正極の電極構造

正極の電極構造と電極構造が電池性能に与える影響

 

このページでは、リチウムイオン電池の正極の電極構造と各反応、
正極の電極構造が電池の性能に与える影響の関係について解説します。

 

 

 

正極の電極構造

正極は電極作製工程でも記載した通り、一般的なリチウムイオン電池の完成時の電極は

 

・正極活物質:Liイオンの供給源、Liイオンが出し入れされる場所
・導電助剤:電子伝導性を高めるもの
・バインダー:正極活物質や導電助剤を集電箔に結着させるもの
・集電箔(主にアルミ):電子、電流を通し、外部端子と接続されているリード(集電体)と接続するもの

 

で構成されます。

 

正極の電極構造イメージと電池放電時の各反応と抵抗について下記に示します。

 

 

 

@放電時、負極から正極に電解液を介してLiイオンが移動します。
この際、Liイオンの移動による抵抗が生じます。

 

 

A次に、Liイオンが正極活物質-電解液界面に達すると、
そこで電荷の移動を含む反応(電荷移動反応)が起こります。

 

正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を使用した場合は以下の反応が電荷移動反応に当たります。

 

正極: LiCoO2 →← Li1-x CoO2 + xLi+ + xe-
負極: 6C + xLi+ + xe- →← LixC6

 

この反応による抵抗が電荷移動抵抗です。

 

また、上記反応を起こるためには電子(e-)が必要ですが、外部回路を通して電子が
正極に伝わり反応が生じる正極活物質-電解液界面に達するまでの反応がいくつかあり、、
その際生じる抵抗に以下が挙げられます。

 

・集電箔中電子移動抵抗、
・箔-活物質、導電助剤との電子移動抵抗、
・導電助剤-活物質間の電子移動抵抗等

 

また、バインダーの量が多すぎると上記電解移動反応を起こす反応サイトが減ってしまうことや、
電子移動を起こす反応サイトも減らしてし増すため、最適化が必要です。

 

 

B 最後に活物質と反応したLiイオンが活物質内を拡散し、Liイオンが収められていく反応 
  (固体内拡散反応)が起こります。

 

この反応による抵抗が固体内拡散抵抗に当たります。

 

固体内拡散の速度は使用する材料により速度が大きく変わります。

 

代表的な例では、コバルト酸リチウム等の層状構造を有する活物質では2次元での拡散が起こるのに対し、リン酸鉄リチウムに代表されるオリビン構造を有する活物質では1次元のみの拡散が起こるため、
拡散速度が遅く、一般的に高抵抗となりやすいことが知られています。

 

 

正極の電極構造と電池の性能

 

@抵抗の低減

 

正極抵抗を低減することで、電池全体の抵抗が低減し、出力やエネルギー密度の向上に繋がります。

 

上記電極構造のイメージ図のように、抵抗が各種存在します。

 

このどこの工程が最も抵抗が高いか?(律速しているか?)を見極め、そこの抵抗を優先的に
下げるための工夫が設計において重要です。

 

 

A電池の寿命向上

 

正極の寿命を向上させることで、電池全体の寿命の向上に繋がる場合があります
(正極が最も劣化しやすい場合)。

 

フロート試験の場合は負極表面での堆積物の増加が主な劣化要因であることが多いのですが、
サイクル試験の場合はLiイオンの脱・挿入に伴う活物質の膨張・収縮により、正極活物質自体も
劣化することが多いです(一般的なコバルト酸リチウム使用時等)。

 

正極活物質自体の結晶構造を高くしたり、Liイオンの脱・挿入に伴う活物質の膨張収縮が少ない材料を
選定することで、正極側のアプローチから電池の寿命が向上する場合があります。

 

 


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