電池の知識 電池の常温時と低温時の抵抗の変化

通電時の電池の自己発熱

 

電池を通電させると電池自体から発熱が起こり、この現象のことを自己発熱と呼びます。

 

こちらのページでは、電池の自己発熱の原理や発熱量の計算方法、発熱時の問題について、解説しています。

通電時の電池の自己発熱の量

オームの法則でも解説したように、電池は内部抵抗を持っています(下図)。

 

 

 

抵抗に通電した場合の単位時間当たりの発熱量は、電流値[A]の2乗×抵抗値[Ω]であるため、
上図における単位時間当たりの発熱量Pは通電電流値をIとすると、

 

P[W]=I^2 (r+R)と表現できます。

 

また、上図記載の文字を使用して表すとすると、

 

E0=I (r+R)であるため、I=E0/(r+R)と書くことが出来ます。

 

よって、

 

P[W]=E0^2 / (r+R)と式変形できます。

 

 

通電時の電池の温度変化(発熱と放熱のバランス)

上記で電池の発熱量について解説しました。

 

ここで重要なことは、電池の温度変化は下記の式であらわされるように、発熱量だけでなく放熱量も考慮した
熱量の収支で決まってくるということです。

 

電池の温度変化儺は下記のよう表されます(電池の熱伝導が電池中で均一であると仮定すると)

 

mc儺=熱量の収支
(m:電池の質量[g]、c:電池全体の比熱[J/(g・K)]、T:電池任意部位での温度変化、熱量の収支:発熱量 − 放熱量)

 

通電時、電池の抵抗が高く発熱速度が大きい場合でも、電池の電極や外装ケースなど構造的に熱伝導が良く放熱速度がそれ以上であれば、発熱が抑制されます。

 

逆に通電時電池の抵抗が低く放熱速度が非常に低い場合は、発熱し、電池が高温となる場合があります。

 

電池の自己発熱による生じるメリット、デメリット

それでは、電池の自己発熱によって生じるメリット、デメリットは何か考えていきましょう。

 

メリット

 

低温下(例えば0℃以下)では、常温下(例えば25℃)と比べて、電池は抵抗が高くなる傾向にあり、

 

用途によっては

 

 

 

 

 

 

局所的な温度発熱が起こってはNG(電池の構造的)
→ラミネートセル、

 

 

一般的にある電池に対応している充電器は、通常電池の安全性が損なわれない範囲で出来る限り速く充電できる設計になっています。

 

下記に、対応充電器でない場合の充電器を使用した場合の危険性を説明するための例を示します。
(イメージしやすいよう充電時、電池設計の限界電圧に達しない範囲で充電している時)

 

例えば、ある電池Aの容量が1Ahであり、2Aでの充電を行う充電器が対応している充電器であったとします。

 

また、別の用途として別の電池B(容量10Ah)を持っており、その電池に対応している充電器は20Aで充電する設計であったとします。

 

ここで、電池AとBの充電口が同じ形であり、どちらの充電器も対応できるとします。

 

電池Bに対して、A対応の充電器を使用した場合は、充電速度が遅くなってしまうデメリットがありますが、安全性が損なわれない程度で済むでしょう。

 

しかし、電池Aに対して、B対応の充電器を使用した場合は、対応充電器では2Aで充電するところ20Aで充電するので、時間当たりの自己発熱量は、放熱を無視した単純計算で100倍となります(I^2Rが時間当たりの発熱を表す式(Iは電流値、Rは電池の抵抗))。

 

そのため、異常に発熱することで電池の作動温度が電池の設計の範囲外になり、安全性が損なわれる危険性が出てきます。

 

さらに低温時に急速充電を行うと、リチウム金属が負極表面に析出する電析という現象も起こる可能性があります。

 

電析を簡潔に説明します。

 

一般的なリチウムイオン電池(負極に炭素系材料使用(例えば黒鉛))を充電する時(Liイオンが黒鉛に挿入される時)に、低温急速充電下では負極中のLiイオンの固体内拡散速度より負極表面の電荷移動反応が速くなる傾向にあります。

 

そのため、Liイオンが負極の表面付近で詰まってしまいイメージであり、負極表面でLiイオン→Li金属として析出する現象のことを電析と呼んでいます。

 

電析が起こると、析出したLi金属の量や形状によってはセパレータを突き破る可能性があります。
 
そして、セパレータが貫通されると正・負極間の内部短絡が発生し、熱暴走反応が起き安全性が損なわれる場合が出てきます。

 

よって、ある電池に対して対応していない充電器を使用しないよう注意しましょう!

 

 

対応充電器と充電電圧が異なる充電器を使用した場合

上述の通り、一般的にある電池に対応している充電器は、通常電池の安全性が損なわれない範囲で出来る限り速く充電できる設計になっています。

 

そして、ある充電器の最大電圧の設計値(その電圧になったら電圧上昇が止まる)は

 

・電池の正・負極活物質の組み合わせ
・電池の直列数

 

等によって異なり、市販の電池では各種評価を行った上で最適な値が採用されています。

 

下記に、対応充電器でない場合の充電器を使用した場合の危険性を説明するための例を示します。
ここではイメージしやすいよう電圧以外の充電器の条件はいくら変更しても危険性に影響を及ぼさないと仮定します。

 

例えば、ある電池Cでは、対応している充電器の最大電圧が4.2Vであるとします。
(電池の設計的にも4.2V以上に充電すると安全性が確保できない状態になる電池と仮定)

 

一方、ある電池Dでは、対応している充電器の最大電圧が3.5Vであるとします。
(電池の設計的にも3.5V以上に充電すると安全性が確保できない状態になる電池と仮定)

 

ここで、電池Cに対して、電池Dに対応している充電器を使用するとすると、最大電圧が低いため充電速度や最大の充電量が少なくなりますが、安全性が損なわれる状態にはならないでしょう。
電池の充電方法で解説しています)。

 

しかし、電池Dに対して、電池Cに対応している充電器を使用するとすると、最大電圧が3.5Vであるのに対して、4.2Vで充電されるため、過充電状態となり安全性が損なわれる可能性があります。

 

よって、ある電池に対して対応していない充電器を使用しないよう注意しましょう!

 

まとめ

 

上記のように、ある電池に対して対応していない充電器を使用してしまうと、安全性が損なわれる可能性があります。

 

よって、

対応している充電器を使用しましょう!
もし、対応していない充電器を使用してしまった場合は、購入製品の取扱説明書を読み、記      載の内容通り(例えばメーカーや代理店に問い合わせる等)を行っていきましょう!

 

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