化学変化の基礎(エンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギー)

化学変化の基礎(エンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギー)

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化学変化の基礎(エンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギー)

 

このページでは、化学変化が自発的に起こる指標であるギブズエネルギーと、ギブズエネルギーを理解する上で大事なエンタルピー、エントロピーについて解説します。

 

電池の反応を理解する上で、化学変化が自発的に起こる方向を理解することが大事です。

 

エンタルピー

エンタルピーとは H=U+pV で表される状態量です。
(H:エンタルピー、U:内部エネルギー、p:圧力、V:体積)

 

力学における位置エネルギーと運動エネルギーの和のようなイメージで捉えると良いでしょう。

 

また、状態量とは経路や履歴に関係しない物理量のことです。

 

例えば温度をT→T'に変化させようとする場合(T'>T)、外部から仕事を加えたり、熱を与える等が考えられます。仕事や熱を加える時間であったり、加える割合が何であるにせよ、結果としてT→T'になっていれば良く、この結果に当たる量のことを状態量(もしくは状態関数)と呼んでいます。

 

(※状態関数についてはこちらで詳しく解説しています)

 

また、エンタルピーは定圧化における系に出入りする熱エネルギーのことを指します。

 

電池の反応を考える上では、化学反応におけるエンタルピー変化⊿Hを考えることが重要です。

 

エンタルピー変化は、様々な化学反応における反応熱の符号を逆にしたものであり、下に記載するギブズエネルギーを構成する項の一つです。

 

下記にエンタルピー変化を表した反応の例を示します。

 

 

 

この反応では、標準状態(熱力学では25℃、1atmの状態)で左辺→右辺(生成系)の反応にて981kJ/molの発熱が起こることを表しています(反応式の書き方、各種記号の例はこちらで解説しています)。

 

左辺のメタンのC-H結合と酸素のO=O結合が切れるときのエネルギー消費と右辺の二酸化炭素のC=O結合や水のO-H結合が生成される際のエネルギー放出との収支で、発熱がおこるか吸熱が起こるか、また発熱量や吸熱量が決まります。

 

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エントロピー

エントロピーとは dS=dQrev/T で表される状態量であり、秩序を表す指標と言えます。
(S:エントロピー、Qrev:可逆過程の熱量、T:温度)

 

式変形して、T⊿S=⊿Qとしますと、単位がJになり、エネルギーを表します。

 

またT⊿Sは下のギブズエネルギーを構成する項の一つですので重要であり、特に符号を変えた-T⊿S(⊿Sが正だと自然に進む方向であるため)は秩序を保つためのエネルギーを表します。

 

孤立した系では、自発的に反応が進む場合エントロピーは増大します(熱力学第2法則)
(何もしないと部屋が散らかっていくイメージでとらえると良いでしょう)。

 

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ギブズエネルギー

ギブズエネルギーとは ⊿G=⊿H-T⊿S で表される状態量です。
(G:ギブズエネルギー、H:エンタルピー、S:エントロピー)

 

孤立系では⊿Sに着目することで自発変化の方向がわかることを上に解説しましたが、孤立系以外ではギブズエネルギー変化⊿Gに着目すること(もちろん孤立系においても⊿H=0となるため適用できます)で自発変化の方向がわかり、⊿G<0のときに反応が自発的に進みます。

 

また、上述したように⊿Hは各結合が切れたり、生成されることでのエネルギー収支であり、-T⊿Sは粒子の秩序を保つためのエネルギーでした。

 

これらを合わせた⊿G=⊿H-T⊿S実際に仕事に使用できるエネルギーと言えます(下図イメージ)。

 

 

 

⊿G(自発変化が起こる向き)はエネルギー変換における基礎なのできちんと理解しましょう。

 

またある反応における⊿Gの値を知りたいときは、通常標準生成ギブズエネルギーという、ある化合物を単体から作った際のギブズエネルギーを算出する必要があります。

 

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