温度(例えば70℃で保温)にした銅の角柱を用意し、冷めないうちに水に投入し、
急いで上ケースと下ケースを嵌合させ、熱がより逃げないよう嵌合部をガムテープ等で固定します。
そして、しばらく放置し、温度計の温度が一定となったら試験を止めましょう。
(厳密な断熱でないため、放熱により温度が下がり続ける可能性があるため、温度変化が
ある程度小さくなったところ(例えば1℃/分程度以下になった)で止めてよいでしょう)。
解析方法
比熱と熱収支の関係式Q=mc⊿T式を用いて、サンプルの比熱を計算してみましょう。
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