レーザー溶接とTIG溶接の特徴、違いは?【リチウムイオン電池の溶接】
スマホ向けのバッテリーや電気自動車向けバッテリーを始めとした多くの電池に高エネルギー密度を有するリチウムイオン電池が採用されており、更なる高容量化、高電圧化、高エネルギー密度化に向けて、各企業で様々な研究開発が進められています。
ただし、リチウムイオン電池を製造する工程では、製造時の水分の混入が厳禁であり、ドライルームやグローブボックスと呼ばれる露点が非常に低い環境下で製造されます。
また、製造時だけでなく、完成された電池においても気密が保たれていないと空気中の水分が混入してしまい、電池に悪影響を及ぼします。
そして、円筒型の電池や大型の角型電池にて気密を確保するために、電池の金属ケースの封止を行う工程があるのですが、その際レーザー溶接やTIG溶接といった技術が使用される場合があります。
また、組電池を製造する際、電池の端子とバスバーをつなぐ場合などにも上記の溶接技術が採用される場合があります。
こちらのページではレーザー溶接、TIG溶接に関係する内容を解説しています。
・レーザー溶接とは?リチウムイオン電池製造時におけるレーザー溶接
・TIG溶接とは?リチウムイオン電池製造時におけるTIG溶接
というテーマで解説しています。
レーザー溶接とは?メリットとデメリット
レーザー溶接とは、言葉の通り溶接したいサンプル同士を密着させ、そこにレーザー光を照射することで溶接する(金属同士を溶かして接合させる)技術のことを指します。
特に熱をかけ金属同士を溶かして接合させるため、融点が近い材料の方が溶接がうまくいく傾向にあります。
このレーザー溶接には以下のようなメリットがあります。
1mm程度の幅といった細かい部分の溶接も可能であること。
出力の調整により、深い溶接も可能なこと。
溶接時の修正や追加工が容易にできることなどが挙げられます。
また、他の溶接(例えばTIG溶接など)と比較して異金属の溶接も比較的容易であることもメリットと言えるでしょう。
デメリットとしては以下が挙げられます。
溶接前にきちんと密着、嵌合していないと溶接がうまくいかない場合があること(溶接前の管理も重要)。
熱がかかりすぎることや金属へレーザー照射時の反射光による、他の部材への熱の影響があること。
初期コストが大きいこと(レーザー溶接機は数千万円程度)。
などが挙げられます。
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(※以下工事中)
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