ボルンハーバーサイクルとは?イオン結晶の格子エネルギー(格子エンタルピー)を計算してみよう
科学的な現象を理解するためには、科学に関する基礎知識を身につけておくことがとても重要です。
例えば、物質の反応熱を考える上では、ある化学反応の化学平衡やヘスの法則などを理解しておくといいですう。
中でも、ヘスの法則を用いて、イオン結晶における格子エネルギーを求める際にボルンハーバーサイクルとよばれる大切な用語が出てきます。
ここでは、「ボルンハーバーサイクル」に関する内容について解説していきます。
・ボルンハーバーサイクルとは?NaClの格子エネルギーを計算してみよう【演習問題】
というテーマで解説していきます。
ボルンハーバーサイクルとは?NaClの格子エネルギーを計算してみよう【演習問題】
ボルンハーバーサイクルとは、NaClを始めとしたイオン結晶の格子エネルギー(専門用語では格子エンタルピー)を求める際のエネルギー変化を表した図のことを指します。
ヘスの法則をイオン性結晶に適用した際のエネルギー状態の関係図ともいえます。
高校化学の分野でボルンハーバーサイクルといったら、NaClの格子エネルギーを求める問題であることが多いです。
具体的な数値を用いて、格子エネルギーを計算していきましょう。
以下のような熱化学方程式を解くことによって、格子エネルギーを求めることが可能となります。
Cl(気)の電子親和力: Cl(気)+e- = Cl- + 361kJ
Cl2(気)の解離エネルギー:Cl2(気)= 2Cl(気) - 238kJ
Na(気)のイオン化エネルギー:Na(気)= Na+(気) + e- - 488kJ
Naの昇華熱:Na(気)= Na+(気) + e- - 107kJ
NaClの生成熱:Na(固体) + 1/2 Cl2(気) = NaCl(固) + 405kJ
以下のボルンハーバーサイクルの図に対応しています。
つまり、先にも述べた反応式において、格子エネルギー=解離エネルギー+イオン化エネルギー+昇華熱+生成熱ー電子親和力という式が成り立ちます。
この式自体を覚える必要はなく、どのような状態の上がエネルギーが高いのか(不安定なのか)を考え、上の図を作成できる状態にしておけばいいです。
ヘスの法則においてややこしい問題がこのボルンハーバーサイクルであるといえます。
実際に上例の数値を使用して、格子エネルギーを求めてみましょう。
1/2 × 238 + 488 + 107 + 405 - 361 = 758 kJとなります。
ここで塩素の解離エネルギーはCl(気)基準のため、1/2倍することに注意してください。
混乱せずに、一つずつ丁寧にエネルギー状態の大小を考え、立式することが解く時のポイントです。
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