質量保存則と一次元流れにおける連続の式 計算問題を解いてみよう【圧縮性流体と非圧縮性流体】
ここでは化学工学の中でも、流体に関する考え方である質量保存則や一次元流れにおける連続の式について解説していきます。
・圧縮性流体と非圧縮性流体とは?
・流体における質量保存則と一次元流れにおける連続の式の導出【圧縮性・非圧縮性】
・連続の式を使用した計算を行ってみよう【例題】
というテーマで解説していきます。
圧縮性流体と非圧縮性流体とは?
流体における質量保存則を考えていく前に、流体の種類である圧縮性流体と非圧縮性流体の定義について確認していきます。
圧縮性(流体)や非圧縮性(流体)の抽象的なイメージとしては、言葉の通りであり、外部環境である温度、圧力などの影響によって、流体の密度が変化するかどうかといえます。つまり、圧縮されるかどうかといえます。
なお、同じ物質であっても流体の流量が大きかったり、小さくなったりすることで、「圧縮性になるか、非圧縮性になるのか」が変化します。
このような圧縮性、非圧縮性ですが、実は厳密な定義があり、流体と音速の比であるマッハ数の大きさによって定められているのです。
基本的には、流体の密度変化の度合いが5%の数値が基準に使用されています。これはマッハ数で求めると0.3程度の数値となることを理解しておきましょう。
なお、水の場合は圧縮性がほとんどなく、100t(トン)を水1m3にかけたとしても、0.004~0.005%程度の体積変化しか起こらないです。そのため、流体に水を使用するケースでは、ほぼ非圧縮性流体とみて考えていいといえます。
ただ、完全に非圧縮性の流体というものは現実には存在しなく、圧縮流体となります。
そして、流体における質量保存則においても圧縮性流体か、非圧縮性流体かでその考え方が若干異なります。以下で詳細を確認していきます。
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流体における質量保存則と一次元流れにおける連続の式の導出【圧縮性・非圧縮性】
流体における質量保存則とは「同じ流れの中で違う場所の任意の二つの断面を選んだ際に質量流量(一定の時間に流れる流体の質量)のは同じになる」という法則です。
(なお、流量(質量流量と体積流量)についてはこちらで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。)
非圧縮性流体における連続の式
まずは、非圧縮性流体における質量保存則を考えていきます。流体がある管内を流れているとし、任意の断面二つの状態を考えます。
ここで、非圧縮性流体と仮定しているため、流体の密度ρは変化しません。さらに、断面1では、断面積がS1である流速がu1とします。同じ考え方で、断面2では、断面積がS2で、流速がu2となります。
これらの質量流量が一致するために、ρu1S1 =ρu2S2 という式が成立します。なお、ρは一定のため、u1S1=u2S2となり、体積流量でみても同じ数値であることがわかります。
この式が非圧縮性流体における質量保存則といえます。
そして、この「uS = 一定」という式が、非圧縮性流体の一次元流れにおける連続の式です。
圧縮性流体における連続の式の導出
圧縮性流体における連続の式であっても同様に、質量保存則から導出することが可能です。
よって、圧縮性流体の場合は密度変化が起こるため、この「ρuS = 一定」という式が、圧縮性流体の一次元流れにおける連続の式となります。
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連続の式を使用した計算を行ってみよう【例題】
それでは、一次元流れにおける連続の式を使用した計算問題を解いていきましょう。
例題
ある圧縮性流体において、断面1では密度が1kg/m3で、速度が0.2m/s、断面積が0.5m2であるとします。
もう一方の断面では、密度が1.1kg/m3で、断面積が0.4m2のときの流束はいくらになるのでしょうか。
解答
圧縮性流体における連続の式を用いていきます。
ρuSが一定となることから、 1 × 0.2 × 0.5 = 1.1 × 0.4 × x という式が成立します。
この連続の式を整理すると、 流束x= 0.227 m/sと求められるのです。
一次元流れにおける質量保存則や連続の式は化学工学、流体工学の基礎となるので、きちんと理解しておきましょう。
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