反応器(CSTRとPFR)の必要体積の比較の問題【反応工学の問題】

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反応器(CSTRとPFR)の必要体積の比較の問題【反応工学の問題】

 

ここでは、反応工学の中でも反応器であるCSTR(連続槽)、PFR(管型押し出し流れ反応器)の種類と設計に関する以下の内容を解説していきます。

 

・CSTR(連続槽型反応器)における反応容器の体積の導出

 

・PFR(押し出し流れ反応器)における反応容器の体積の導出

 

・CSTRとPFRの反応器の体積の比較の問題を計算してみよう【演習問題】

 

というテーマで解説していきます。

 

CSTR(連続槽型反応器)における反応容器の体積の導出

 

反応工学における反応器設計の問題として、CSTR(連続槽型反応器)とPFR(管型反応器)の反応式がよくでてきます。

 

CSTRとPFRでは、ある化学反応において反応率Xが一定値になるために必要な反応器の体積が異なります。
以下で各々の装置で、必要な反応器の大きさの導出を行います。

 

まずは、CSTRにおける反応に必要な体積の導出を行っていきます。

 

CSTR(連続槽型反応器)における反応器容積を求めるためには、設計方程式が必要になります。
CSTRにおける設計方程式の導出は別途ページで記載しています。

 

設計方程式は以下のように定義されます。

 

体積流量とν0として、成分Aの初期濃度をCA0、反応率をxA、反応速度をrAとしたとき、rA V + CA0 ν0 xA  = 0となります。

 

この計算式を変形し、V=の形にすると以下のようになります。V = (CA0 ν0 xA) / (-rA ) となります。この式は定容系の反応であっても、非定容系の反応であっても成り立ちます。

 

 

 

つまり、横軸に反応率xAをとり、縦軸に 1 / (-rA) をとった曲線を書いたときの下の面積が反応体積に相当します。

 


CSTRでは、長方形の面積を考えればいため、基本的に計算が簡単です。

 

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PFR(押し出し流れ反応器)における反応容器の体積の導出

 

PFR(押し出し流れ反応器)における反応器容積を求めるためには、設計方程式が必要になります。
PFRにおける設計方程式の導出は別途ページで記載しています。

 

設計方程式は以下のように定義されます。

 

体積流量とν0として、成分Aの初期濃度をCA0、反応率をxA、反応速度をrAとしたとき、rA + CA0 ν0 dxA / dV = 0となります。

 

この計算式を変形し、dV=の形にすると以下のようになります。dV = (CA0 ν0 dxA) / (-rA xA) となります。この式は定容系の反応であっても、非定容系の反応であっても成り立ちます。

 

そして、両辺を積分することで、必要体積Vの算出ができます。以下の通りです。

 

 

 

この計算式において、分子のCA0 ν0 はインテグラルの外に出すことができるため、実際に考慮すべきは、それ以外の以下の部分といえます。

 

 

つまり、横軸に反応率xAをとり、縦軸に 1 / (-rA xA) をとった曲線を書いたときの下の面積が反応体積に相当します。

 

 

もし、曲線の詳細がわからないケースで、数点のプロットのみがデータとして得られるようなケースでは、図積分を用いて行うといいです。

 

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CSTRとPFRの反応器の体積の比較の考え方【演習問題】

 

このように、CSTRとPFRでは、必要な反応器の体積の計算式が異なります。そして、その体積は先にものべた曲線の形によって、変化します。

 

上の例に述べた、曲線が単調に上昇していくケースでは、長方形よりも積分形の方が面積は小さく、PFRの方が有利とわかります。

 

一方で、以下のような単調減少の場合があったとします。すると、CSTRの方が面積が小さくて済みます。
つまり、反応体積がCSTRの方が小さくてよく、有利であるという比較・判断ができるのです。

 

 

 

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