粒子の沈降とは?ストークスの法則やストークス径とは何か【演習問題】

粒子の沈降とは?ストークスの法則やストークス径とは何か【演習問題】

 

当サイトでは、リチウムイオン電池をメインテーマとして各種解説をしていますが、リチウムイオン電池だけでなく、製造業において化学工学の知識は不可欠です。

 

例えば、リチウムイオン電池の製造工程としては、電極スラリーを混練する際の撹拌する力や与えるエネルギーの設計、電極スラリーを混練したあとの電極基材へ塗布した後のコーターでの乾燥条件の設計などに化学工学の知識が必要になる場合があります。

 

他にも正極・負極活物質は粉体であり、粉体をふるい分けたり濃縮したりする際の設計にも、化学工学が必要です。

 

ここでは、化学工学における基礎技術である「分級分離や濃縮技術」の中でも重要な粒子の沈降について解説していきます。

 

・粒子の沈降とは?ストークスの法則と終末速度

 

・終末速度を計算してみよう 粒子の沈降の計算問題【演習問題】

 

 

というテーマで解説しています。

 

 

粒子の沈降とは?ストークスの法則と終末速度

 

粒子の沈降とは、ある溶媒中に、溶媒にとけない粒子を入れた際に徐々に沈んでいく現象のことを指します。

 

粒子の沈降速度について、粒子を一つとりだしある液体中にいれたときの、沈降速度を以下で考えていきましょう。

 

まず、粒子一粒が受ける力について考えていきます(浮力の考え方をもとに式を立てましょう)。

 

下図のように、粒子には重力による力と浮力による力が働きます。

 

 

ここで、粒子の質量をm[kg]、重力加速度をg[m/s^2]、粒径をD[m]、粒子の密度をρ粒[kg/m^3]、液体の密度をρ液[kg/m^3]とします。

 

すると、F重=mg となり、これろ粒径などを用いた式に変形すると、F重=π・D^3・ρ粒・g / 6となります。
一方浮力は、液体の密度×排除体積であるため、F浮=π・D^3・ρ液・g / 6となります。

 

ここで、沈降速度を考える際は沈降する方向を正と考え、こちらの向きに働く力のことを有効重力と呼びます。

 

有効重力W = F浮 ー F重 = (π・D^3・g / 6)(ρ粒-ρ液)となります。

 

さらに加えて、沈降するときには抵抗力を液体からうけます。この抵抗力 R抵 は「粒子のレイノルズ数Re(粒)をまず算出し、2より小さいときに後程解説の式が成立する」というものです。

 

粒子のレイノルズ数Re(粒)は以下の式で求められます。

 

 

終末速度とは粒子の沈降が進み、加速される中で抵抗力が大きくなると有効重力とつりあうようになり、このときの一定となった速度のことを指します。

 

基本的にはこの粒子のレイノルズ数が2以下では、抵抗力の概算値が以下のストークスの抵抗法則に従うとします。

 

ただ、計算の手順としては、「一旦ストークスの抵抗法則で抵抗値を計算し、終末速度を計算したのちに、粒子のレイノルズ数が2以下かどうかを判定する」という流れが基本です。

 

以下がストークスの抵抗法則における粒子の沈降時の抵抗の計算方法です。

 


この式におけるvは終末速度を表しています。

 

 

さらに、終末速度は有効重力とストークスの法則における抵抗値がつりあうときの値であるため、有効重力=抵抗力という式を解くことによって、導出することができます。

 

以下の通りです。

 

 

ただ、先にも述べたように粒子のレイノルズ数が2以下のときのみに成立する式です。

 

理解を深めるために以下の計算問題を解いてみましょう。

 

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終末速度を計算してみよう 粒子の沈降の計算問題【演習問題】

 

例題

 

粒径が0.5mmの玉を、粘度が2.5P・sで比重が2g/cm^3の液体中の沈降させたとします。
玉の材質は鉄であり、その比重が8g/cm^3であるときの終末速度を計算してみましょう。

 

解答
 
先ほど導出した終末速度の定義に従って、終末速度を求めていきましょう。
 

 
V=(8 - 2) × 10^3 × 9.8 × (5 × 10^-4)^2 / (18 × 2.5) = 3.27 × 10^-4 m/sと算出できました。

 

ここで、粒子のレイノルズ数が2以下となっているかどうかを確認しましょう。

 

Re=Dv/µに代入して、 5 × 10^-4 × 3.27 × 10^-4  / 2.5 = 6.5 × 10^-8 と2より大幅に小さいことを確認できたため、上の終末速度であると判断できます。

 

ちなみに粒子ではない形状のものも、終末速度を測定し上の式に当てはめDを算出することで、粒子形状でなくてもそれに相当する大きさに換算することができます。このときの径Dををストークス径とよびます。

 

計算式がわからなくなっても導出できるように過程をきちんと理解するといいです。

 

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