弾性衝突と非弾性衝突の違いは?【演習問題】

弾性衝突と非弾性衝突の違いは?反発係数の計算方法は?【演習問題】

 

当サイトのメインテーマであるリチウムイオン電池における解析技術のXPSにおいて電極表面を観察するときなどに平均自由行程という用語がでてきます。

 

平均自由行程とは、閉じた空間において気体分子が非弾性衝突した後にもう一度非弾性衝突するまで
に気体分子が進む距離のことを指します。

 

ここで非弾性衝突という言葉がでてきましたが、非弾性衝突と弾性衝突の違いは何かわかりますか?

 

ここでは、弾性衝突と非弾性衝突に関する以下の内容を解説していきます。

 

・弾性衝突と非弾性衝突の違いは?

 

・反発係数とは?反発係数の定義

 

・弾性衝突・非弾性衝突に関する計算問題を解いてみよう

 

・2物体間の衝突時の反発係数(はねかえり係数)の公式は?

 

・2物体間の衝突(弾性衝突・非弾性衝突)の問題を解いてみよう!【演習問題】

 

というテーマで解説しています。

 

 

弾性衝突と非弾性衝突の違いは?

弾性衝突と非弾性衝突の違いは、反発係数がe=1かそれ以外であるかです。つまり、衝突する物体のエネルギーが衝突前後で保存されるかどうかともいえます。

 

弾性衝突と非弾性衝突の違いをわかりやすくするために、地面に物体Aが衝突するときを考えましょう。

 

弾性衝突の場合は反発係数eが1であるため、以下のように弾む高さが初期に地面から落とす高さのままです。つまり、衝突によってエネルギーが減らずに、保存されたままの状態の衝突が弾性衝突です。弾性衝突は完全弾性衝突ともよびます。

 

 

 

一方で非弾性衝突では、反発係数が1未満であるために、弾むごとに落とした高さより低い高さまでしか戻りません。e=0で全くはねない場合を完全非弾性衝突とよぶ場合もあります。

 

以下に非弾性衝突のイメージ図を示します。

 

 

これらが弾性衝突と非弾性衝突の違いです。後程詳しく解説しますが、反発係数eと上の高さの比は異なることに気を付けましょう

 

(※似たような言葉として、材料力学における弾性係数(弾性率・ヤング率ともよぶ)やラマン分光法などで使用してる光の性質に関する弾性散乱・非弾性散乱という用語や、接着剤における弾性接着剤などがあります。)

 

関連記事

 

リチウムイオン電池の構成・反応・特徴
平均自由行程とは?
XPSの原理と測定方法
弾性係数(弾性率・ヤング率)とは?
ラマン分光法の原理と測定方法
弾性接着材とは?

 

 

反発係数とは?反発係数の定義

上で衝突における反発係数と衝突前後の高さの比は異なることを解説しました。

 

それでは反発係数の定義はどのようなものなのでしょうか? 実は反発係数とは、衝突前後の速度の比の絶対値を表しています。反発係数の計算式は以下の通りです。

 

衝突前の速度は衝突後の速度以上であるため、反発係数は1を超えることはなく、0≦e≦1と範囲に入ります。

 

 

それでは、この反発係数の算出も含め以下の計算問題を実際に解き、理解を深めていきましょう。

 

関連記事

 

リチウムイオン電池の構成・反応・特徴
平均自由行程とは?
XPSの原理と測定方法
弾性係数(弾性率・ヤング率)とは?
ラマン分光法の原理と測定方法
弾性接着材とは?

 

 

弾性衝突・非弾性衝突・反発係数に関する計算問題を解いてみよう

 

例題

 

高さ3mから地面に対して質量1kgの物体を垂直に落下させたところ1.5mまではねかえりました。このときの反発係数を求め、弾性衝突か非弾性衝突かを判断しましょう。ここで重力加速度は9.8m/s^2としましょう。

 

求め方

 

まず、地面に落下するときの速度をエネルギー保存から考えていきます。まず衝突前の速度voを考えましょう。

 

mgh = 1/2 m vo^2 が成り立つため、 9.8 × 3 × 2= vo^2 = 58.8 より vo ≒ 7.67 となります。

 

同様に、衝突後の速度を考えましょう。

 

mgh = 1/2 m v^2 より、 9.8 × 1.5 × 2= v^2 = 29.4 より v ≒ 5.42 となります。

 

よって反発係数e = v / vo ≒ 0.707 となります。

 

安易に衝突前後の高さの比をとって、それを反発係数eとしないように気を付けましょうl。

 

 

 

なお、計算過程で勘のいい方なら気づいたかもしれませんが、反発係数eの二乗が衝突前後の高さの比と一致します。これも覚えておくと検証に役立ちます。

 

関連記事

 

リチウムイオン電池の構成・反応・特徴
平均自由行程とは?
XPSの原理と測定方法
弾性係数(弾性率・ヤング率)とは?
ラマン分光法の原理と測定方法
弾性接着材とは?

