電析が起こる原因と条件 起こさないための対応策は?

電析が起こる原因と条件 起こさないための対応策は?


こちらのページでは、リチウムイオン電池における基礎的な用語である

・電析が起こる原因と条件は?
・電析を起こさないための対応策

について解説しています。


電析が起こる原因と条件は?

リチウムイオン電池の負極において、何かしらの負荷がかかった充電を行うと電析(負極表面でのLi金属の析出)の可能性があり、電析により安全性が低下してしまいます。
  電析が起こる原因を知る前に、負極の充電時の反応を簡単に解説します。   負極での充電時の反応は大きく分けて3つに分けることができます。   @電解液中のLiイオンの負極表面への移動 A電解液ー負極界面での電荷移動反応 B負極中の固体内拡散   です。       そして、Bの固体内拡散が遅く、Aの電荷移動反応に比べて遅いときに電析が起こります。   反応を速く起こそうとした時に詰まってしまい、電析が起こるとイメージすると良いでしょう。  
つまり、反応を速く起こそうとする、つまり充電電流が大きいとと電析が起こりやすくなります。
  特に低温下では、Bの固体内拡散が大幅に遅くなるためこの詰まる現象が起こりやすくなります。 まとめますと、低温で反応を速く起こす、つまり充電電流が大きいと電析が起こりやすくなるのです。
    それでは、この電析が起こるときに電位的にはどのような変化が起きているのでしょうか?   関連記事
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電析が起こるときの負極の作動電位は?


上にて、電析が起こる際のイメージを解説しましたが、この電析が起こる際の負極の作動電位は以下のようになっています。

充電時、負極の作動電位は開放電位よりもオームの法則分のV=IR分低下します。

そして、0 V vs Li/Li+、つまりLiの溶解析出電位(標準電極電位よりも下に来るとLi金属が電析します。

 
 
低温時は負極の抵抗も高くなりV=IRのRが大きくなり、0V vs Li/Li+を切りやすくなる、つまり電析しやすくなるのです。
 
同様に充電の電流値を上げるとV=IRのIの大きくなるために、0V vs Li/Li+を切りやすくなる、つまり電析しやすくなるのです。

それでは、電析しないようにする対応策はあるのでしょうか?

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電析が起こらないようにするための対応策は?

電析が起こらないようにするため、充電器の充電速度が制限されていたり、電析が起こりにくい電池材料を使用して対応しています。   その具体的な対応方法について解説します。    
作動電位が高い負極活物質を使用すること
  上では、負極活物質に黒鉛を用いた場合の例を解説しました。   黒鉛の作動電位はLiの溶解析出電位と近く、使用状況によっては電析が起こる可能性があります。 そこで、Liの溶解析電位より遠い位置、つまり作動電位が高い負極活物質を使用することで電析が起きにくくなります。
 
作動電位が高い材料の例として、チタン酸リチウムという負極活物質があり、その作動電位は1.55 V vs Li/Li+ 程度です。
 
チタン酸リチウムを使用すれば電析は起きにくくなりますが、電池の端子電圧は正極の電位 − 負極の電位であるため、負極の作動電位が高くなる分、電池の端子電圧が低くなる傾向にあります。   端子電圧が低いとエネルギー密度も低い傾向にあり、安全性とエネルギー密度はトレードオフな関係にあります。
 
また、黒鉛等の炭素系負極を使用したとしてもその利用する割合を少なくすることで、作動電位の低下をある程度まで防ぐことが出来ます。    
電池の使用条件を制御すること

これは製品の保証の問題と大きく関わりますが、電池の使用条件をきちんと制御することが挙げられます。   特に上述のように、作動温度範囲、とくに低温側と最大の充電電流値をきちんと規定していましたら、電析が起きる可能性が低く抑えられます。 他は、対応していない充電器を使用しないなどの取扱説明書に記載の内容に従って使用することが重要です。
また、電析が起きている状態で電池に異常があった場合は、電析の量が多いほど熱暴走に至る可能性が高まります(電析の量はファラデーの法則に従い、その算出方法はこちらで解説しています。)


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