【水分厳禁!?】リチウムイオン電池を製造する環境のドライルーム、グローブボックスとは
スマホ向けのバッテリーや電気自動車向けバッテリーを始めとしたリチウムイオン電池において、更なる高容量化、高電圧化、高エネルギー密度化に向けて、各企業で様々な研究開発が進められています。
ただし、リチウムイオン電池製造時は水分の混入が厳禁であり、ドライルームやグローブボックスと呼ばれる湿度がほぼ0%である環境下で製造します。
こちらのページでは、
・ドライルームとは?
・グローブボックスとは?
というテーマで解説しています。
ドライルームとは?
リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタなどは、エレメント製造時や電解液の注液時などに水分が混入すると電池として機能しなくなってしまいます。
そのため、非常に低湿度環境下で製造する必要があります。
そして湿度を非常に低い値に保った部屋のことをドライルームと呼びます。
このドライルームでは露点が-30℃以下程度という非常に低い湿度が保たれています。
リチウムイオン電池製造時では、混練し合剤を塗工、乾燥させた後の電極(正・負極)をドライルームに入れ、二次乾燥(150℃以上等の高温条件)させる工程以降、エレメント作製や電解液注液、封口するまでの工程を行います。
ドライルーム内では水が厳禁である他、電極やエレメントを扱うため、正極と負極が混ざりあわないように電極の加工作業(例えばシートカットやスリット、三電極法を行うための電極の合剤の剥離等)も行わないことが一般的です。
さらに、ラミネート電池を作製する際に必要なタブリードなども取り付け自体は、ドライルームで行うことが一般的ですが、タブリードなどの金属部材を加工すると金属粉が混ざり内部短絡の原因になる場合があるため、金属部材の加工もできるだけ避けた方が良いでしょう。
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グローブボックスとは?
グローブボックスとは、ドライルームの小さい版とも言え、手だけを入れ、そこで作業することが可能な低湿度環境のボックスのことを指します。
また、本来グローブボックスでは危険物質、例えば放射性物質や細菌類などを扱う実験にも使用することが一般的です。
基本的な注意事項はドライルームと同じといえますが、グローブボックス内での作業は手を入れる場所が固定されるため若干作業しにくいことがデメリットと言えるでしょう。
ただし、ドライルームの方が設備コストや維持費が多くかかりますので、グローブボックスの方がコストが安いことがメリットと言えます。
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