【演習問題】ネルンストの式を使用する問題演習をしよう!
電気化学において重要な式であるネルンストの式を理解することやその導出過程を理解すること以上に、この式を用いて解析したり問題を解くことが意外と難しく感じるかもしれません。
このページでは
・ネルンストの式の復習
・ネルンストの式の問題演習をしてみよう!その1 ネルンストの立式(ガスセンサ-の例)
というテーマで解説しています。
ネルンストの式の復習
ネルンストの式とは、電子授受平衡状態における電極電位Eが酸化体、還元体の比などのいくつかのパラメータから算出される式のことです。(※詳細はこちらで解説しています)
ネルンストの式の応用として、腐食の分野における電位-PH図であったり、電池の分野におけるOCV(開放電圧)(電池分野におけるSOC-OCV曲線にも使用されるもの)、溶解度積の算出などに利用されています。
溶解度積など電気化学とあまり関わりがなさそうな項目についても実際は深い関係があることがあります。
このネルンストの式の導出を以下で解説しています。
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ネルンストの式の問題演習をしてみよう!その1 ネルンストの立式(ガスセンサ-の例)
電池だけでなく、化学センサーであるガス検知センサーなどはネルンストの式から起電力が算出され、ガス検知に利用されています。
ここで、化学センサーで一般的な安定化ジルコニア酸素センサーについて、その起電力をネルンストの式を用いて算出してみましょう。
問題
安定化ジルコニア酸素センサーの検知時の平衡に達する際の反応(電気化学反応)は、以下の通りです。
O2 + 4e- → 2O2-
そして、このセンサーでは、酸素が存在すると安定化ジルコニアが酸素イオンの伝導体であるため、安定化をはさんだ両側で酸素濃度に差が出来ます。
すると、酸素分圧の違いにより起電力が発生し、一方の酸素分圧と起電力を測定することから、もう一方の側の酸素分圧を測定できるという仕組みになっています。
この式に対して、ネルンストの式を立式してみましょう!
解答
まず、酸素が濃い側の酸素分圧をP濃(ネルンストの式中の活量のことで、圧力の活量は分圧となります)とします。
そして酸素濃度が濃い側にネルンストの式を適用しますと、
E濃 = E0 + RT/4F ln P濃/ [o2-]^2となります。
同様に、酸素が薄い側の酸素分圧をP薄としますと、
E薄 = E0 + RT/4F ln P薄/ [o2-]^2となります。
すると、E全体 = E薄 - E濃 = RT/4F ln P薄/ P濃 と 起電力を算出する式が導出できました。
このように、濃淡により起電力が発生するもののことを濃淡電池を呼びます。
(例えばこの式にR = 8.314 J/mol/K、T=例えば25℃つまり約298K、F=ファラデー定数96500C/mol 、P薄=例えば0.08MPa×0.2程度 、P濃=例えば0.1MPa×0.2程度 として代入してみましたら、具体的な数値が得られます。)
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