光束・光度・輝度・照度の定義と換算方法【演習問題】
太陽電池では光のエネルギーを電気的なエネルギーに変換することで、熱量を有効に活用しています。つまり、光と電気化学は関わりが深いのです。
そのため電気化学を学ぶ上で、光の性質や用語についてきちんと理解することも重要です。
ここでは、光に関する知識である「光束・光度・輝度」とその変換方法について解説していきます。
・光束(こうそく)と光量
・光度(光束の密度) 単位立方角とは
・輝度(光源における光度の密度)
・照度
というテーマで解説していきます。
光束(こうそく)と光量
光の量を表す用語として「光束」というものがあります。光の速さの光速とは別物ですので、注意しましょう。
光は光源から広がっていき、それを私達の感覚神経によって「光っている」と認識できます。これは光自体がエネルギーであることに由来します。
太陽を始めとした光のエネルギーは基本的には放射伝熱(輻射伝熱)とよばれる熱の伝わり方によって、私達に供給されています。
そして、私たちが感じる光のエネルギー(光の量)のことを光量とよびます。光量が大きいほど、私たちは明るいと感じます。
さらに、単位時間あたりに通過する光量のことを光束とよびます。この光束は別の言い方をすると、光源からでている光量とも言い換えることができます。
この光束の単位は珍しいものを使用し、ルーメン:lmというものになります。
関連記事
放射伝熱(輻射伝熱)とは
光と電気化学 基底状態と励起状態
励起と酸化還元力の向上の関係
電磁波の分類 可視光とは
光のエネルギー
光度(光束の密度) 単位立方角とは
さらに、光は光源から発せられますが、方向によってその光の量は変化します。
ここで、ある一定の方向に照射される単位立方角あたりの光束のことを、「光度」と呼びます。
光度[cd]=(光束)/(単位立方角)という計算式が成り立ちます。
※※
光度は比較的イメージしやすく、光の強さに関する密度のようなものと理解しておくといいです。光度の単位亜はカンデラ:cdを使用します。このカンデラはあまりなじみがないですがSI単位の一つです。
先のものべた単位立方角はあまりなじみがないために解説します。単位立方角とよばれる考え方があり、ある点から広がっていく際の広がり度合を示したものといえます。
単位立方角では基本的に記号ωで表し、ω=4πのときにすべての球状の方向を表します。
ある半径rの球におけるある方向の面積Aとしたときに、単位立方角ω=A/r^2と定義されます。
つまり、表面積4πr^2のときすべての方向であるため、ω=4πr^2/r^2 = 4πのときに、全方向を表すといえます。
関連記事
放射伝熱(輻射伝熱)とは
光と電気化学 基底状態と励起状態
励起と酸化還元力の向上の関係
電磁波の分類 可視光とは
光のエネルギー
輝度(光源における光度の密度)
光の強さを表す用語は非常にややこしので、一つ一つ定義を確認していきましょう。
次は、輝度という用語について解説します。輝度とは、ある方向からみた光源の単位面積あたりの光度のことを指します。
つまり、輝度=(光度)/(ある方向からみた光源の面積) といえます。
光度は光があてられる側の密度のようなイメージであるのに対し、輝度は光源側の光度の密度といえます。
関連記事
放射伝熱(輻射伝熱)とは
光と電気化学 基底状態と励起状態
励起と酸化還元力の向上の関係
電磁波の分類 可視光とは
光のエネルギー
照度
光束・光度・輝度の定義と計算方法【演習問題】 関連ページ
- エネルギー変換
- 化学変化の基礎(エンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギー)
- 反応ギブズエネルギーと標準生成ギブズエネルギー
- 化学平衡と化学ポテンシャル、活量、平衡定数○
- 電圧とギブズエネルギーの関係○
- 化学ポテンシャルと電気化学ポテンシャル、ネルンストの式○
- ネルンストの式の導出
- 【演習問題】ネルンストの式を使用する問題演習をしよう!
- 電池反応に関する標準電極電位のまとめ(一覧)
- 標準電極電位とは?電子のエネルギーと電位の関係から解説
- 標準電極電位の表記例と理論電圧(起電力)の算出【電池の起電力の計算】
- 標準電極電位と金属の電子状態○
- 電池内部の電位分布、基準電極に必要なこと○
- 基準電極の種類
- 電気二重層、表面電荷と電気二重層モデル
- 電気化学の測定方法 -三電極法-
- サイクリックボルタンメトリーの原理と測定結果の例
- サイクリックボルタンメトリーにおける解析方法
- LSVの原理と測定結果の例
- クロノアンぺロメトリ―の原理と測定結果の例
- クロノポテンショメトリ―の原理と測定結果の例
- 電荷移動律速と拡散律速(電極反応のプロセス)○
- リチウムイオン電池と等価回路(ランドルス型等価回路)
- リチウムイオン電池と交流インピーダンス法【インピーダンスの分離】
- 【拡散律速時のインピーダンス】ワールブルグインピーダンスとは?限界電流密度とは?【リチウムイオン電池の抵抗成分】
- 電解質の電気抵抗、電気伝導率
- イオンの移動度とモル伝導率 輸率とその計算方法は?
