アンペアフレーム(AF)とアンペアトリップ(AT)の違いは?【電気の漏電遮断器の用語】
電機設備の代表として漏電ブレーカー(漏電遮断器)がありますが、このブレーカーには50Af/20ATなどの表記がされています。
このAF(アンペアフレーム)やAT(アンペアトリップ)という電気関連の用語の定義やその数値の大きさはどのような意味を持つのでしょうか。
ここでは、AF、ATというブレーカー関連の用語の意味について解説していきます。
・アンペアフレーム(AF)の定義
・アンペアトリップ(AT)とは?アンペアフレーム(AF)との違いは?
というテーマで解説していきます。
アンペアフレーム(AF)の定義
まず、AF値について解説していきます。
AFとはアンペアフレームと呼び、ブレーカーに流れても大丈夫な最大の電流値(最大定格電流)やブレーカーのサイズを表す指標といえます。
例えば、50AFと記載されていれば最大定格電流が50Aであり、50Aまでは通電しても破損しないことを表しています。
他にも、30AFという記載があれば、同様に30Aまでブレーカーに電流が流れても大丈夫といった具合です。
基本的には、このAFが大きくなるほど、容器のサイズやブレーカーの許容電流も大きくなります。
導線やバスバー(電池の用語)などの許容電流を考える上でも同じですが、断面積が大きくなるほど抵抗が小さくなり、ジュール熱の発生を抑えることができます。結果として、通電可能な電流値の範囲を、を大きくすることができるのです。
なお、ブレーカーのAF値は後に解説するAT値よりも、大きくしているとブレーカーが損傷することなく利用可能であり、安全といえます。
目安値として、AF値はAT値の1より大きく2倍以下程度の数値にすることが基本です。
ただ、状況によっては、急激に大電流が流れ、ブレーカー作動する前の若干の時間でAF値を超え、ブレーカーが破損することがあります。
そのため、電流が急にたくさん通電されるときなど、AF値を大きめに取りAT値の2倍以上にするといった対応が必要となることがあります。
このようなアンペアフレーム(AF)ですが、似た用語としてアンペアトリップ(AT)との違いについて確認していきます。
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アンペアトリップ(AT)とは?アンペアフレーム(AF)との違いは?
一方でATとはアンペアトリップと呼び、簡単にいうとブレーカーが実際に作動する電流のことを指します。専門用語では定格電流と呼びます。
例えば、電気設備に50ATという記載があれば、50Aの電流が流れたときにブレーカーが作動するのです。
なお、AT値は電気設備に組み込まれている電池、配線、その他の設備などの許容電流値と比較して、余裕を持たせた数値のブレーカーを選定しましょう。
例えば、ある電池に100A通電してしまうと熱暴走に至ることがわかっているのであれば、「それよりも小さい70AにAT値を設定する」というような具合です。
その上で、さらにAT値よりも大きいAF値を選んでいくという流れで、ブレーカー等の電気設備の設計を行っていきましょう。
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