【電池の歴史】電池の歴史 ボルタ電池~リチウムイオン電池、全固体電池まで

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【電池の歴史】電池の歴史 ボルタ電池~リチウムイオン電池、全固体電池まで

 

最近では、スマホ向けバッテリーから電気自動車搭載電池、家庭用蓄電池などの用途にリチウムイオン電池を始めとした二次電池が注目されています。

 

また、更なる高容量高エネルギー密度を有する次世代電池として全固体電池も徐々に研究が進みつつあり、今後の社会には電池を含めた電気エネルギーの更なる普及が予想されます。

 

このように電池の技術がどんどん進んでいっていますが、そもそもどのような歴史が電池にはあったのか気になりませんか?

 

こちらのページでは、電池の歴史と各電池の構成、特徴、使用材料の概要について解説しています。

 

・電池の歴史1 ボルタ電池、ダニエル電池

 

・電池の歴史2 鉛蓄電池、マンガン乾電池

 

・電池の歴史3 ニッケル・カドミウム電池(ユングナー電池)、リチウムイオン電池

 

というテーマで解説しています。

 

 

電池の歴史1 ボルタ電池、ダニエル電池

時系列をベースに電池、電気化学の歴史について解説していきますね。

 

①1791年_蛙の足に異種金属を接触すると痙攣する現象の発見

 

電池、電気化学という学問が始まったきっかけとしましては、1791年にガルバーニさんが蛙の足に異種金属を接触させると蛙の足が痙攣することを発見したことから始まります。

 

ポテンショスタットが電位制御装置、ガルバノスタットが電流制御装置として有名ですが、このガルバノスタットはガルバーニさんの名前にちなんでいます。)

 

当時は電気というものが何か?等もわかっていなかったため、何かしらの反応が起こっていることしかわかっていませんでした。

 

 

②1800年_ボルタ電池の発明

 

そして、この蛙の足の痙攣の現象の解明に取り組んだのが、ボルタ電池で有名であるボルタさんです。

 

そこでまさに有名なボルタ電池を発明したのです。

 

詳細はこちらで解説していますが、正極に銅、負極に亜鉛を使用し、電解液に希硫酸(H2SO4)を用いた一次電池のことを指します。

 

イオン化傾向(詳細は標準電極電位)により、正極がよりイオンになりにくい銅、負極がイオンになりやすい亜鉛となっています。

 

ただし、このボルタ電池では反応により正極の銅で発生する水素により分極と呼ばれる現象が起き、劣化してしまう課題がありました。

 

 

③1836年_ダニエル電池の発明

 

この課題を解決したのがダニエル電池で有名なダニエルさんです。

 

電解液を正極、負極用にわけ、かつ混ざらないようにイオンのみ通す壁で区切った構造に進化しています。

 

具体的には、正極に銅と電解液として硫酸銅溶液、負極に亜鉛と電解液として硫酸亜鉛、壁に多孔体を使用しています。

 

ここまでが一次電池、つまり充電が行えない電池として、現在でも存在するマンガン乾電池や、アルカリマンガン乾電池のベースの考え方となっています。

 

 

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電池の歴史2 鉛蓄電池 マンガン乾電池

④1859年_鉛蓄電池の発明

 

現在も多くの製品に使用されている鉛蓄電池ですが、元の原理は1859年にプランテさんにより発明されました。

 

つまり150年近くもこの原理が使用され続けており、非常に凄いことだといえます。

 

また、充電可能な二次電池としても初めての発明といえます。

 

原理は正極に二酸化鉛(PbO2)、負極に鉛(Pb)、電解液に硫酸を使用しています。

 

 

⑤1866年_ルクランシェ電池の発明

 

その後、マンガン乾電池の基礎となったルクランシェ電池と呼ばれる電池がルクランシェさんにより発明されました。

 

これは一次電池であり、正極に二酸化マンガン、炭素棒(正極の電解質)を使用し、負極に亜鉛、塩化アンモニウム溶液(負極の電解質)を使用しており、現在普及しているマンガン乾電池の電解質が液体である電池とも言えるでしょう。

 

ここで、マンガン乾電池が「乾」電池と命名されている理由は、このルクランシェ電池では電解液を使用している電池、つまり湿電池であるのに対して、液体の扱いにくさや液漏れ防止を考慮、改良し電解質を固体に近づけた乾いたがマンガン乾電池であるためです。

 

 

⑥1887年_マンガン乾電池の発明

 

そのため、マンガン乾電池とルクランシェ電池の構成はほぼ同じです(上述のよう電解質を固体に近づける改良が加えられており、ガスナ-さんにより発明されています)。

 

電解液を固めるための、石膏が加えられていることが違いといえます。

 

詳細はこちらで解説していますので、参考にしてみてください。

 

なお、マンガン乾電池の出力などを上げた電池ともいえるアルカリマンガン乾電池(アルカリ電池)についてはこちらで解説しています。

 

マンガン乾電池とアルカリマンガン乾電池では、内部抵抗なども異なるために、直列や並列にして同時に使用すると電池残量のバランスなどがくずれ、異常状態、液漏れの発生などを起こす場合がありますので、気をつけましょうね。

 

また、同じタイミングで日本人の屋井先蔵さんによっても、屋井電池と呼ばれるマンガン乾電池と似たような電池を発明されていたようですが、特許の関係からマンガン乾電池の方が世間に認められ、現在に至るようです。

 

研究開発の世界では、同時期に同じこと、発明を考えている人が3人はいるといわれていますが、その際早い段階で特許申請、権利を確保しておくことが技術者として重要と言えるでしょう。

 

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電池の歴史3 ニッケル・カドミウム電池(ユングナー電池)、リチウムイオン電池

 

⑦1899年_ニッケル・カドミウム電池発明

 

そして、次いでニッケル・カドミウム電池がユングナーさんにより発明されました。

 

鉛蓄電池と同様の二次電池であり、このニッケル・カドミウム電池も現在においても普及が続いています(ただし、カドミウムの使用を控える時代の流れ(環境負荷の低減)のため、徐々にニッケル・水素電池にシフトしつつあります。)。

 

構成の概要としましては、正極にオキシ水酸化ニッケル、負極にカドミウム、電解液に水酸化カリウムが使用されています(現在普及はしていないですが、似たような構成であり、カドミウムの代わりに鉄を使用している電池(エジソン電池と呼べれています)も近い時期に発明されていますが、性能上の問題から今では使用されていません)。

 

⑧リチウムイオン電池

 

他にも各種電池の発明がなされているが、現在電気自動車やスマホ向けバッテリー、家庭用蓄電池などの非常に多くの電池に採用されつつあるリチウムイオン電池は、1985年に日本の吉野彰氏(旭化成)らにより発明されています。

 

また実用化はその6年後の1991年にされており、現在のところ、エネルギー密度や寿命特性など最も高い水準にある電池として、電池メーカーにてその研究開発が盛んにおこなわれています。

 

さらに、リチウムイオン電池において電解液を固体電解質に変えたものである全固体電池ではリチウムイオン電池以上の高エネルギー密度、安全性を実現できるポテンシャルがある次世代電池として、徐々に注目が増しつつあります。

 

このようにして、電池は非常に長い歴史を持ち、かつ徐々に進化してきました。

 

今後はIOT化も進んでいく中で、更なる電池の開発・進化が進んでいくことが予想され、さらに便利な世の中になっていくことでしょう。

 

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