ルイス酸とルイス塩基の定義 見分け方と違い
化学的な現象を解析するための基礎知識として、「酸・塩基の定義」をきちんと理解しておくといいです。
ただ、酸・塩基の定義にはいくつかの種類があります。代表的なものには、「アレニウスの定義」「ブレンステッドの定義」「ルイスの定義」があります。
中でも、当サイトのメインテーマでもあるリチウムイオン電池の反応を理解するには、「電子の移動を適切にとらえる」必要があります。そのため、電子状態と関わる酸・塩基の定義であるルイス酸、ルイス塩基が特に重要といえます。
ここでは、「ルイス酸・ルイス塩基」に関する以下の内容について解説していきます。
・
というテーマで解説していきます。
ルイス酸・ルイス塩基の定義
ルイスが定義した酸塩基の定義を電子対に着目して定義しています。以下で確認していきます。
「ルイス酸:非共有電子対(ローンペア)を受け取る物質」「ルイス塩基:非共有電子対(ローンペア)を与える物質」と定義しています。
※※
それでは、具体的にどのようなものがルイス酸・ルイス塩基になりやすのでしょうか。大まかな傾向があるものの、厳密には反応する物質の組み合わせによって、非共有電子対をどちらが受け取りやすく、どちらが出しやすいかが変化します。
(※これは、電池においてどちらが正極・負極となるかの議論と似ています。厳密には標準電極電位(イオン化傾向)の大きさによって、どちらの電極になるかが決定されます。
ルイス酸・ルイス塩基の見分け方
ある化学反応において、「ルイス酸かルイス塩基になるかどうか」はルイス構造式とよばれる電子を明記した構造式を書き、その反応の流れをたどるとわかります。
ただ、ルイス構造式を書くまでもなく、簡易的に「ルイス酸になりやすいか」「ルイス塩基になりやすいか」のおおよその傾向をしることが可能です。
以下で具体例を用いて、確認していきます。
ルイス酸となりやすいもの
ルイス酸となりやすいもの:主に金属元素であるリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)といった1価の金属元素や、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)といった2価の金属元素などが代表的です。
これらの物質は非共有電子対を受け取ることによって、
ルイス塩基となりやすいもの
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