リチウムイオン電池とその種類【コバルト系?マンガン系?オリビン系?】

リチウムイオン電池とその種類【コバルト系?マンガン系?オリビン系?】

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リチウムイオン電池の種類とは?【コバルト系?マンガン系?オリビン系?】

 

「電池」と一言でいっても、「マンガン乾電池」「アルカリ電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」などなど多くの種類があります。

 

中でもリチウムイオン電池は、スマホバッテリー、電気自動車、家庭用蓄電池など、今後需要がさらに増していく分野において採用されています。

 

ただ、リチウムイオン電池といっても実は種類が多くあることを知っていますか?

 

ここでは、「リチウムイオン電池の種類」について詳しく解析していきます。

 

 

・リチウムイオン電池の種類 構成材料による分類

 

・リチウムイオン電池の種類① コバルト系

 

・リチウムイオン電池の種類② マンガン系

 

・リチウムイオン電池の種類③ オリビン系(リン酸鉄系)

 

・リチウムイオン電池の種類④ 三元系

 

・リチウムイオン電池の種類⑤ LTO系(チタン酸系)

 

 

・リチウムイオン電池の種類 電池の形状による分類

 

・リチウムイオン電池の種類 円筒型電池(18650系電池など)

 

・リチウムイオン電池の種類 ラミネート型電池

 

・リチウムイオン電池の種類 角型電池

 

というテーマで解説していきます。

 

リチウムイオン電池の種類 構成材料による分類

リチウムイオン電池の種類といっても、その分類方法によって種類も変化します。

 

まずは、電池の中身である正極材(正極活物質)と負極材(負極活物質)に何を使用するかで分類した際の、リチウムイオン電池の種類について以下で解説していきます。

 

材料による分類では、主に正極材や負極材に何が使用されているかに着目して種類分けを行ったいます。

 

以下で確認していきます。

 

リチウムイオン電池の種類① コバルト系(正極材にコバルト酸リチウムを使用)

 

リチウムイオン電池は基本的に正極、負極、セパレータ、電解液、ケースなどから構成され、以下のようにリチウムイオンが移動することで充放電ができる電気的なデバイスです。

 

リチウムイオン電池の構成や構成部材の役割は以下の通りです。

 

 

このような構造のリチウムイオン電池ですが、主に使用している正極材と負極材に何を使用しているかによって、リチウムイオン電池の種類が分類されることが基本です。

 

スマホ向けバッテリーや従来からのリチウムイオン電池に多く使用されている正極材(正極活物質)として、コバルト酸リチウムという部材があります。

 

このコバルト酸リチウムを正極材に使用したリチウムイオン電池の種類のことを「コバルト系」や「コバルト系リチウムイオン電池」などとよびます。

 

コバルト系のリチウムイオン電池では、基本的に負極に黒鉛(グラファイト)を使用しています。コバルト系のリチウムイオン電池の特徴としては、リチウムイオン電池の中では容量、作動電圧、エネルギー密度、寿命特性などの電池に求められる性能のバランスが取れているといえます。

 

平均作動電圧は3.7V付近です。

 

コバルト系のリチウムイオン電池における充放電曲線(充放電カーブ)は以下の通りで、なだらかな曲線を描いて満充電状態(充電上限電圧)から放電状態(放電終止電圧・カットオフ電圧)まで電圧が低下していきます(放電時)。

 


コバルト系リチウムイオン電池の課題(デメリット)としては、過充電や外部からの強い衝撃がかかると、電池の短絡(ショート)が起こり、熱暴走、破裂・発火に至る場合があることです。これは、リチウムイオン電池全般にいえるデメリットです。

 

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リチウムイオン電池の種類② マンガン系(正極材にマンガン酸リチウムを使用)

 

コバルト酸リチウムの容量や作動電圧は下げずに、リチウムイオン電池の課題である安全性が若干改善された正極材にマンガン酸リチウムというものがあります。

 

マンガン酸リチウムを正極の電極材として使用したリチウムイオン電池の種類のことを「マンガン系」や「マンガン系リチウムイオン電池」などとよびます。

 

マンガン系のリチウムイオン電池は主に、電気自動車搭載電池として多く使用されています。

 

