半導体(p型半導体・n型半導体)とpn接合
いま社会全体の流れとしてIOT化が進む中で、スマートハウスやセロエネルギーハウスの普及が挙げられます。
スマートハウスやゼロエネルギーハウスには、家庭用蓄電池としてこのリチウムイオン電池が主に採用されており、かつ太陽電池や燃料電池と組み合わせることで、総合的にエネルギーを有効活用しています。
太陽光発電やダイオードの構成部材として「p型半導体」「n型半導体」というものが使用されています。このp型半導体、n型半導体とは何を表すか知っていますか。
ここではp型半導体、n型半導体に関する以下の内容について解説していきます。
・半導体とは
・p型半導体
・n型半導体
・pn接合
半導体とは
物質はさまざまな方法で分類することができますが、分類方法の一つとして「電気を通すか通さないか」で分けられます。
電気を通す物質を導体、通さないものを絶縁体(不導体)、その中間の役割をもつのが半導体といえます。
別の言い方では、半導体は条件によっては多少電気を流すことができるものと考えるとといえます。
条件の例としては、「電気的なエネルギーを外部からかけること」「外部温度を上げること」「周囲から光のエネルギーを照射すること(光電効果)」「磁力によるエネルギーを与えること」などがあります。これらによって、半導体のエネルギーが上がり、自由電子が使えるようになるのです。つまり、通電できるようになるわけです。
太陽電池などを始めとした部材としての、半導体にはシリコン(Si)が使用されることが多いです。ただ、Si100%では共有結合性の物質であり、自由電子がほとんど使用できません。このような半導体を真性半導体とよびます。
この真性半導体は先にも述べたように、自由電子が動きにくいため、絶縁体と同様に通電できません。
そのため、基本的には真性半導体のシリコンに不純物としてホウ素やリンを混ぜ込んだものを使用します。真性半導体に不純物をドープさせたものを不純物半導体とよびます。
不純物半導体には、p型半導体とn型半導体があります。先にも述べたイメージです。
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p型半導体
まずがp型半導体について考えていきましょう。p型のpはpositiveの略であり、電子が少ないために電荷的に+になっている半導体であることを意味します。
シリコンの最外殻に配置する電子の数は4個であり、いくつかのシリコンが連なったときは以下のような構造をとり、各々は共有結合(電子2つ分)で結びついています。
ここで、最外殻に電子が3つあるホウ素(B)やアルミニウム(Al)を不純物として添加したものをp型半導体と呼びます。基本的にはアルミニウムよりもホウ素を添加する方が多いです。
以下のようなイメージです。
すると、電子が空洞となってる部分ができていることがわかります。この穴のことを空孔やホールと呼びます。
空孔を埋めようと電子は絶えず動いています。
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n型半導体
一方で、n型半導体について考えていきましょう。n型のnはnegativeの略であり、電子が少ないために電荷的に-になっている半導体であることを意味します。
先にも述べたように、シリコンの最外殻に配置する電子の数は4個であり、各々は共有結合(電子2つ分)で結びついています。
ここで、最外殻に電子が5つとシリコンよりも一つ多いリン(P)を不純物として添加したものをn型半導体と呼びます。
以下のようなイメージです。
よって、過剰な電子ができるため、自由電子として移動しやすい状態になっています。
感が良い方ならわかったかもしれないですが、このようにp型とn型の半導体を接合することで、電子が移動するようになります。結果として電池と同様の働きを得られます。
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pn接合とは
先にも述べたp型半導体とn型半導体をつなげたものが、pn接合です。
pn接合を形成した直後では、n型内の自由電子がp型内の空孔(ホール)に一部移動し、安定な状態となります。
このとき、pn接合を行った界面付近には、空乏層(もしくは電気二重層)とよばれる各々の電荷が集まった層を形成します。
以下のようなイメージです。
ここでプラスが偏っているところからマイナスの方向に電場を生じます。向きを考えるとわかりやすいですが、この電場の向きは自由電子やホールが拡散することを妨げる方向です。
よって、pn接合した瞬間では、空乏層(電気二重層)を形成しますが、その後すぐに安定となります。
これがpn接合の仕組み(原理)といえます。
このpn接合を使用していると、整流作用が働き、所定の向きにしか電流が流れない構造となっています。そのため、流したくない方向に電流を流すことでの、電気的な装置の損傷を防ぐことができます。
なお、pn接合による整流作用のメカニズムについてはこちらで解説しています。
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