pHメーター(pHセンサー)の原理・仕組みは?pHメーターとネルンストの式
pH(ペーハー)とは、ある溶液の水素イオン濃度を表す指標のことで、値が0に近づくほど酸性となり、値が7に近づくほど中性となり、値が14に近づくほどアルカリ性となります(詳細はこちらで解説しています)。
このpHを測定する際、電気化学と関係が深く、具体的にはネルンストの式を用いてpHの測定が行われることが一般的です。
こちらのページでは、
・pHセンサーの原理・仕組み
というテーマで解説しています。
pHメーター(pHセンサー)の原理・仕組み
pHメータでは、pHの算出と同様に[H+]に着目しています。[H+]は別名水素イオン濃度とも呼びます。
この[H+]を直接測定することで、pHを算出できるのがpHメーターの測定できるメカニズムです。
以下で、pHメーターの構成部材の内容と併せて、測定の原理について確認していきます。
一般的なpHセンサーとしましては、主に測定するガラス電極と基準となる参照電極から構成されます。以下の通りです。
まずは、ガラス電極の構造から考えていきます。
ガラス電極の成分・役割・原理
ガラス電極と呼ばれるH+のみを透過させるイオン交換膜のようなものを使用します。ただし、材質はガラス(主にケイ酸を含み、少量の酸化カルシウム等も含む)でありガラス膜とも呼ばれます。
以下のようなイメージです。
その内側には内部液と呼ばれるpHがある値で一定のものが充填されています。つまりは緩衝溶液となっているわけです。さらに内部には内部参照電極(こちらも銀塩化銀電極)が配置されています。
基準電極の種類・役割・原理
ここで、[H+]の濃度が高い、つまり測定したい溶液(今回は酸性の溶液としましょう)にこのガラス電極と参照電極(銀塩化銀電極など)を浸し、pH測定を行うとします。
この際、ガラス電極の内部液の方が[H+]が小さいため、試料溶液から測定したい溶液へ[H+]が移動しようとします。
ここで、H+しかガラス電極では通さないためそのカウンターアニオンは移動できず、試料溶液側ではアニオンが濃い状態つまり、電荷が負になった状態となります。
逆に、ガラス電極の内部液側では、H+の濃度が濃くなるため、電荷が正になった状態となります。
以下のようなイメージです。
電荷のバランスが崩れるため、それを整える向き、つまりバランスを元に戻そうという向きに起電力が発生し、その起電力による駆動力とH+の移動の力が釣り合うところが電気化学平衡状態となるのです。
内部液は一定の[H+]に保たれるために、そしてネルンストの式により起電力と[H+]の濃度の関係がわかります。
ネルンストの式の一般式は以下の通りです。
一電子反応であることに注意すると、具体的にはE = RT/1・F ln(C試料溶液/C内部液)より算出されます。
C内部液は一定であるため、C試料溶液、つまり試料溶液の[H+]がわかるという仕組みです。
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