 

2物体間の衝突時の反発係数(はねかえり係数)の公式は?

 

地面と物体の衝突では、地面は固定されているために物体の運動について考えることで反発係数等を求めることができました。

 

それでは、2物体間の衝突における反発係数(はねかえり係数)はどのように求めるのでしょうか? 以下で考えていきます。

 

質量m1とm2である物体1と2があり、衝突前の速度が各々v1、v2であり、衝突後の速度がv'1、V'2であるとします。このときの2物体における反発係数(はねかえり係数)は以下の公式で表されます。

 

 

2物体間の相対速度の比といえます。
反発係数(はねかえり係数)の計算時のポイントとしては、V1-V2といった片方の物体の速度-もう一方の物体の速度という引く順番を分子・分母で揃え、マイナスをつけると覚えておくといいです。

 

もしくは、反発係数が正の値であり、かつ0≦e≦1の間におさまることを覚えておけば、分母分子やどのように引くかがすぐに対応できることも覚えておくといいです。

 

関連記事

 

リチウムイオン電池の構成・反応・特徴
平均自由行程とは?
XPSの原理と測定方法
弾性係数(弾性率・ヤング率)とは?
ラマン分光法の原理と測定方法
弾性接着材とは?

 

 

2物体間の衝突(弾性衝突・非弾性衝突)の問題を解いてみよう!【演習問題】

 

それでは、2物体間の衝突に関する問題を解いてみましょう!基本的に2物体間の衝突では、運動量保存則と反発係数から衝突前後の速度を求めるといった問題が多いです。

 

完全弾性衝突の場合には、エネルギー保存則も適用されますが、あまり起こる現象ではありません。

 

以下の演習問題を考えていきましょう。

 

例題

 

衝突前の速度が4m/sと1m/sであり、質量が3kgと1kgである物体1,2があるとします。反発係数が0.4の場合の衝突後の各々の速度を求めましょう。

 

解答

 

まず、運動量保存則を立てましょう。

 

3 × 4 + 1 × 1 = 3v1 + 1v2 です。

 

反発係数(はねかえり係数)の式から 0.4 = - (v1 - v2) / ( 4 - 1) より 1.2 = v2 - v1

 

この式を上の式にいれ解きますと、v1 = 2.95、 v2 =4.15と算出することができます。

 

立式時び符号が重要ですので、落ち着いて考えていきましょう。

 

 

関連記事

 

リチウムイオン電池の構成・反応・特徴
平均自由行程とは?
XPSの原理と測定方法
弾性係数(弾性率・ヤング率)とは?
ラマン分光法の原理と測定方法
弾性接着材とは?

 

 

