組電池におけるバスバーとは?タブリード(タブ)との違い

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組電池におけるバスバーとは?タブリード(タブ)との違い

 

近年ではスマホなどのリチウムイオン電池の発火事故が急増しており、リチウムイオン電池の危険性が認識されるようになってきました。

 

ただ、リチウムイオン電池は高電圧、高容量、高エネルギー密度、長寿命などのメリットがあるためスマホバッテリーや電気自動車搭載電池、家庭用蓄電池などの採用されています。

 

リチウムイオン電池の課題(欠点・デメリット)は危険性(安全性が低いこと)のみといえ、正極活物質にリン酸鉄リチウムを使用したり、負極活物質にチタン酸リチウムを使用することなどにより安全性を高める工夫がされています。

 

ところで、製品によっては要求仕様によりリチウムイオン単電池ではなく、単電池を組立てることでできる組電池にする必要があります。

 

リチウムイオン電池などで電池を直列接続や並列接続し組電池を作製する時にバスバーと呼ばれる金属の部材を使用する場合があります。

 

こちらのページでは、

 

・組電池におけるバスバーとは?

 

・バスバーとタブリード(タブ)との違い

 

・タブリードとシーラントフィルムの関係

 

について解説しています。

 

組電池におけるバスバーとは?

 
バスバーとは英語表記でbusbarであり、組電池の構成部材として使用される場合は0.5~2mm程度のアルミもしくは銅にの板材に穴あけなど適宜加工したもののことを指します。

 

アルミや銅の表面はNiメッキを施されていることが一般的です。

 

例えば、リチウムイオン電池など、大型の角型電池(容量10Ah程度以上)において直列接続した場合のイメージ図は以下のようになります。

 

 

数個程度をつなげる場合では上記のようにシンプルな形状のバスバー設計となることが多いです。

 

また、上例では端子がおねじであるため、穴あき加工したバスバーの穴に端子のおねじを通し、上からナットで固定することで接続終了となります。

 

他には、端子とバスバーを接続する場合、ねじ締結でなくレーザー溶接により接続する場合もあります。

 

角型電池ではなく、小型の円筒系の電池を接続する場合はパルスのレーザー溶接により、端子とバスバーを数点止めている場合などのケースもあります。

 

端子とバスバーは材質が異なる可能性もあり、また隙間ができやすく腐食しやすい環境下にさらされることから、きちんと塩水噴霧試験やコロードコート試験などの耐食性評価試験により使用年数に耐えられる能力があるかどうかを確認する必要があります。

 

たとえば家庭用蓄電池などの向け組電池においてはおよそ10年間使用できることが基準となるでしょう。

 

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バスバーとタブリード(タブ)との違い

 

バスバーは上にて解説してように組電池を作製する際の電池同士をつなぐ金属部材のことでした。

 

似たような電池部材としてタブリードというものがあります。別名タブといったり、電池タブといったりします。

 

タブリードはリチウムイオン電池におけるラミネート型電池などの端子として使用されることが多く、こちらもアルミや銅の薄い板材のことを指します(以下はラミネート電池のエレメントにタブリードをつけたイメージ画像です)。

 

 

ただし、タブリードは主に単電池の構成部材として使用されその厚みが0.2~0.4mm程度とバスバーよりも薄いことが一般的です。

 

まとめますと、バスバーとタブリードの違いは、バスバーは組電池において単電池同士をつなぎその厚みは0.5~2mm程度であるのに対し、タブリードは単電池の構成部材でありその厚みは0.2mm~0.4mm程度とバスバーよりもさらに薄いことである、といえるでしょう。

 

ちなみに、ラミネート型電池同士をつなげる場合はタブリード同士を超音波溶着によりつなげる場合が多く、、その場合はバスバーは必要ないでしょう。

 

ただし、直列接続した場合など最終端の位置を指定されている設計を要求されている場合は、最終端につなげるために若干複雑な形状のバスバーが必要になる場合もあります。

 

 

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タブリードとシーラントフィルムの関係

 

タブリードは通常ラミネート電池にて使用することが一般的です。

 

ここで、タブリードには一般的にシーラントフィルムと呼ばれる薄いポリオレフィン系の樹脂(主にPP樹脂が多い)が取り付けられています。

 

これは、ラミネート材と同時にシールするため、シール時にきちんとラミネート材と接着され、気密を保つために必要だからです。

 

気密を確保しておかないとリチウムイオン電池に不具合が出てしまいます。

 

また、タブリード(金属)とシーラントフィルムも、きちんと接着されていないといけません。ラミネート材とシーランとフィルムの気密が保ててても、タブリードとシーラントフィルムがきちんと接着されていないと、電池として結局気密が保てていないことになるためです。

 

(シール性の評価方法としてはレッドチェックなどが行われます)

 

ただ、タブリードは金属であり、シーラントフィルムは樹脂であるため、接着が非常に難しいです

 

そのため、タブリードとシーランとフィルムを接着できるメーカーは限られています。基本的には、物理的、化学
的両方の力を用いて、接合されていることがほとんどです。

 

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