マンガン系のリチウムイオン電池では、基本的に他のリチウムイオン電池と同様で負極材に黒鉛(グラファイト)を使用しています。マンガン系のリチウムイオン電池の特徴としては、リチウムイオン電池の中では容量、作動電圧、エネルギー密度、寿命特性など、コバルト酸リチウムと同様に高く、バランスがとれている電池といえます。

 

平均作動電圧はコバルト系と同様で3.7V付近です。

 

マンガン系のリチウムイオン電池における充放電曲線(充放電カーブ)は以下の通りで、段がついた曲線を描きます。満充電状態(充電上限電圧)から放電状態(放電終止電圧・カットオフ電圧)まで電圧が低下していきます(放電時)。

 

二相共存反応がおき、電位がプラトーである部分をプラトー電位やプラトー領域とよびます。

 


 
マンガン系リチウムイオン電池の課題(デメリット)としては、過充電などの電気的な力によって電池が異常状態となった場合は熱暴走・破裂・発火にいたるリスクがあることです。

 

ただ、マンガン酸リチウムでは外部からの衝撃や釘刺しなどの機械的な要因では、熱暴走にいたることは少なく、コバルト酸リチウムより若干安全性が高い傾向にあります。

 

 

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リチウムイオン電池の種類③ オリビン系(正極材にリン酸鉄リチウムを使用)

コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムよりも安全性や寿命特性を大幅に改善された材料として、リン酸鉄リチウムというものがあります。

 

リン酸鉄リチウムは、その結晶構造にがオリビン型であることからオリビン系の正極材(電極材)ともよばれます。

 

このリン酸鉄リチウムを使用した電池のことを「オリビン系」「オリビン系リチウムイオン電池」「リン酸鉄系」などとよびますl。

 

オリビン系のリチウムイオン電池は主にshoraiバッテリー(始動用バッテリー)などのいわゆるリフェバッテリー(LiFe)や家庭用蓄電池などに使用されています。

 

オリビン系のリチウムイオン電池では、基本的に他のリチウムイオン電池と同様で負極材に黒鉛(グラファイト)を使用しています。オリビン系のリチウムイオン電池の特徴(メリット)としては、先にも述べたように安全性・寿命特性が高いことです。

 

ただ、平均作動電圧は他のリチウムイオン電池と比べて若干低く3.2V付近で作動します。

 

リン酸鉄系のリチウムイオン電池における充放電曲線(充放電カーブ)は以下の通りで、SOCが0と100%付近では、急激に電圧が変化し、間の領域ではプラトー(平坦)になっています。プラトー領域では、二相共存反応がおこっています。

 


オリビン系リチウムイオン電池の課題(デメリット)としては、先にも述べたように作動電圧が低いため、エネルギー密度も低い傾向にあることです。

 

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リチウムイオン電池の種類④ 三元系(正極材に三元系を使用)

 

リチウムイオン電池の正極材(電極材)として、三元系と呼ばれる種類のものがあります。

 

三元系とは主に、NMC材料ともよばれニッケル、マンガン、コバルトの頭文字をとったものです。NMCは基本的にコバルト酸リチウムと似たような層状の結晶構造をとりますが、ニッケルなどのコバルトよりもより比容量が大きいため、より高エネルギー密度を狙った電極材といえます。

 

このNMCを使用したリチウムイオン電池の種類のことを「NMC系」「「三元系」「三元系のリチウムイオン電池」などとよびます。

 

三元系(NMC)のリチウムイオン電池では、基本的に負極に黒鉛(グラファイト)を使用しています。NMC系のリチウムイオン電池の特徴(メリット)としては、リチウムイオン電池の中では作動電圧、寿命特性などの電池に求められる性能のバランスがよく、かつより高容量化、高エネルギー密度化ができることです。

 

平均作動電圧は3.7V付近です。

 

NMC系のリチウムイオン電池における充放電曲線(充放電カーブ)はコバルト酸リチウム(LCO)と似たような曲線であるため、再度LCOの充放電曲線のイメージ図を示します。

 

 

 