弾性衝突と非弾性衝突の違いは?【演習問題】 関連ページ

リチウムイオン電池の正極活物質とコバルト酸リチウムの反応と特徴
【容量の算出】コバルト酸リチウムの理論容量を算出する方法
リン酸鉄リチウム(LFP)の反応と特徴 Li-Fe(リチウムフェライト)電池とは?鉛蓄電池の置き換えに適している?
【容量の算出】マンガン酸リチウムの理論容量を算出する方法
リン酸鉄リチウム(LFP)の合成方法
【容量の算出】リン酸鉄リチウムの理論容量を算出する方法
マンガン酸リチウムの反応と特徴
リチウムイオン電池における導電助剤の位置づけ VGCF(気相成長炭素)の特徴
正極の電極構造
黒鉛の反応と特徴
難黒鉛化炭素の反応と特徴
易黒鉛化炭素の反応と特徴
チタン酸リチウムの反応と特徴
電解液(溶媒)の材料化学
電解液(溶媒)に入れる添加剤の役割と種類(VC,FECなど)
電解液(塩)の材料化学 なぜ市販品ではLiPF6が採用されているか?
リチウムイオン電池におけるセパレータの位置づけと材料化学
リチウムイオン電池におけるバインダーの位置づけと材料化学
溶媒和・脱溶媒和とは?【リチウムイオン電池の反応と溶媒和・脱溶媒和)
【リチウムイオン電池材料の評価】セパレータの透気度とは?
リチウムイオン電池のセパレータに求められる特性
リチウムイオン電池の寿命予測方法(ルート則)
リチウムイオン電池の寿命予測方法(内部抵抗の上昇の予測)
リチウムイオン電池の劣化後の放電曲線(作動電圧)の予測方法
【アレニウスの式使用問題演習】リチウムイオン電池の寿命予測をExcelで行ってみよう!
【続アレニウスの式使用問題演習】リチウムイオン電池の寿命予測をExcelで行ってみよう!その2
【サイクル試験の寿命予測、劣化診断】リチウムイオン電池の寿命予測(サイクル試験)をExcelで行ってみよう!
リチウムイオン電池の寿命予測方法 ルート則とべき乗則
【リチウムイオン電池の解析】XRDとは?測定原理と得られる情報、X線回折装置
【リチウムイオン電池の解析】XRDなどに使用されるKα線とは?
【リチウムイオン電池の解析】XPSとは?測定原理と得られる情報
【リチウムイオン電池の解析】ラマン分光法とは?測定原理と得られる情報
【リチウムイオン電池の解析】IR(赤外分光法)とは??測定原理と得られる情報
【リチウムイオン電池の解析】ICP-MS(ICP質量分析法)とは??測定原理と得られる情報
【リチウムイオン電池の解析】SEMとは?測定原理と得られる情報
【解析関連用語】化学におけるinsituとはどういう意味?読み方は?【リチウムイオン電池の解析】
【演習問題】ランベルトベールの法則と計算・演習問題【リチウムイオン電池の解析】
DSCとは?測定原理と得られる情報は?
ヘンリーの吸着等温式とは?導出過程は?
ラングミュア(langmuir)の吸着等温式とは?導出過程は?
化学吸着と物理吸着の違いは?活性炭と物理吸着【電気二重層キャパシタ材料としても使用】
【演習問題】比表面積を求める方法【BET吸着_ラングミュア吸着】
【比表面積の計算】BET吸着とは?導出過程は?【リチウムイオン電池の解析】
【材料力学】弾性係数とは?求め方と使用方法【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】熱ひずみ・熱応力とは?導出と計算方法は?
【材料力学】ポアソン比とは?求め方と使用方法【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】応力-ひずみ線図とは?【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】材料のたわみ計算方法は?断面二次モーメント使用【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】クリープとは 材料のクリープ
【材料力学】断面二次モーメントとは?断面係数とは?【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】剥離強度とは?電極の剥離強度【リチウムイオン電池の構造解析】
【材料力学】トルクと動力・回転数 導出と計算方法【演習問題】
【材料力学】馬力と動力の変換方法【演習問題】
【材料力学】公差とは?公差の計算と品質管理
寸法収縮・成型収縮とは?計算問題を解いてみよう【演習問題】
【材料力学】固体の体積膨張率(体積膨張係数)とは?固体の体積膨張率の計算を行ってみよう【演習問題】
【材料力学】気体の体積膨張率(体積膨張係数)とは?気体の体積膨張率の計算を行ってみよう【演習問題】
ダイキャスト(ダイカスト)と鋳造(ちゅうぞう)の違いは?
絶縁距離とは?沿面距離と空間距離の違いは?
電池の安全性試験の種類
電池の安全性試験の位置づけと過充電試験
過充電試験の反応詳細
リチウムイオン電池の外部短絡試験とは?
リチウムイオン電池の内部短絡試験とは?
リチウムイオン電池の釘刺し試験とは?
リチウムイオン電池の振動試験とは?
リチウムイオン電池の熱衝撃試験とは?
リチウムイオン電池の過放電試験とは?
【演習問題】表面張力とは?原理と計算方法【リチウムイオン電池パックの接着】
接着剤が付く理由は?アンカー効果とは?【リチウムイオン電池パックの接着】
弾性接着剤とは?特徴は?シリコーンと変成シリコーンの違いは?【リチウムイオン電池パックの接着】
