熱伝導率と熱伝達率の違い【熱伝導度や熱伝達係数との違い】

当サイトでは記事内に広告を含みます


熱伝導率と熱伝達率の違い【熱伝導度や熱伝達係数との違い】

 

熱に関する用語としては、熱伝導率、熱伝達率、熱容量、比熱などさまざまなものがありますよね。
これらは似ているために、きちんと理解していないと間違える可能性が大きいです。

 

中でも、伝熱に関する用語である「熱伝導や熱伝達」やその程度を表す指標である「熱伝導率(熱伝導度)、熱伝達率(熱伝達係数)」の違いは特にややこしいです。これらの違いについて理解していますか。

 

ここでは、熱伝導と熱伝達の違い、熱伝導率(熱伝導度)、熱伝達率(熱伝達係数)の違いについて解説していきます。

 

・熱伝導や熱伝導率(熱伝導度)とは?

 

・熱伝達と熱伝達率(熱伝達係数)とは?熱伝導と熱伝導率との違いは?

 

というテーマで解説していきます。

 

 

熱伝導や熱伝導率(熱伝導度)とは?

 

まずは、熱伝導について確認していきます。

 

熱伝導とは言葉の取り、ある一つの物体内で熱が伝わっていく現象のことを指し、伝導伝熱ともいいます。

 

具体的に熱伝導とは、物質内部の温度勾配を推進力として、熱が伝わっていくものです。ある平板の両端を温度が高温に設定、もう一方を低温に設定したときに、熱が高いほうから低い方へ移動する現象が熱伝導です。

 

 

そして、この熱伝導のフーリエの法則と呼ばれる以下の式にしたがいます。

 


このフーリエの法則は上述のよう、伝熱量と、伝熱面積、温度勾配、熱伝導度から構成されます。

 

この熱伝導における定数のことを熱伝導率や熱伝導度と呼びます。熱伝導度の単位は上の数式を整理してもわかるように、熱伝導率の単位は[W/(m・K)]と表現されます。

 

この熱伝導度が高いほど熱を伝えやすいことを表しており、一般的に金属の方が樹脂よりも高いです。これは、熱伝導にも自由電子の移動関係しており、金属内部では自由電子で満たされているため、基本的に熱伝導率が高い傾向にあります。よって熱伝導率が高ければ、電気伝導率も高い傾向となります。

 

 

具体的な室温程度での熱伝導度(熱伝導率)の数値としては、以下のようなものがあります。

 

代表的な金属の熱伝導度(熱伝導率)
  • 銅:400程度
  • アルミニウム:240程度
  • 鉄:80程度
  • ステンレス:20程度

 

水や樹脂など金属以外の熱伝導率

 

このように熱伝導、熱伝導率が定められているのですが、熱伝達、熱伝達率とはどのような違いがあるのでしょうか?

 

関連記事

 

熱伝導やフーリエの法則とは?
ポリオレフィンとは?

 

熱伝達と熱伝達率(熱伝達係数)とは?熱伝導と熱伝導率との違いは?

 

一方で熱伝達とは、異なる2物体間で熱が伝わる現象のことを指します。熱伝達の代表としては、対流によって伝わる対流熱伝達のことを指す場合が多いです。

 

 

対流熱伝達の場合は、ニュートン冷却の法則にしたがいます。こちらでも、基本的に温度が高い方から、低い方へ熱が移送していきます。

 

ニュートン冷却の法則は以下の数式で表されます。

 

 

このニュートン冷却の法則は伝熱量と、伝熱面積、温度勾配、熱伝達係数(熱伝達率)から構成されます。

 

この熱伝達における定数のことを熱伝達率や熱伝達係数と呼びます。熱伝導度の単位は上の数式を整理してもわかるように、単位[W/(m2・K)]と表現されます。

 

この熱伝達が高いほど熱を伝えやすいことを表しており、一般的に対流する流体の速度や温度など複数の要素によってその大きさが変化します。

 

具体的な常温付近の熱の伝達係数の数値は、以下のようなものがあります。

 

  • 自然対流における空気:5~25程度
  • 強制対流における空気:10~300程度
  • 強制対流における水:100~5000程度

 

つまり、同じ空気などの流体であっても、その強さや温度などによって熱伝達係数は変化するのです。

 

このように熱伝導と熱伝達、熱伝導率と熱伝達率の違いがあります。きちんと伝熱に関する用語を使い分けていきましょう。

 

関連記事

 

熱伝導やフーリエの法則とは?
ポリオレフィンとは?

