クーロンの法則 導出と計算問題を問いてみよう【演習問題】
当サイトのメインテーマであるリチウムイオン電池の代表的な用語としてクーロン効率(充放電効率)と呼ばれるものがあります。
クーロン効率などをはじめとして、科学者であるクーロンが考えた発明は多々あり、その中の一つに「クーロンの法則」とよばれるものがあります。電気的な現象を考えていく上で、このクーロンの法則は重要です。
ここでは、クーロンの法則に関する内容を解説していきます。
・クーロンの法則 クーロン力(静電気力)
・クーロンの法則を用いた計算問題を解いてみよう1【演習問題】
・クーロンの法則を用いた計算問題を解いてみよう2 ベクトルで考える【演習問題】
というテーマで解説していきます。
クーロンの法則 クーロン力(静電気力)
クーロンの法則は、「ある点電荷Aと点電荷Bがあったとき、その電荷同士に働く力は各電荷の積に比例し、距離に2乗に反比例する」というものです。
さらに、点電荷の符号が異なるときには引力が働き、点電荷の符号が同じケースでは斥力(反発力)が働くことを指す法則です。この力のことをクーロン力、もしくは静電気力とよびます。
クーロンの法則は以下のように定義されています。
ここで、点電荷1の大きさをq1、点電荷2の大きさをq2、2点間の距離をrとすると、クーロン力(静電気力)F=q1q2/4πε0 r^2 となります。
Fの値がマイナスのときは引力を表し、プラスのときは斥力を表します。
ここで、分母にあるε0とは誘電率とよばれるものです(詳細はこちらで解説しています)。
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クーロンの法則を用いた計算問題を解いてみよう1【演習問題】
クーロンの法則、クーロン力について理解を深めるために、計算問題を解いてみましょう。
例題
まずは計算が簡単である、直線上での二つの電荷に働く力について考えていきましょう。
真空中で点電荷1では2Cの電荷、点電荷2では-1.5Cの電荷を帯びており、2点間は3m離れているとします。このときのクーロン力(静電気力)を計算してみましょう。このとき真空の誘電率ε0は8.854× 10^-12とします。
解答
公式にしたがって2点間に働く力について考えていきましょう。
F = 2 × (-1.5) / 4 / π / (8.854 × 10^-12) / 3^2 ≒ -3×10^9 N となります。
符号が負であるため、引力が働きます。
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クーロンの法則を用いた計算問題を解いてみよう2 ベクトルで考える【演習問題】
これは2点間に働く力の算出の問題であったため、計算式にあてはめるだけでよかったですが、実は3点を考えるケースの問題もよく見かけます。
このような場合はどのようにクーロン力を求めるのでしょうか? 実はベクトルの考え方を使用します。
実際に以下の問題で解説していきます。
例題2
上図のような位置関係で、真空中に上側に1Cの電荷、右下に3Cの電荷、左下に-3Cの電荷を帯びた物質があるとします。正三角形となっています。各々の距離を1mとします。
このとき、上の電荷に働く力の大きさと向きをベクトルの考え方を用いて、計算してみましょう。
解答
正三角形の下の二つの電荷の絶対値が同じであることに着目して、上の電荷にかかるベクトルの合成を行っていきましょう。
すると、大きさは各2点間のものと同じで向きだけが合成され、左となります。
大きさはクーロンの法則により、 F = 1× 3 / 4 / π / (8.854 × 10^-12) / 1^2 ≒ 2.7 ×10^10 Nとなります。
他にも、正三角形でなく、以下のようなひし形の形で合っても基本的に考え方は同じです。
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