共有結晶と共有結合 共有結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質
高校化学においてよく結晶の種類に関する問題が出題されます。
結晶には、イオン結晶、金属結晶、共有結合結晶(共有結晶)、分子結晶などがありますが、これらの違いについて理解していますか。
中でもここでは、共有結晶(共有結合結晶)や関連する共有結合などの知識について解説していきます。
・共有結晶(共有結合性結晶)と共有結合
・共有結晶の性質 融点・沸点・電気伝導性
というテーマで解説していきます。
共有結晶の種類・例と共有結合 共有結合の強さは?
共有結晶とは、共有結合によって原子同士が結びつき結晶となっているもののことを指します。別の言い方では、共有結合結晶や共有結合性結晶などとも呼んだりもします。基本的に、非常に多くの原子が結びついている巨大な分子となっています。
代表的な共有結晶には、ダイヤモンドや黒鉛(グラファイト)などの炭素、ケイ素や二酸化ケイ素などがあげられます。
ダイヤモンドや黒鉛などは非常に身近なものですよね。ダイヤモンドであれば、以下のようにアクセサリーなどに使用されています。
黒鉛では、鉛筆の芯などです。
例えば、ダイヤモンドの構造であったら、3次元的な立体構造であるといえます。以下のようなイメージです。
共有結合とは、ある原子同士において最外殻の電子を出し合い、共有電子対を形成することでできる結合のことを指します。
以下のようなイメージです。
※
共有結合はイオン結合、金属結合、分子間力などのあらゆる結合の中でも最も強い結合といえます。
基本的に共有結合の強さは共有結合>イオン結合>>金属結合>分子間力となることを覚えておきましょう。
関連記事
イオンとは?
クーロンの法則・クーロン力とは?
電離とは?
陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)
イオン結晶・イオン結合とは?
金属結晶と金属結合
共有結晶と分子結晶の違い
分子結晶と分子間力
配位結合とは?各結合との違い
共有結晶の性質 電気伝導性、融点・沸点、硬さ
このように共有結合によって構成粒子が配置されてできる共有結晶ですが、どのような性質があるのでしょうか。以下で確認していきます。
電気伝導性を基本的に持たない ただ、黒鉛では例外
共有結晶の代表的な特徴の一つに電気伝導性を持たないものがほとんどであるというkとがいえます。
ただ、黒鉛だけは例外である非常によく電気を通る物質であることを覚えておきましょう。(当サイトのメインテーマであるリチウムイオン電池においては、負極活物質であったり、電気伝導性を上げるための導電助剤として添加されるケースなどがあります)。
もつ導体であることがあげられます。わかりやすく言いますと、電気を通すことができる性質をもつといえます。
共有結合性結晶に電気伝導性がない理由としては、金属結晶などとは異なり自由電子が基本艇にないためです。
通電に関する物質である自由電子がないために、導電性がないのです。
融点・沸点が高い
また、共有結晶は融点がとても高いという性質を持ちます。具体的には、他の種類の結晶と比較した場合では共有結晶>イオン結晶>金属結晶>分子結晶という順番です。
結合が切れることで状態変化を引き起こすため、共有結合の用に結合が強い切れにくい結合をもっていると状態変化が起こらないのです。結果として、沸点や融点が高くなります。
この順序をきちんと覚えておきましょう。
非常に硬いが脆い
イオン結晶などと同様に、硬いが脆いという特徴を持ちます。ただ、先にも述べたように共有結合はイオン結合よりもよち強固な結合です。よって、非常に硬いです。
ダイヤモンドなどを思い浮かべるといいです。
ただ、金属のように延性・展性を持っていないために、限界値をこえれば容易に崩れます。
関連記事
イオンとは?
クーロンの法則・クーロン力とは?
電離とは?
陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)
イオン結晶・イオン結合とは?
