ヌッセルト数(ヌセルト数)・グラスホフ数・プラントル数
当サイトでは、リチウムイオン電池をメインテーマとして各種解説をしていますが、リチウムイオン電池だけでなく、製造業において化学工学の知識は不可欠です。
例えば、リチウムイオン電池の製造工程としては、電極スラリーを混練する際の撹拌する力や与えるエネルギーの設計、電極スラリーを混練したあとの電極基材へ塗布した後のコーターでの乾燥条件の設計などに化学工学の知識が必要になる場合があります。
ここでは、化学工学における基礎技術である移動操作(流体や熱伝導)の中でも重要な定義である「ヌッセルト数(ヌセルト数)」「グラスホフ数」「プラントル数」に関する内容について解説していきます。
・ヌッセルト数(ヌセルト数)
・グラスホフ数
・プラントル数
というテーマで解説しています。
ヌッセルト数(ヌセルト数)の定義
ヌッセルト数は、熱伝導などの物質の移動現象に関する用語であり、具体的には対流伝熱の影響(熱伝達)と伝導伝熱(熱伝導)の比を表した無次元量です。
ヌッセルト数の意味はとしては、対流が起こることによって熱の伝わり方がどのように変化しているかを表した指標ともいえます。
以下の定義式で表されます。
対流が起こっていない熱伝導のみで熱が伝わる場合では、ヌッセルト数Nu=1となります。
ただ、ヌッセルト数は奥が深く、実は他の無次元数である「グラスホフ数」「プラントル数」「レイノルズ数」の関数となっており、「周囲の対流が自然対流によるものなのか」「強制対流によるものなのか」によって変化します。
グラスホフ数・プラントル数については、下で詳しく解説していきますが、ここではまずヌッセルト数とグラスホフ数・プラントル数の関係の概要について解説していきます。
自然対流が起こっているケースでは、ヌッセルト数はグラスホフ数・プラントル数の関数となります。
一方で、強制対流が起こっているケースでは、ヌッセルト数はレイノルズ数・プラントル数の関数となります。
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グラスホフ数
このように、ヌッセルト数・グラスホフ数・プラントル数・レイノルズ数は相互的に関係している関数といえます。
ここではグラスホフ数の定義と計算方法について解説していきます。
グラスホフ数とは他の用語と同様に、物質の移動現象に関わる式です。以下の計算式であらわすことができます。
Gr=gβ⊿T L^3 / ν^2 です。
ここで、βは体積膨張係数、⊿Tは代表温度差、Lは代表長さ、νは動粘度を表しています。
グラスホフ数が表す意味は浮力と粘性力の比です。実はこのグラスホフ数は、レイノルズ数と同様に流体が層流になるか乱流になるかを判断するための指標ともいえます。
基本的に、自然対流におけるグラスホフ数が強制対流におけるレイノルズ数と同等といえます。
レイノルズ数Reの値が2000~4000あたりが層流と乱流の変わり目であったのに対して、レイノルズ数では、10^8~10^9程度がその変わり目にあたります。
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プラントル数
次にプラントル数についても確認していきます。
プラントル数数とは他の用語と同様に、物質の移動現象に関わる式です。以下の計算式であらわすことができます。
Pr = ν/α = µcp / k です。
ここで、νは動粘度、αは熱拡散率、µは粘度、Cpは比熱、kは熱伝導率を⊿Tは代表温度差、Lは代表長さ、νは動粘度を表しています。
プラントル数が表す意味は動粘度と熱拡散率(温度拡散率)の比です。
このプラントル数が大きいほど、断熱的な性質が強くなる(熱のつたわりが悪くなる)といえます。
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