電池におけるボールミル法とは?【電極スラリーの作製工程】
スマートハウスやゼロエネルギーハウス(ZEH)が普及しつつあるいま、これらの住宅に搭載の電気的な装置であるリチウムイオン電池(蓄電池)や燃料電池(発電機)がより注目されつつあります。
リチウムイオン電池や燃料電池を生産する際に、電極スラリーとよばれる電極材や希釈材などを混合したものを製造する工程(混練工程)があり、混練方法の一つにボールミル法があります。
ここでは、ボールミルに関する内容を解説していきます。
・そもそもボールミルとは?ボールミルの原理は?
・ボールミルの種類は?乾式と湿式の違いとは?
・
というテーマで解説していきます。
そもそもボールミルとは?ボールミルの原理は?
ボールミルとは、そもそもボールを用いてミル(mill)する方法から転じて、小さなボールを使用し目的材料を混練したり、粉砕したりする方法といえます。
リチウムイオン電池や燃料電池では、材料を混練し電極スラリーを作成するためにボールミルを使用します。
ボールミルの原理は、「粒子径がおよそ1mm程度である材質がセラミックスなどである硬質のボール」と「混練したい材料」をボールミル用の容器にいれ、回転数150rpm程度で数分~数十分ほど回転させることで、混練を行うことといえます。
このとき回転軸が数°ほどの勾配がついていることが基本です。
以下にボールミルのメカニズム(仕組み)を示したイメージを記載します。
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ボールミルの種類は?乾式と湿式の違いとは?
先にも述べたようにボールミルによって目的材料を粉砕・混練することが可能です。
ボールミルを行う種類としては、「乾式」と「湿式」に分類することができます(リチウムイオン電池材料であるセパレータの製造方法においても乾式と湿式に分類されます)。
乾式でのボールミルは言葉の通り、ボールミルと粉体(固体)のみを容器に入れボールミルを行う方法です。
乾式でのボールミルのメリットは溶媒などの目的物質以外のものを投入しないため、純度が高いことです(異物が混入しにくい)。デメリットとしては、液体やゲル状といった形状・粘度を調整することができないことといえます。
一方、湿式のボールミルでは、ボールミルと粉体(固体)に加え水や有機溶媒を混ぜることで、液体・スラリーとして材料を粉砕・混練することが可能です。湿式ボールミルのメリットは、乾式ではできない混練ができることといえます。デメリットは溶媒からの不純物が混入しやすくなることです。
特にリチウムイオン電池や燃料電池の製造においては、電極スラリー(液体やゲル状のもの)を作製しそれを塗布することが目的であるため、上述のような湿式のボールミルを行うことが基本です。
図※※
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工事中
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