金属結晶と金属結合
共有結晶と分子結晶の違い
分子結晶と分子間力
配位結合とは?各結合との違い
共有結晶(共有結合結晶)と共有結合 共有結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質 関連ページ
- イオンとはそもそも何のこと?その1 イオン発見の歴史と原子の構造と原子番号、質量数
- 酸化とは?還元とは?酸化還元の定義その1、その2
- 酸化還元の定義その3とまとめ
- 電池とは?ボルタ電池の構成と反応
- ダニエル電池の構成・仕組み・反応式は?正極・負極の反応は?素焼き板の役割は?
- イオン化傾向とは?
- 【手計算・Excel】pHとは?計算方法は?
- 同位体の存在比とは?計算問題を解いてみよう【銅や塩素の質量】
- 分子量の求め方 アンモニア・メタン・尿素などの分子量を計算してみよう【演習問題】
- 原子量・分子量・式量の違いは?
- アレニウス・ブレンステッド・ルイスの酸・塩基の定義と違いは?
- 電池の電極の質量変化を計算してみよう【ダニエル電池の質量変化】
- 絶対質量と相対質量 相対質量の計算方法(絶対質量との変換)
- ルシャトリエの法則(原理)とは?
- 電気分解とは?塩化銅水溶液(CuCl2)における電気分解の反応式 陽極・陰極での反応式 陽極、陰極、正極、負極の違いと覚え方(見分け方)
- 水の電気分解の仕組み・反応式 陽極・陰極での反応式 水酸化ナトリウムを入れる理由は?
- ヘスの法則と熱化学方程式の関係 計算問題を解き、反応熱を求めてみよう【演習問題】
- ボルンハーバーサイクルとは?イオン結晶の格子エネルギー(格子エンタルピー)を計算してみよう
- 同位体と同素体の違いは?
- 物質量とモル質量の違いは?計算問題を解いてみよう【演習問題】
- 乾燥剤と気体の酸性・塩基性・中性とは?
- 気体の酸性度 酸性気体、中性気体、塩基性(アルカリ性)気体
- 潮解性・吸湿性・脱水性の違いは?
- 生石灰と消石灰とは?分子式(化学式)や用途の違い 生石灰と水との反応式は?
- ソーダ石灰の性質や塩基性(アルカリ性)の乾燥剤としての役割(アンモニアや二酸化炭素は吸収できる?)
- 単体、化合物、純物質、混合物の定義や違い
- 気体の水溶性と気体の収集方法(上方置換、下方置換、水上置換)
- 塩化水素が水に溶けやすい理由は?
- アンモニアが水に溶けやすい理由は?
- 「原子量・分子量・式量」とモル質量との違い
- 物質量(モル:mol)とアボガドロ数の違いや関係は? 計算問題を解いてみよう
- コロイドの性質 チンダル現象・ブラウン運動・電気泳動とは?
- クメン法とは?クメンヒドロペルオキシドを経由してフェノールを合成する方法
- 過酸化水素に二酸化マンガンを加えた時の反応式は?
- 疎水コロイド・親水コロイド・保護コロイド 凝析と塩析とは?
- 十酸化四リンの化学式、分子式(P4O10)、構造式は? 十酸化四リンと五酸化二リンの違いは?
- 乾燥剤である十酸化四リンが使用できない物質は? 潮解性や脱水作用を持つのか?
- リンの同素体 黄リンと赤リンの違いは?
- 分子結晶と共有結晶(共有結合性結晶)の違いは?
- 酸素の同素体 酸素とオゾンの違いは?
- 炭素の同素体 黒鉛(グラファイト)・ダイヤモンド・フラーレンの違いは?
- 浸透圧とファントホッフの式 計算問題を解いてみよう【演習問題】
- イオン結晶とイオン結合 イオン結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質
- 金属結晶と金属結合 金属結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質
- 自由電子と価電子の違いは?
- 分子結晶と分子間力 分子結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質
- 配位結合とは?配位結合の強さと矢印の書き方 共有結合・イオン結合・水素結合との違いは?
- 金属の配位結合と錯イオン(錯体) 中心金属、配位子、配位数とは?
- 食塩水の電気分解における電極での反応式(イオン式) 陽極で塩素が発生し、陰極で水素が発生する理由
- 二酸化マンガンと塩酸の反応式は?【半反応式から解説】