ホットメルト系接着剤とは?特徴は?【リチウムイオン電池パックの接着】
PPやPEは接着が難しい?理由と解決策は?【リチウムイオン電池パックの接着】
エポキシ接着剤とは?特徴は?【リチウムイオン電池パックの接着】
接着と粘着、接着剤と粘着剤の違いは?
接着剤における1液型と2液型(1液系と2液系)の違いは?
【角型電池】リチウムイオン電池における安全弁とは?
振動試験における対数掃引とは?直線掃引との違いは?
振動試験時の共振とは?【リチウムイオン電池の安全性】
【リチウムイオン電池の熱衝撃試験】熱膨張係数の違いによる応力の計算方法
【演習問題】金属の電気抵抗と温度の関係性 温度が上がると抵抗も上がる?
図積分とは?Excelで図積分を行ってみよう!
多孔度とは何?多孔度の計算方法は?電極の多孔度と電池性能の関係
正極にはなぜAl箔を使用?負極はなぜCu箔を使用?
真密度、見かけ密度(粒子密度)、タップ密度、嵩密度の違いは?
粉体における一次粒子・二次粒子とは?違いは?
負極のCu箔の作製方法 圧延銅箔
負極のCu箔の作製方法 電解銅箔
【リチウムイオン電池の水分測定】カールフィッシャー法の原理と測定方法
【演習問題】細孔径を求める方法【水銀圧入法】
mmHgとPa,atmを変換、計算する方法【リチウムイオン電池の解析】
蒸着とは?CVDとPVDの違いは?
【次世代電池】全固体電池とは?反応や特徴、メリット、デメリットは?
【リチウムイオン電池の材料】シリコン系負極の反応と特徴、メリット、デメリットは?【次世代電池の材料】
【全固体電池】ガラスとは何か?ガラス転移点(TG)oha全固体電池とは?反応や特徴、メリット、デメリットは?(コピー)
【次世代電池】イオン液体とは?反応や特徴、メリット、デメリット(課題)は?
プレドープ、プレドープ電池とは?リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタとの違いは?
粘度とは?粘度と動粘度の違い
エネルギー変換効率とは?燃料電池の理論効率・理論起電力の計算方法【演習問題】
電位、電圧、電位差、電圧降下の違い【リチウムイオン電池関連の用語】
SBR(スチレンブタジエンゴム)とは?ゴムにおける加硫とは?【リチウムイオン電池の材料】
フィラーとは何か?剤と材の違いは?【リチウムイオン電池の材料】
有機酸とは?有機酸に対する耐性とは?【リチウムイオン電池の材料】
潜熱と顕熱とは?潜熱と顕熱の違いは?
ポリオレフィンとは何か?【リチウムイオン電池の材料】
エンプラ、スーパーエンプラとは何か?エンプラとスーパーエンプラの違いは?【リチウムイオン電池の材料】
化学におけるドープとは?プレドープとの違いは?
エクセルギ-とは?エクセルギ-の計算問題【演習問題】
エマルジョン・ラテックスとは?ラテックス系バインダーとは?【リチウムイオン電池の材料】
電池におけるプラトーの意味は?【リチウムイオン電池の用語】
単位のrpmとは?rpmの変換・計算方法【演習問題】
平均自由行程とは?式と導出方法は?【演習問題】
浮力とは何か?浮力の計算方法
シーリングとコーキングの違いは?
固体高分子形燃料電池(PEFC)における電解質膜の役割は?種類は?
固体高分子形燃料電池(PEFC)における電極触媒とは?役割や種類は?
固体高分子形燃料電池(PEFC)における酸素還元活性(ORR)とは?
固体高分子形燃料電池(PEFC)におけるECSA(白金有効利用面積)とは?
固体高分子形燃料電池(PEFC)におけるフラッディング・ドライアウトとは?
固体高分子形燃料電池(PEFC)におけるクロスオーバー(ガスクロスオーバー)とは?
固体高分子形燃料電池(PEFC)におけるアイオノマー(イオノマー)とは?役割は?
wt%(重量パーセント)・mass(質量パーセント)とは?計算方法は?【演習問題】
放射能の半減期 計算方法と導出方法は?【反応速度論】
ストークス半径とイオン半径
ファントホッフの式とは?導出と計算方法は【演習問題】
化学的安定性 HOMO-LUMO
遠心分離と遠心効果 計算と導出方法【演習問題】
rpmをGに変換する方法 計算問題を解いてみよう【演習問題】
w/w%・w/v%・v/v% 定義と計算方法【演習問題】
分子式・組成式・化学式 見分け方と違いは?【演習問題】
テルミット反応 リチウムイオン正極材のリサイクル
誘電率と比誘電率 換算方法【演習問題】
誘電体(絶縁体)と誘電分極(イオン分極・電子分極・配向分極)
導体と静電誘導 静電誘導と誘電分極との違いは?
屈折率と比誘電率の関係 計算問題を解いてみよう【演習問題】
双極子と双極子モーメント 意味と計算方法
回折格子における格子定数とは?格子定数の求め方
引火点と発火点(着火点)の違いは?【危険物取扱者乙4・甲種などの考え方】
燃焼範囲とは【危険物取扱者乙4・甲種などの考え方】
危険物における自然発火とは【危険物取扱者乙4・甲種などの考え方】
危険物における指定数量 指定数量と倍数の計算方法【危険物取扱者乙4・甲種などの考え方】
危険物における保安距離や保有空地とは【危険物取扱者乙4・甲種などの考え方】
光速と音速はどっちが早いのか 光速と音速のマッハ数は?雷におけるの光と音の関係は?
マッハ数の定義は?計算問題を解いてみよう【演習問題】
1光年の意味距離 地球何周分?ロケットでは何年かかる?新幹線では?

HOME プロフィール お問い合わせ