 

熱伝導率と熱伝達率の違い【熱伝導度や熱伝達係数との違い】 関連ページ

熱の伝わり方(伝熱の仕方)の種類
フーリエの法則と熱伝導(伝導伝熱) 平板・円筒・球での熱伝導度(熱伝導率)の計算方法
多層平板における熱伝導(伝導伝熱)と伝熱抵抗 熱伝導度の合成
ニュートン冷却の法則や総括伝熱係数(熱貫流率・熱通過率)とは?【対流伝熱】
ニュートン粘性の法則の導出と計算方法 ニュートン流体と非ニュートン流体とは?【粘性係数(粘性率)と速度勾配】
放射伝熱(輻射伝熱)とは?プランクの法則・ウィーンの変位則・ステファンボルツマンの法則とは?
熱交換器の計算問題を解いてみよう 対数平均温度差(LMTD)とは?【演習問題】
比熱の測定方法(簡易版)
熱伝導率の測定・計算方法(定常法と非定常法)(簡易版)
熱拡散率(温度拡散率)と熱伝導率の変換・計算方法【演習問題】
反応速度と定常状態近似法、ミカエリス・メンテン式
ラウールの法則とは?計算方法と導出 相対揮発度:比揮発度とは?【演習問題】
蒸気圧と蒸留 クラウジウス-クラペイロン式とアントワン式
流速と流量の計算・変換方法 質量流量と体積流量の違いは?【演習問題】
流束と流束密度の違いは? 流束と流束密度の計算問題を解いてみよう【演習問題】
流速と流束(フラックス)の違いは? 流束の種類
レイノルズ数、ファニングの式とは?導出方法と計算方法【粘性力と慣性力の比】
単蒸留とは?レイリーの式の導出と単蒸留の図積分を用いた計算問題【演習問題】
フラッシュ蒸留と単蒸留とフラッシュ蒸留の違いは?【演習問題】
連続蒸留とは?蒸留塔の設計における理論段数・最小還流比とは?【演習問題】
蒸留塔における理論段数の算出方法(McCabe-Thiele法による作図)は?理論段数・最小還流比とは?【演習問題】
ベルヌーイの定理とは?ベルヌーイの定理の問題を解いてみよう【演習問題】
反応器(CSTRとPFR)の必要体積の比較の問題【反応工学の問題】
逐次反応 複合反応の導出と計算【反応工学】
並列反応 複合反応の導出と計算【反応工学】
転化率・反応率・選択率・収率 導出と計算方法は?【反応工学】
平均滞留時間 導出と計算方法【反応工学】
反応次数の計算方法 0次・1次・2次反応【反応工学】
粒子の沈降とは?ストークスの法則(式)と終末速度の計算方法【演習問題】
含水率とは?湿量基準含水率と乾量基準含水率の違いは?
参考文献
ヌッセルト数(ヌセルト数)・グラスホフ数・プラントル数
レイリー数(レーレー数)とは?
U字管マノメーターの原理と計算方法
層流・乱流・遷移領域とは?層流と乱流の違い
フィックの法則の導出と計算【拡散係数と濃度勾配】
熱抵抗を熱伝導率から計算する方法【熱抵抗と熱伝導率の違い】
【ハ-ゲンポアズイユの定理】円管における層流の速度分布を計算する方法
質量保存則と一次元流れにおける連続の式 計算問題を解いてみよう【圧縮性流体と非圧縮性流体】
静圧と動圧の違い【位置エネルギーと運動エネルギー】
ゲージ圧力と絶対圧力の違いは?変換(換算)の計算問題を解いてみよう【正圧と負圧の違いは?】
熱流束・熱フラックスを熱量、伝熱量、断面積から計算する方法【熱流束の求め方】

HOME プロフィール お問い合わせ