並列反応 複合反応の導出と計算【反応工学】

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並列反応 複合反応の導出と計算【反応工学】

 

反応工学において反応器設計のためには、まず反応速度論について理解する必要があります。

 

化学反応は基本的に「素反応とよばれるそれ以上分けることができない基本の反応」と「素反応を組み合わせた複合反応」に大きくわけることが可能です。

 

この複合反応の一つとして「並列反応」とよばれるものがあります。

 

ここでは、「並列反応」に関する以下の内容について解説していきます。

 

・並列反応

 

・並列反応における各成分の濃度の経時変化 微分方程式の立式方法

 

というテーマで解説しています。

 

 

並列反応(競争反応・競合反応)

まず、複合反応の一つである並列反応とは何か? ということについて解説していきます。

 

並列反応とは、化学反応式 A→Bという反応と、A→Cという反応が並行(並列)して行う反応のことを指します。言葉の通り、並列でおこる化学反応をイメージするといいです。

 

 

 

計算を簡単にするために各々が1次の並列反応を考えていきましょう。

 

逐次反応と同様に、並列反応では、A→Bという素反応と、B→Cという素反応が各々独立で反応が進むと考えます。並列反応の別名を競合反応や競争反応と呼ぶときもあります。

 

逐次反応と同様に、Aが完全になくなりBやCとなるというよりも、どの物質も共存しつつもAが徐々に減り、BやCの割合が増えていくというイメージをするといいです。

 

以下のようなイメージです。

 


速度定数が大きい方の物質量が多くなり、化学平衡に達します。

 

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並列反応(競争反応・競合反応)における各成分の濃度の経時変化 微分方程式の立式方法

 

それでは、並列反応における各々の濃度を計算するために、反応速度式(微分方程式)を立式していきましょう。逐次反応と比べると微分方程式は簡単です。

 

ここで、dCA/dt = -k全 CA・・・①、dCB/dt = kB CA ・・・②、dCC/dt = kC CA ・・・という微分方程式が立てられます。ここで、反応式をみればわかりますが、K全 = kB + kCとなります。

 

並列数がおおくなったとしても、濃度Aの減少の速度定数は反応物各々の速度定数の和となります。

 

つまり、①式は dCA / dt = -(kB + kC) CA となります。

 

Aの初期濃度をCA0とすると、CA = CA0 exp(-(kB + kC) t )となります。

 

 

CAがわかると、濃度CB、CCも計算できます。導出していった結果は、CB = (kB / (kB + kC) )× CA0 (1 - exp(-(kB + kC) )t )CC = (kC / (kB + kC) )× CA0 (1 - exp(-(kB + kC) )t )となります。

 

 

 

並列反応における濃度変化を表したグラフは以下の通りとなります。

 

※※

 

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