- イオン強度とは?イオン強度の計算方法は?
- 電子授受平衡と交換電流、交換電流密度○
- Butler-Volmerの式(過電圧と電流の関係式)○
- Tafel式とは?Tafel式の導出とTafelプロット○
- 【演習】アレニウスの式から活性化エネルギーを求める方法
- 活性化エネルギー詳細
- 加速劣化試験と電池部材の耐食性評価
- 腐食とは?腐食の種類と電位-pH図
- めっきとは?めっきの役割と種類
- 自己触媒めっきと自己触媒
- 【演習問題】電流効率とは?電流効率の計算方法【リチウムイオン電池部材のめっき】
- 隙間腐食(すきま腐食)の意味と発生メカニズム
- 電食・ガルバニック腐食・異種金属腐食
- 濃淡電池の原理・仕組み 酸素濃淡電池など
- 浸透探傷試験(レッドチェック)
- ファラデーの法則とは?ファラデー電流と非ファラデー電流とは?
- ド・ブロイの物質波とハイゼンベルグの不確定性原理
- 波動関数と電子の存在確率(粒子性と波動性の結び付け)
- シュレーディンガー方程式とは?波の式からの導出
- 波の式を微分しシュレーディンガー方程式を導出
- 井戸型ポテンシャルの問題とシュレーディンガー方程式の立式と解
- オイラーの公式と導出
- 光と電気化学 基底状態と励起状態 蛍光とりん光 ランベルト-ベールの式
- 電磁波の分類 波長とエネルギーの関係式 1eVとは?eV・J・Vの変換方法【計算問題】
- 光と電気化学 励起による酸化還元力の向上
- 溶解度積と沈殿平衡 導出と計算方法【演習問題】
- 再配向エネルギーと活性化エネルギー
- 内圏型と外圏型電子移動の違い
- pHメーター(pHセンサー)の原理・仕組みは?pHメーターとネルンストの式
- ガスセンサー(固体電解質)の原理とは?ネルンストの式との関係は?
- オリゴマーとは?ポリマーとオリゴマーの違いは?数平均分子量と重量平均分子量の求め方【演習問題】
- 面心立方格子、体心立方格子、ミラー指数とは?【リチウムイオン電池の正極材の結晶構造は】
- アタクチックポリマー、イソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマーの違いは?【ポリマーのタクチシチ―】
- おすすめの電気化学の参考書
- 【電流密度】電流密度と電流の関係を計算してみよう【演習問題】
- ギブズの相律とは?F=C-P+2とは?【演習問題】
- 状態関数と経路関数 示量性状態関数と示強性状態関数とは?
- 定容熱容量(Cv)と定圧熱容量(CP)とは?違いは?
- 分子間相互作用
- 理想気体と実在気体の状態方程式(ファンデルワールスの状態方程式) 排除体積とは?排除体積の計算方法
- オクテット則
- 【緩衝作用】酢酸の緩衝溶液のpHを計算してみよう【酢酸の解離平衡時の平衡定数】
- 電子軌道 s軌道・p軌道とは?
- 混合エントロピー 計算と導出方法は?
- 錯体・キレート 錯体平衡の計算問題を解いてみよう【演習問題】
- 「速度論的に安定」と「熱力学的に安定」
- 触媒の仕組みと化学反応
- 分配平衡と分配係数・分配比 導出と計算方法【演習問題】
- 塩橋の役割と入れる理由
- レナードジョーンズポテンシャル 極小値の導出と計算方法【演習問題】
- ルイス酸とルイス塩基の定義 見分け方と違い
- 膜電位の定義と計算方法
- トルートンの規則 トルートンの式
- 化学におけるクラスターとは
- 結晶粒界(粒界)の定義と粒界腐食
- 化学におけるキャラクタリゼーションとは
- 化学におけるバルクとは?バルク水とは
- 電気化学における活性・不活性とは?活性電極と不活性電極の違い
- 1eVは熱エネルギー(温度エネルギー)に換算するとどのくらいの大きさになるのか
- 物質の相図(状態図)と物質の三態の関係 水の状態図の見方 蒸発・凝縮・融解・凝固・昇華・凝結とは? 三重点と臨界点とは?
- プランク定数とエイチ÷2πの定数(エイチバー:ディラック定数)との関係
- 活量係数とは?活量係数の計算問題をといてみよう【活量と活量係数の関係】
- 光触媒である二酸化チタンの原理や用途
- 水素脆性(ぜいせい)、水素脆化の意味と発生の原理は?ベーキング処理とは?
- 波数と波長の変換(換算)の計算問題を解いてみよう
- 波長と速度と周波数の変換(換算)方法 計算問題を解いてみよう
- 波数とエネルギーの変換方法 計算問題を解いてみよう