隙間腐食(すきま腐食)の意味と発生メカニズム
実は金属などの材料が腐食と電気化学には深い関わりがあります。
腐食とは局部的な電池反応が起こることです。一方の金属が溶けだしたり、溶けだした金属イオンが周囲の元素と反応し錆になったりすることを指します。
腐食には種類が多くあり、その中でも「隙間腐食(すきま腐食)」とよばれる腐食の形態があります。この隙間腐食とはどのようなものか知っていますか?
ここでは、隙間腐食に関する以下の内容を解説していきます。
・隙間腐食の意味と発生メカニズム
というテーマで解説していきます。
隙間腐食の種類と発生メカニズム
隙間腐食が起こるメカニズム(原理)について以下で確認していきます。
配管など、ある金属部材と金属部材の間に隙間ができる構造の製品があります。ここで、「異種金属を使用することで電位差を生じ、腐食する」という異種金属腐食(ガルバニック腐食)の劣化メカ二ズムとは異なり、同じ材料を使用してもすき間腐食は起こります。
ここで、隙間のような狭い空間には空気中の酸素が均一に運ばれにくいです。つまり、一方の金属近傍ともう一方の金属近傍には酸素濃度に差が生まれます。結果として、局所的な酸素濃淡電池が隙間で出来上がります。
つまり広義の意味での隙間腐食は、「ある隙間において酸素濃淡電池ができること」と定義されます。
※※
ただ実際のところ、製造現場では金属材料として「ステンレス」や「めっき処理をした材料」などと耐食性が高いものが多いです。表面に各種耐性の高い不動態皮膜ができるためです。
そのため、すきまがあることによって酸素の濃淡ができたとしても、反応がおこりにくいです。結果として、直接腐食につながることは少ないです。
実は、塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が何かしらの影響で金属に付着すると、金属の劣化が大幅に進みやすくなります(塩素イオンを含む身近なものとしては、自動車の凍結防止剤などが挙げられます)。塩化物イオンが混入するとphの変化などの影響から腐食が進みやすくなるのです。
(※phと物質の安定な状態を表す電位ーpH図はこちらで解説しています)
つまり、「ある隙間に塩素イオンが加わることで、腐食が始まります。さらに、隙間には酸素の濃淡ができているため、酸素濃淡電池が形成され、結果として腐食が進む」ということが狭義の意味での隙間腐食です。
このような仕組みで、「隙間で劣化がおこる」という隙間腐食が起こります。
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