ダニエル電池の構成・仕組み・反応式は?正極・負極の反応は?素焼き板の役割は?

ダニエル電池の構成・仕組み・反応式は?正極・負極の反応は?素焼き板の役割は?

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ダニエル電池の構成・仕組み・反応式は?正極・負極の反応は?素焼き板の役割は?なぜZnSO4の濃度を濃くするのか?

 

いま身近にある電池といえば「マンガン乾電池」「アルカリ乾電池」「リチウムイオン電池」などを思いつくでしょう。

 

乾電池はリモコンやおもちゃなどさまざまな身近な製品に使用されており、リチウムイオン電池はスマホバッテリーやパソコン用バッテリーなどに使用されています。

 

これらの高性能な電池が開発されるには、長い電池の歴史があります。この電池の歴史の中でも初期の頃に発明された電池として、ダニエル電池があります。

 

ここでは、高校化学でも取り上げられるダニエル電池に関する内容について解説していきます。

 

・ダニエル電池の構成材料

 

・ダニエル電池の素焼き板の役割 正極に銅、負極に亜鉛を使う理由は?

 

・ダニエル電池の反応式は?正極・負極各々の反応は?

 

・ダニエル電池の起電力は?起電力を大きくするためには?起電力と濃度の関係

 

 

というテーマで解説していきます。

 

※高校化学のカテゴリーページはこちらです。

 

 

 

ダニエル電池の構成材料

ダニエル電池はボルタ電池を改良したものと呼べます。以下で、ダニエル電池の構成材料、仕組み(動作原理)について確認していきます。
 

 

 

正極に硫酸亜鉛溶液(ZnSO4)と銅(Cu)を使用、負極に硫酸銅溶液(CuSO4)と亜鉛(Zn)を使用し、これらを隔膜(素焼き板)で隔離させます

 

ボルタ電池では電解液が正負極とも濃硫酸で共通でしたが、ダニエル電池では異なります。

 

ここで、正極、負極において「直接反応に関与するものを活物質と呼ぶこと」を覚えておきましょう。

 

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ダニエル電池の素焼き板の役割 正極に銅、負極に亜鉛を使う理由は?

 

このような部材から作成されるダニエル電池ですが、間に素焼板を入れるのはどのような理由があるのでしょうか。

 

実は、素焼き板には「電解液が混ざるのを防ぐこと」「反応で生成するイオンのみを通すこと」という役割があるのです。

 

これは、ダニエル電池の動作の仕組みを考えるとよくわかります。

 

以下で確認しましょう。

 

上でも述べたように、ボルタ電池と異なり、正極活物質は銅イオンです。負極活物質は同じで亜鉛です。

 

イオン化傾向が大きい材料の方が溶けやすいため、亜鉛が負極、銅が正極となります。

 

 

また、上図を下記のよう簡易的に表記することもありますので、覚えておきましょう。

 

 

 

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ダニエル電池の反応式は?正極・負極各々の反応は?

ダニエル電池では、正極と負極を導線などの導体(外部回路)で上図のようにつなぐことで反応が開始します。

 

上でも述べたように、イオン化傾向により、Znの方がCuより溶けやすいため、Znが溶出、Cuが析出する反応が起こります。

 

具体的な正極、負極、全体の反応式は以下の通りです。

 

 

上の動作メカニズムと合わせて覚えましょう。

 

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ダニエル電池の起電力は?起電力を大きくするためには?起電力と濃度の関係

 

ダニエル電池から取り出せる電圧(各電極の電位差のことで理論起電力と呼びます)は1.1V程度です。

 

ただ、できる限り電圧を高くすることができます。

 

それは、「CuSO4の濃度を高くして、ZnSO4の濃度を薄くする」といいです。

 

先ほどの動作メカニズムの図をもう一度示します。

 

 

例えば、負極に着目すると亜鉛が溶けるのがわかります。

 

つまり、反応とともに亜鉛(Zn)の濃度が濃くなるのです。ここで、もとのZnSO4の濃度が薄ければ、たくさん溶けることができるため、反応が起こりやすくなるのです。

 

結果として、起電力が上がります。

 

正極の銅でも同じように考えられ、溶液中の銅イオンが反応とともに薄くなります。そのため、初期のCuSO4の濃度を濃くしておけば、反応しやすくなります。

 

まとめますと、ダニエル電池の起電力を上げるためには、銅イオンの濃度を上げ、亜鉛イオンの濃度を下げるといいです

 

現在の電池と比べると実用化するには現実と程遠い電池ですが、数十年以上前からいまの電池と同じような原理が使用されていることは凄いことですね。

 

(また、具体的な起電力の計算は標準電極電位などから求めることができます(高校課程からははずれます)。参考にしてみてください。)

 

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