上図のように、なだらかな曲線を描いて満充電状態(充電上限電圧)から放電状態(放電終止電圧・カットオフ電圧)まで電圧が低下していきます(放電時)。

 

LMC系の電池の課題(デメリット)としては、コバルト酸リチウムと同様に、過充電や外部からの強い衝撃がかかると、電池の短絡(ショート)が起こり、熱暴走、破裂・発火に至る場合があることです。

 

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リチウムイオン電池の種類⑤ LTO系(負極材にチタン酸リチウムを使用)

 

このように負極材に黒鉛(グラファイト)を固定し、正極材の種類を変えることで、リチウムイオン電池の種類が分類されていました。

 

ただ、正極材のマンガン酸リチウム使用し、負極材にチタン酸リチウム(LTO)を使用したリチウムイオン電池があり、「チタン酸系」「LTO系」とよばれます。東芝の電池のSCiBではLTOが使用されています。

 

チタン酸系のリチウムイオン電池の特徴(メリット)としては、リチウムイオン電池の中ではオリビン系と同様で安全性が高く、寿命特性が優れていることです。

 

ただ、リン酸鉄リチウムと同様で作動電圧・エネルギー密度が低い傾向にあり、平均作動電圧は2.4V付近です。

 

※※図※※

 

LTO系では正極にマンガン酸リチウムを使用してることが多く、マンガン酸リチウム由来の段がついた充放電曲線(充放電カーブ)を描きます。満充電状態(充電上限電圧)から放電状態(放電終止電圧・カットオフ電圧)まで電圧が低下していきます(放電時)。

 

チタン酸系の電池の課題(デメリット)としては、オリビン系と同様に作動電圧・エネルギー密度が低いことです。また、LTOはハンドリングが難しく、水分を吸着しやすいことなどから電池使用時のガス発生を止めにくい傾向にあります。

 

また、安全性において、機械的な要因での熱暴走はおこりにくいですが、過充電時などは正極に酸素を放出する材料を使用していれば熱暴走に至る場合があるため、コバルト、マンガン、NMC系よりは安全性は高いが、オリビン系よりは低い傾向にあります。

 

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リチウムイオン電池の種類 電池の形状による分類

上では、電池の部材による分類を行った場合の種類について解説しました。

 

次は電池の形状による分類を行った場合の、リチウムイオン電池の種類について解説していきます。

 

代表的な電池の形状(外観)である、「円筒型電池」「ラミネート型電池」「角型電池」について解説していきます。

 

円筒型電池(18650系電池など)

リチウムイオン電池においても、マンガン乾電池やアルカリ電池などと同じような形状である円筒型の電池が代表的です。

 

円筒型の電池は、主に以下のように作製されます。簡単に順を追って電池の組み立て手順を解説します。

 

正極・負極を作製するために、活物質やバインダーなどを混練し、電極箔である銅箔・アルミ箔に塗布・乾燥するという工程はどの形状の電池でも同じです。

 

ここで、円筒型の電池では、正極・負極・セパレータを合わせるエレメントを作製する段階で、言葉の通り円筒型にします。つまり、エレメントを捲回式で作製します(捲回式と積層式の違いはこちらで解説しています)。

 


これを金属ケースに挿入し、化成充電、ガス抜き、封止、本充電、エージング工程などを経て、円筒形のリチウムイオン電池ができます。

 

乾電池では単3や単4といった統一された規格があるのと同様に、円筒系のリチウムイオン電池でも18650という電池が代表的です。

 

以下のようなものです。

 

※※

 

統一されている規格品であるために、量産されており、その分コストも安いという特徴があります。

 

ただ、一つあたりの電池の容量は  Ah程度と大きくなく、電動ドライバーなどの小型の電池に組み込む場合などでは、直列数も少なく使用電池の数が少量でいいのですが、大型の電気自動車搭載用電池や家庭用畜電池などのリチウムイオン電池には非常に電池数が必要となります。

 

そのため、大型の組電池にするには、作製工程に手間がかかるのと、セルバランスの管理などが大変であることから、18650電池を大型にすることは向いていません。

 

中身は先にも述べたように、正極材・負極材の分類によって適切な種類をえらぶといいです。

 

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